第12話 本堂渓と山吹楓part1


俺は本堂渓。



高2、どちらかといえば陰キャ、童貞、



もちろん学生なので無職だ。



そんな俺は、これまで人生で恋というものをしたことがなかった。



もちろん、可愛い女や、色々大きい女の子に目がない俺だが、そんなもの恋ではない。




まぁ、言ってしまうとただの好みでしかない。




だが、俺は今日人生で新たなスタートを切ることになる。





そう、初恋ヴァージン・ラブである。




俺は、好みの女の子以外は大体は女嫌いだ。



女という生き物は、群れ合い、じゃれ合い、時にはそれが虚偽だということも少なくない。



陰での罵倒、中傷、蔑み。なんでもありだ。




そういうのが俺は大嫌いだし、気に入らない。



その点、俺と紅は気が合う。



紅も普段は大の女嫌いだからだ。



あいつも、苦手な女を見てよく言っていた。



「あんな偽物の関係の何が楽しいんだ」と。




たしかに、と俺は思った。



女というのは、ひどく傲慢、強欲で、仲良くもない群れで行動する生き物だからだ。




ただし、誤解がないように言っておきたい。




俺は、女嫌いだが、別に世の女性全てにこんな事を思っているわけではないのだ。



良い人もいる、悪い人もいる、

わかんねぇ人もいる。



ただそれだけの事だ。




話を戻そう。




そう、俺は女の子が苦手だった。




だが、今日変わったのだ。



俺の身に何があったか、お話ししよう。




ついさっきのことだ....。



※※※※※※※※※※※※※※※


「さて、、、コウとも別れたわけだし、これから何すっかなぁー。」



コウとはさっき保健室で話していたが、江口先生に言われたので、今日は先に帰ることにした。



だが、しかしコウはすごいもんだ。



同じ中学だったとはいえ、

あまり記憶になかった望月を探すために率先して動いて(内申が欲しかっただけかもしれんが)



さらには、自分を助けてくれた望月の為に身を挺して不良の三年から守ってボコボコにされたり。




そんで、脳震盪起こして立っているのもままならない状態なのに、まだ望月を優先して三年に立ち向かったり。




普通に、俺や江口先生が来なかった場合のビジョンは想定していたのだろうか。



いや、たぶんしていなかったに違いない。




コウのことだ。望月が逃げればそれでよくて、自分の事は後回しにしたんだろうな。




「あいつは漢だぜ。てか、望月とコウって結構相性いいんじゃ、、、?」




つい、口にしてしまった。



だが、それくらいコウが漢なのも、相性良さげなのも事実だ。




しかし、今の口に出した事が原因なのか、声が大きかったのか、自分より少し離れた所にいる知らない女の子がおーいと、

こちらを呼びながら近づいてきた。




「やぁやぁ、はじめましてだね。私は山吹楓。

えーと、、君って青葉の、、、いや、望月さんの知り合い?」




誰だ?山吹?




たぶんだが初対面だ。




教室で朝こんな人を見たような見なかった様な?




とりあえず、俺は返答をする。



「あぁ、よろしく山吹。俺は2年A組の本堂渓だ。

望月の知り合いと聞かれたら、、、うーん、、まぁそんなとこかな。」



さっき保健室でコウと一緒に居たしな。



一言二言くらいは話したし、知り合いでいいんじゃないかな。




俺が返事をすると、山吹はパァッと嬉しそうな表情になり、



「おお、青葉の知り合いなんだ!本堂渓君ね。ちなみに私も2年A組だよー。なんか、先生から青葉がさっき保健室に居たって聞いてさ、探してたんだ。」




なるほど、そういうことだったのか。



あとやっぱり2年A組だったか。




俺記憶力良くない?




自分に酔っちゃいそう、、、、!




さらに山吹は続ける。



「じゃあさ本堂君、青葉が今どこにいるかわかるかな?」




と言われても、望月ともさっき保健室で別れたので、今どこにいるかはしらねぇんだよなぁ。




とりあえず、何の用か聞いてみる。



「どこにいるかはわかんねぇんだけど、何か望月に用があんの?」



すると山吹は手を顎に当てながら言う。



「いや、実はさ。青葉とは結構長い付き合いでね、一緒の高校になりたいねって言って、今年なれたんだよ。しかも同じクラスに!だから一緒に帰りたくてさぁー。」




なるほど、長い付き合い、俺とコウくらいだろうか



あるいはもっと長い付き合いだろうか。



どっちゃでもいいけど。



「そうか、長い付き合いなんだな。じゃあ、もしアレだったら俺も暇だし一緒に探そうか?」




別に人助けが好きです!って感じの偽善者気取ってるわけではない。




単純にこの山吹楓という女の子が可愛くて少し興味が湧いたのと、俺が女子と普通に話せている事に驚きを感じてもう少し話したくなったからだ。



結構偽善者かもしらんな、、、。




そんなのやだよ?



まぁ、そんなこんな思っていると、山吹が嬉しそうに答える。




「ほんと!?じゃあ、お願いしちゃおっかなー。」




と、ニヤリと笑いながらお願いしてくる。




え、なんかこの人、というかこの娘、すっげぇ可愛いんですけど。




なんだこの感覚。なんかおかしいな。




だが、お願いされてしまっては断るのも気が悪いし、一緒に探す事にした。





さてと、俺が女子と話すのなんて何百年ぶりだし、この状況を楽しみますかね。







これが、ツッコミ不在の恐怖ってやつか。





思い知りました。














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