第5話 権利の後に感謝を
俺は今とんでもない衝撃に全身を襲われています。
ちょっとまて。一度状況を整理しよう。
ふぅー、はぁー、深呼吸深呼吸。
今、俺の目の前に立っている可愛げで小柄なこの女の子が望月青葉だって、、、、、?
本当に申し訳なくてこんなこと言えないんだが、正直声は覚えているが、望月の顔を全く覚えていなかったので、未だに信じる事ができない。
望月青葉といえば、中二で知り合い、同じクラスではなかったが、たまに喋るくらいの仲ではあった。
その点は渓も同じなはずだ。
だが!!!!
圧倒的に印象が変わりすぎている。
まず、こんなに髪の毛長かったか、、、?
喋り方などは言われてみればたしかに望月なのだが、、、、。
俺はあまりに衝撃的すぎたので、語彙力が低下してしまう。
「え、、、、?えーと、君が望月?えーと、望月青葉?さん?なの?ですか?」
我ながらコメントがキモすぎた。
もしかしたら久々の再会なのに、相手はドン引きしてるかもしれない。
そう思い、彼女の方を見ると、くすくすと少し笑いながら
「ふふふ、そうだよ紅君。久しぶりだね!」
と、優しい声で返事をしてきた。
紅くん呼びですか??そんなに仲良かったっけ?
まずい、女子にした名前で呼ばれるのは慣れてないので少し照れてしまう。
キモイな、俺。
俺も少しずつ今の状況が飲めてきて、質問をする。
「お、おう。久しぶり、、。てか、望月だいぶ印象変わったな?なんか、、、イメチェン?」
たどたどしくはあるが、まぁマシな方だろう。
本当に取り乱した時の俺の喋り方は自分でも思うくらいにキモイからだ。あーやだやだ。
そんなことを思っていると望月は、
「うん、そんな感じ。髪も少し伸ばして括ってみたんだ。中学の時に比べたら、少し変わったかな?」
なるほど、そうだったのか。
しかしこれまた不思議なもので、望月の髪の括り方は、いわゆるツインテールなるものだろう。
よく、アニメや漫画などの二次元で見るツインテールはたしかに憧れもあった。だが現実のツインテールは正直少しイタイなとも思っていた。
、、、、だがしかしこれは感無量だな。
どうやら望月にはツインテールの才能?みたいなものがあるらしく、違和感もなければ、変にイタイという感情を持つこともない。
まぁ、ぶっちゃけ似合っている。
というか普通に可愛い。
俺は普段あまり、、、というか女子とはほぼ話さないが、学校の女子より今の望月は少しレベルが高く見えてしまう。
助けてくれたからであろうか、それとも単純に姿が可愛かったからだろうか。
俺は少し、普通の女子に抱く感情とは別のものを自分の胸の中に少しだけ感じていた。
べ、別に好きってわけじゃないんだからね!!!
まぁ、俺のキモイトークもこの辺にしておかなくちゃなと思っていると、望月から意外な言葉が出てきた。
「あと、紅くん、青葉 でいいよ?」
少し笑いながらいう望月はそう言った。
え、マジスカ?
オレジョシノコトシタノナマエデヨンデイイノ?
思わず、宇宙人のような感想が出てしまう。
中学の時の俺は、望月のことを下の名前で呼んでいたのだろうか。
これも本当に覚えてない。
まぁ、しかしせっかく相手が下の名前でいいと言ってくれたんだ。ここで別にいいとか言えば、好感度、、、、というより望月に失礼になってしまう。
ここは素直にありがたく名前を呼ぶ権利をいただこう。
乗るしかねぇだろ、このビッグウェーブに!!!
「お、おう。そうか?、、、、なら、、。」
よし、振り絞れ。羞恥心なんて捨てろ。
まずは感謝からスタートだ。
「俺を助けてくれてありがとな、青葉。」
「うん、どうしたしまして。」
青葉と呼び、言葉を交わすことによって、少し、中学の頃のことを心の片隅で思い出したような、そんな気がした。
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