(ちょっと短め)リアフェンガーは悩み中③

辺境伯領に帰ってきて……誰にも邪魔されることのない初夜だ。


ああ、いよいよか。何度も言うが初夜だ。


ヴァルの魅惑の裸体を想像する。ドレスの上からでも豊満な胸とくびれのある腰…存分に堪能出来ると、今から楽しみで仕方ない。


「あれ?」


俺の部屋からヴァルの部屋へと直接行ける内扉を開けると、部屋の中が真っ暗だ。


まさか…嫌な予感がして寝台の上を見る。


俺は夜目が効く。


寝台の上には……爆睡するヴァルの姿があった。いや…今日は夕食時に軍の奴らに囲まれて騒いでいたし、おまけにヴァルは気絶していたし…医師は疲労と診断していたし、分かる…気持ちは分かるんだ、だけど…


「ヴァル…」


ヴァルの頬に手を置いた。柔らかい…指の腹で頬から顎…首、鎖骨…と指で体をなぞって行く。


「…っん…ふ…」


「!」


ヴァルが鼻にかかった甘い声をあげた。


俺は指をそのまま魅惑の胸の谷間から下へ移動させた…その時、ヴァルが寝返りを打った。


プルンと震えて寝間着がはだけた。魅惑の双丘がフルンと目の前に現れた。


「……っ!」


意識のない女性の体を暴くのはいけない。断じていけない…魅惑のフルンに触ってみたいが…触りそうになる手を反対の手で必死に抑え込む。


落ち着け…落ち着け…


自分の体の中から痺れと魔力の震えが伝わる。


ヴァルは今日、ホーストに到着したばかりだ。おまけに疲労で倒れたばかりだ。そう…今日だけだ、疲れているから…


俺は泣く泣くヴァルの眠る寝台から離れると、静かに自室に戻った。

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