Valentine 咲夜ver.
朝目が覚めると、いつもとは少し違う感じがした。
いつもより気持ちいい・・・
だんだんと意識が覚醒してきた私は、自分が今どんな状態かを理解する。
どうやら結人さんの膝の上で寝ているらしく、頭を優しく撫でられていた。
私は、この至福の時を満喫するべく、寝たフリを続けた。朝ご飯は既に2人分作って亜空間の中にしまってあるし、このまま寝たフリを決め込んでいても問題なし。
今日は特に予定もなく、一日中結人さんとイチャイチャできる日。
私はこのままもう一度夢の世界へと旅立とうと試みるが、またしても邪魔が入った、義姉と義妹である。
私が寝ている事をいい事に、結人さんの撫で撫でを奪ったのだ。これは万死に値する。
「ん〜ん〜ん〜」
抱きしめる力を強めながら、撫で撫でを要求する。すると想像通り、私の頭の上に結人さんの温かい手がやってきた。
今はまだ外は寒いので、こうした小さな温もりがとても心地よい。
「ねぇ、咲夜お姉ちゃん、起きてるよね。」
何か聞こえた気がしますが、多分気のせいでしょう。まさか私と結人さんのイチャイチャを邪魔する無粋な人間などいないはず・・・・・・
「寝たフリを辞めないと頬っぺたをツンツンしちゃうよ、お姉ちゃん」
「え〜咲夜ちゃん起きてるの?」
どうやらバレているみたいだ。
仕方がないから結人さんに助けを求める。
「助けて下さい、結人さん。このままだと意地悪されちゃいます・・・・・・」
「えっと・・・もう7時だからそろそろ起きたら?咲夜」
どうやら結人さんには既にバレていたみたいです。まぁ魔力の流れから人が起きているのか寝ているのかを判断するのは容易ですから仕方がないですか・・・・・・
観念して、結人に抱きついたまま咲夜は起き上がった。
すると正面に結人の顔が来る。
「おはようのキスをして下さい。」
そう言って、咲夜は目を瞑った。すると、要求通りの返事が返ってきた。
幸せ〜〜
小さくて可愛い欠伸を挟みながら、咲夜は目をぱっちりとあけた。
「おはよう、咲夜。」
「おはようございます、結人さん。今日もいい天気ですね。」
魔法を使ってカーテンを開けると、日差しが差し込んできた。どうやら、今日の天気は快晴のようだ。気分が良い。
「あ〜やっぱり咲夜お姉ちゃん起きてるじゃん!それにお兄ちゃんとおはようのキスとかずるい〜〜」
「ふふふ、これは婚約者としての特権です。」
「いいな〜咲夜ちゃん〜」
咲夜は、少しばかりの優越感に浸る。
同じ血を引いているというのは羨ましい反面、結婚できないという最悪の縛りがある。
その点、結人の幼馴染に生まれた自分に感謝したい。
「今日は何をしよっか、咲夜」
「ふふふ、今日はバレンタインらしく、最高の一日にして見せます。まずは朝食をとりましょう。」
笑顔で説明しながら、結人の身体をぎゅっと抱きしめる。
「わかった。って咲夜?どいてくれないとダイニングに行けないんだけど。」
「抱っこで運んで下さい、結人さん。」
目を合わせないように、顔を押しつけながら、おねだりをする。
こうすれば、優しい結人さんはお願いを聞いてくれるのだ。
「それぐらいお安い御用だよ。」
✳︎
ダイニングへと移動した結人と咲夜は、向かい合わせで席に着いた。食器から椅子まで全てお揃いで揃えたこの空間は、まさしく愛の巣と呼ぶにふさわしい。
2人用のテーブルなのに、他の2人もちゃっかりと椅子を取り出して座る。
「結人さん、朝食としてバレンタインのチョコケーキを用意しました。」
「すごい、美味しそう・・・ありがとう、咲夜」
咲夜が作ったのは、いちごの乗ったハートの形をしたガトーショコラ。
乗せられたホワイトチョコには
『I Love You. Dear Yuito,From Sakuya』
の文字をチョコで手書きした。
朝食の代わりに今日は2人きりでこれを食べる予定だった。
両隣に座った義姉妹達が物欲しそうに指を舐めていた。
「みんなで食べよ、咲夜」
「あ〜んしてくれるならいいですよ。」
「うん、いいよ。」
結人さんからそう提案されたら断れない。
渋々了承して、みんなで食べる事になった。
「結人さん、あ〜ん。」
「美味しい・・・・・・いつも、ありがとう咲夜」
「はい、こちらこそこれからも末永くよろしくお願いします、結人さん///」
2人の分は少し少な目にしたのは、別の話。
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読んでいただき、ありがとうございます!
読者の皆様からの結人や樹へのバレンタインも待ってます!
星やレビューとか・・・(小声)
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