Valentine 聖奈ver.
バレンタイン回です!
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恋愛は禁止なはずのアイドルなのに、この国民的なアイドルには恋人がいる。
もちろん、相手がS級魔法師だったり、いい意味で有名な魔法師であったならファンの多くも納得するだろう。
しかし、相手は悪い意味で有名な魔法師。国民の憧れの的である『夜明けの光』に所属し、A級というほんのひと握りしか成る事ができない地位にいるのにもかかわらず、人気が全くない。
というか、色々な所に恨まれまくっている。
日本防衛軍も、さまざまな魔法師のイメージアップのための企画を行なっているが、『青の悪魔』に関しては完全に放置されている。軍も諦めたのだ。
世間にバレたら死は避けられない関係の2人に、この日奇跡が訪れた。
なんと2人とも一日中オフだったのだ。
2人は密かに会う約束をした。
「待たせて悪かったわね。」
「あ、あぁ、まぁ気にするな。」
「そこは『全然待っていない』って言うところよ。」
「待たせた側が余計な注文するなよ。こっちは30分も待ったんだぞ?」
「わ、悪かったわよ。今日が楽しみすぎて、昨日眠れなくて・・・・・・」
「わ、悪い、俺も強く言い過ぎた。」
珍しく弱々しい姿を見せた聖奈に、樹は思わず照れてしまう。
なかなか会えない分、こうして会える時間はとても貴重で新鮮で大切なのだ。
2人が待ち合わせ場所にしたのは、都内にある有名なレストランの一室。個室を借りる事によって身バレを防ぐためだ。
聖奈は、用意された前菜を食べる樹をまじまじと見つめる。
「なんだよ。」
「こうして慌てるあなたを見るのも面白いわね。」
「おい!」
「ふふふ冗談よ、はいこれ、バレンタインのチョコよ。」
「お、おぉありがとう。」
「ちなみに手作りよ。結構頑張って作ったから感謝しなさい?お返しは3倍と言わず100倍でいいわ。」
「多いな。」
樹の反応を楽しみながら、聖奈は微笑む。
リモートで会うの十分嬉しいが、こうして直接会うのはもっと嬉しい。
見つめるたびに、私この人が好きなんだなって実感する。
落ち着いたところで、聖奈はずっと考えていた事を樹に伝える事にした。
「あのね、1つ相談したい事があるのよ。」
「どうした?改まって。」
「私、アイドル辞めようと思うの。」
「は?どう言う意味だよ、そんな急に」
「そのままの意味よ。私もともと、UCのせいで傷ついた人々に元気を与えられるようにってアイドルを始めたの。でももうその目標は達成しちゃったし、それに・・・・・・」
「それに?どうしたんだよ。」
聖奈は次に出てくる言葉が、恥ずかしくてつっかえた。
そして、少し小声になりながら吐き出した。
「最近、あなたと会えない時間が辛いの。交際している事を公表するっていう、手もあるけど樹君は嫌でしょ?」
「・・・・・・俺はそれでも辞めないで欲しい・・・・・・」
樹は、混乱しながらも、ゆっくりと自分の意見を口にした。
「わかった、交際を公表していいからこれからもみんなに元気を与え続けてくれ。」
「樹君・・・・・・わかった、ありがとう樹。」
「気にするな、いつかは公表しなきゃいけなかった事だ。それが少しばかり早まっただけだ。」
「ありがと、大好き♡」
後日、世間を騒がすビッグニュースが、ある国民的アイドルから発表された。
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聖奈のバレンタイン回でした!
3時間後ぐらいに次の女の子のバレンタインエピソードを投稿します!
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