#21 乱舞⑤
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〜少し前〜
【見えてきたよ、咲夜お姉ちゃん。】
【はい・・・】
時々後ろを振り返りながら、咲夜は美月と一緒に南極半島の空を飛んでいた。
音速で飛んでいるので、今では改良されて一般の魔法師も使うようになった通信魔法で会話をする。
でも、結人が心配で心配でたまらなかった。
衝撃波よりも速く飛んでいるので一体どれほどの戦闘が繰り広げられているのかはわからないが、白く光り輝く魔力の塊と、真っ黒の魔力の塊をみれば、その戦闘のレベルの高さが窺える。
【お兄ちゃんなら大丈夫です、お兄ちゃんを信じましょう。】
【わかっていますよ、美月さん。今は私たちの相手に集中します。】
正面に視線を戻した咲夜の目に写るのは、米粒ぐらいのサイズの2人、『レッドナイツ』のグレンと、報告にあった魔法使いだ。
少し後ろには、彼女の最高レベルである第3段階を展開するルーシアが見える。
彼女の第3段階である『ヘブンズフィールド』は、範囲内の任意の対象に対して回復効果を与える。
ちなみに、回復というのは再生ではなく細胞の活性化という表現が正しい。
失った腕や脚を再生する事はできないが、かすり傷などは1秒あれば何事もなかったかのように回復する。
これが、戦場ではどれほどありがたいか。
発動中、魔力回路のほとんどを固有魔法に持っていかれるので、他の魔法が使いにくくなるのが弱点だが、彼女は既にそれを改善している。動きは遅くなるが、その分防御力に特化させて前線に立っていた。
またがった白い虎とともに突撃を繰り返すチェルシーのグレンへの攻撃に割って入った咲夜は、自身の愛刀でチェルシーの攻撃を正面から受け止めた。
これで男女が逆ならヒロインが恋に落ちるようなシーンだ。
直後、漆黒の龍剣を手にした美月が、チェルシーの真意魔法に横方向で直撃した。呆気を取られたチェルシーは、後方に後退して体制を整えようとした。
「咲夜!それに美月も、お前らが来たって事は結人はお取り込み中か?」
「はい、結人さんは強敵と交戦中です。」
「わかった、あいつを何とか無力化させてくれ。俺はルーシアの防御に専念する。」
「わかりました。」
隣に並んだ2人は、剣を構えた。
それを見たチェルシーも槍を構える。
緊張感がだんだんと高くなっていき、ほぼ同時に動き出した。
息ぴったりの2人は、美月が上から叩きつけるように斬撃を繰り出し、咲夜は下からすくい上げるような斬撃を放つ。
魔力を纏わせた龍剣と日本刀はそれぞれ赤と黒に輝きを放ちながら連撃を繰り出した。
対するチェルシーは、後ろに後退しながら誘い込むように応戦した。
【美月さん上!】
【わかってるよ、お姉ちゃん】
戦闘の経験が豊富な咲夜の指示で、美月は縦横無尽に動き回る。
「空間魔法<絶縮>!」
「神楽流・弍式<炎の舞>・・・・・・」
藁科の魔法の基本<絶縮>を用いて上に回り込んだ美月は、予測不可能な攻撃を放った。
とっさの判断で上の防御を固めたチェルシーは、その攻撃をしっかり受け止めた。
それに合わせて、咲夜は実家に伝わる剣術を放った。
色々な方向からの速くて重い4連撃がチェルシーの真意魔法に直撃する。
チェルシーの真意魔法は、修復が無限にできるという力だ。もちろん、修復不可能なほどの連撃を繰り出せば、その鉄壁の壁に隙が生まれる。
パリーンッ
魔力障壁が破れる音が聞こえる。本体までは剣は届かないものの、バリアを破る事には成功した。
チャンスはしっかりと掴む。
【咲夜お姉ちゃん!】
【わかっています。】
「神楽流・肆式<桜の舞>」
嘉神家に伝わる神楽流の最後の型<桜の舞>。
咲夜の刀は紅から桜色に変化し、人々の心を動かす桜のように、凄まじい速度で斬撃を放った。
蓮撃は止まらない、一撃を入れるとすぐに阻害魔法<
神楽流の奥義とも言えるこの連撃を20回もまともに喰らったら間違いなく戦闘不能になる。しかし、チェルシーもまともに受けるほど間抜けでは無い。
「×××(真意魔法)」
未知の真意魔法を感じとり、咲夜は一気に後退する。
文字通り、何が出てくるかわからないからだ。
答えはすぐに出てきた。
突然、彼が乗っていた白い虎が一本の槍へと変わった。最初から槍だったのか、それとも槍が本来の姿なのかはわからないが、圧倒的な魔力を秘めていた。
ただ、パワーアップしたのはチェルシーだけじゃ無い。以前の自分なら負けていたかもしれないが、咲夜と美月は龍の力によってかつての結人に迫るほど強くなった。
「第四段階・契約精霊召喚<炎の大精霊ーフェル>、第二段階<魂の結合>」
今までは、魔力の少なさによって操る事ができなかった、精霊の頂点の召喚と魂の結合をつかった。咲夜よりも少し大きいぐらいの炎を纏った精霊を召喚した。そして、咲夜と手を合わせると咲夜の中に取り込まれる。
途端に、凄まじい魔力が咲夜の身に宿った。実戦で使うのは初めて、でも負ける気がしない。
そして、さらに追い討ちをかける。
「結人さん、お力をお貸し下さい。」
咲夜の正面に、見覚えのある一本の赤い龍剣が顕現した。
結人の持つ4色の龍剣の内の一つには大精霊の力が入っていた。
真っ赤な輝きを放ったまま、咲夜の手に収まると、咲夜が扱い慣れている刀へと形が変わった。
美月も続く。
「
魔力を集めると美月のパートナーである時空龍ヘレナの瞳を宿す。新たに500年生きられる身体になった美月は簡単に新たな固有魔法を習得した。
そしてさらに、美月は次なる進化を遂げた。
美月は、膨大な魔力を集めると、魔法を唱える。
「
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