Valentine 美月&茜ver.


バレンタインエピソードpart2


____________________________


バレンタイン前日

料理がまったくできない2人の姉妹は、試行錯誤を繰り返していた。


「ダメだー!!!」


「あはは〜ちょ〜まずい〜」


料理をする事を結人に禁じられ、毎日結人か咲夜にご飯を作ってもらっていた茜と、今まで料理を作った事がない美月は、日本防衛軍の重要拠点である『摩天楼』のキッチンを借りて、チョコ作りに励んでいた。


周りにも多くの恋する乙女達がいて、情報を交換しながらそれぞれ製作をしていた。


「やっぱりマヨネーズは合わないよ、茜お姉ちゃん!」


「いいと思ったんだけどな〜」


下手ならば下手なりに頑張ろうと、協力する2人であったが、一向に進まない。美月はまだ常識があるが、茜に至っては皆無だった。

基本ならば作れるが、それだけでは味気ないという茜の意見によって追加された隠せていない隠し味はさらにチョコをチョコ以外の何かへと変えていく。


そして・・・・・・


「お、おいしい・・・・・・や、やった!成功だ!」


「ほんとだ〜奇跡〜」


作り始めてから2時間後、ついに満足のいくものができた。不恰好なハート形だが、味はちゃんと美味しい。

思わず、抱き合いながら喜ぶ。


2人は、渡した時の結人の反応を夢見ながら眠りについた。



✳︎



事前の協定によって午前中は2人の時間と決められていたので、2人は朝から結人の寝室にやってきた。

当然のように咲夜も一緒にいて、抱き合いながらお揃いのパジャマで気持ちよさそうに寝ていた。藁科の本家に住んでいる2人のいつもの光景であった。

その様子を見ていると、こちらまで眠くなってきてしまう。


「2人ともいい寝顔だね。」


「そうだね〜ちょっと嫉妬しちゃうな〜」


茜にとって結人は欠け替えのない大切な弟だった。藁科家で出会った頃はずっと一緒にいた存在だ。

姉離れして嬉しいという感情もあるが、今となっては寂しいという感情の方が圧倒的に大きかった。

血が繋がっているので、結婚はできない。そんな事はわかっているが、それでも諦めきれなかった。


「いいな〜咲夜お姉ちゃんは。」


美月にとっても結人は大切な存在であった。まだ記憶にない頃からずっと一緒にいた存在で、いつまでも一緒にいられると思っていた存在だった。


そこで、茜は名案を思いつく。


「いい事考えた〜このまま一緒に寝ちゃわない?」


「いいねー、添い寝しちゃおう、お姉ちゃん!」


まだ起きるには少し早い時間なので、そっと寝かしてあげる。

2人は両側に川の字に寝っ転がる。


2人が、結人の頬をツンツンしながら遊んでいると、結人はゆっくりと目を覚ました。


「んっん・・・・・・」


「おはよっ、結君♪」

「おはよう、お兄ちゃん!」


「はぁーーおはよ、姉さん、美月。」


大きな欠伸をしながら、結人は起き上がろうとした。

しかし、咲夜がくっついていて起き上がれず、寝っ転がったまま挨拶をした。


「はい、これ!バレンタインのチョコだよ。」


「2人でつくったんだー」


「朝から?!あ、ありがとう。」


亜空間からそれぞれ可愛くラッピングしたチョコを渡す。


「食べてみて?」


「う、うん。」


可愛らしいリボンを解いて取り出すと、それぞれ口に入れた。


「美味しい・・・ありがとう、2人とも。」 


「「どういたしまして♡」」


そう言いながら、2人とも笑顔になった。



________________________


次はいよいよ本命です!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る