第8話 江口&渓VS三年生
はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、、、、
紅君を助けないと、、、!
あのままでは完全に大怪我をしてしまう。
私を庇って、逃げろとは言ってくれたけど、
あの状態じゃ三年生3人に勝てない、、、!
はやく。はやく。はやく。とにかくはやく!!
教室へ!教室に急がないと!!!
江口先生に早く伝えないと!!!
紅君はきっと無理をしてしまう。
そして無理をさせている原因はおそらく私だ。
絶対に、助ける。
1分でもはやく。1秒でもはやく。
走る。走る。走る。走る。走る。
バンッッッ
「はぁ、、、はぁ、、、先生、、、鈴風、、、君が、、。鈴風紅君が、、、、、。」
江口が驚いた様子で答える。
「も、望月?そんなに血相を変えて、、、。何があった、、、、!」
息切れをしながら、なんとか状況をできるだけ手短に伝える。
「と言うことがあって、、、!とにかく!鈴風君が、三年生達と殴り合いをして、一方的にやられているんです、、!!」
江口は一瞬焦ったが、冷静に判断し、答える。
「そうか。わかった。私が行く。望月、君は教室にいなさい。」
江口に言われ、青葉は悔しさでいっぱいになる。
そんなもの自分が1番行きたいに決まっている。
いや、行かなければならないのだ。
「江口先生!私も、、、私も行きます!
行かせてください!!!」
すると、物事はそう上手くはいかないようで、江口は首を振り、
「いや、ダメだ。たしかに君には事情聴取をしないといけない。でもこれは、生徒同士で起きた問題だ。解決しないといけないのは、私だ。」
たしかにその通りだ。でも、そんなこと自分で自分を許せる筈がない。
「私はっ、、、、!」
「行きたい気持ちも行かなくてはならない気持ちもわかる。でもだ、でも、今行くべきは先生なんだ。
望月、君は良くやった。報告に来てくれたことで、問題を止められる。それで十分だ。
あとは、、、、任せなさい。」
そんなことを言われたって納得できない。
いや、本当は納得している。だが、許せはしない。
自分を許せないんだ。
そんな自分を憎み、悔しい気持ちが溢れ出して、無理にでも先生について行こうとした時、
「先生、俺が望月の代わりに行きます。
たしかに、生徒同士の喧嘩は先生が止めるべきだ。
でも、先生は立場上乱暴はできないでしょ。
紅は俺の親友です。俺が武力、補います。」
本堂渓君が切り出した。
私の代わりに彼が行くと言っている。
たしかに、私なんかよりはずっと戦力になる。
でも、、、やっぱり悔しい、、、。
「だが、、、、。わかった。一緒に来てくれ。
だが、横暴すぎるのは駄目だ。あくまでも抑制が目的だと言うことは、忘れるなよ。」
「了解っす。」
※※※※※※※※※※※※※※※
「と言うわけだ。鈴風。後で望月には、、、礼を言っておけよ。」
そこまでしてくれていたのか、、、。
先生達はくると思っていたが、望月がすぐに呼びにいってくれて本当に助かった。
俺は一体何度あいつに助けられるのだろうか。
きっと、返しきれなくなるだろう。
それでも俺は、何度でも彼女が救ってくれるというなら、俺だって俺なりのやり方でなんどだって彼女を助ける。助けなければいけない。
「はい、、、。先生、ありがとう、、ございます。
あと、、渓も、、すまねぇ。助かる、、、。」
すると渓は殴った後に俺を見て言った。
「気にすんな、友達だろ、、、?」
俺は良い人たちを周りに持ったな。
この一件だけでも、周りの人の大切さがいかに重要なものかがわかる。
「あぁ、、、ありが、、とう。」
俺は意識が朦朧としていた。
もう立つことすらできなさそうだ。
あとは先生と渓に任せよう、、、。
すると江口が彼らに向かって口を開いた。
「とりあえず、鈴風は後で個別で裁くとして、
お前ら3人、今ここでまとめて裁いてやろう。」
江口がカッコよく口火を切る。
それに対抗して、三年生3人も言い返す。
「クソ、、、江口かよ、、!あぁ、いいぜ裁けるもんなら、やってみろやっ!!!!」
そうすると江口に走り出す。
しかし江口は動かない。そして口だけを動かし、
「全く、、、教師に対して呼び捨て、暴行未遂、未成年喫煙とは、、、、この学校の生徒として恥ずかしすぎるな。」
そう蔑む。
たがしかしリーダー格男は止まらない。
「そうかよ!!そんなセリフ吐いてるテメェが恥ずかしいんだよ!!」
そして腕を振り上げる。
あわてて渓が前に出ようとするが、江口が腕で渓を止める。
「ふぅ、、今大人しくすれば、全員反省文&停学くらいで許そうと思ったが、、、。」
「貴様らにはもれなく、私からの一撃と退学をプレゼントしよう。」
そう言うと、江口はすぐ前に来たリーダー格の男の胸を狙い、肘を差し込む。
ちょうど、みぞおち辺りだ。
「ぐっ、、、、がはっ、、、。」
リーダー格の男は、急所に一発食らい、咳き込みながら後退りして、尻餅をつく。
「おまけに弱いとは、、、いいとこゼロだな。」
「ちくしよぉ、、、、!」
さらに侮辱の言葉を重ねた江口に坊主頭とメガネの男が同時に走り出し、殴りかかろうとする。
しかし、
「オラァァ!!!捕まえたぜ、、、、!」
回り込んだ渓が、その2人の首元を腕で捕まえ、絞める。
呼吸がしにくくなり、2人とも腕もどかそうとしながら苦しむ。
「がはっ、、、ごほっ、、、」
「ぐっ、、、ごはっ、、、、」
そしてそのまま1分ほど絞め続けられ失神した。
「おっとぉ。やり過ぎちまった。
じゃあ、あとはコイツだけか。」
「私も、、、参戦させてもらおうか、、、!」
渓と江口がそう言い合い、手をポキポキいわせる。
リーダー格の男は胸を押さえ、呼吸を乱しながら、ビビって後退りし、悲鳴を上げた。
「うぎゃぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
その叫び声が学校中に広がったのは、この後少しの人の間で語られることとなった。
「「フッ、パーフェクトゲームだ。」」
江口と渓が同時にそう言い放った。
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