【1周年記念】&【happy birthday】

ジルトレアやイセンドラス、ネオルカの事を頭から消し去った結人は今日、2月1日に誕生日を迎えた。

16歳となった結人であるが、特に変わった事はない。

強いて言うなら去年より少し強くなった事だろうか。魔法師の頂点である第四段階に到達し、ほぼ人外となった結人だが、相変わらず『彼女たち』と一緒にいた。


「いい天気ですね、結人さん。」


そう言って、2つのお揃いの湯のみを乗せたお盆を縁側におきながら、結人の隣に座った。

丁寧な手つきで持ち上げ、結人に手渡す。


まだ少し寒いが、魔法を使って温めるほどではない。心地よい涼しさとともに、受け取ったお茶を一口飲む。


「美味しい・・・・・・」


「ふふふ、気に入っていただけて嬉しいです。」


ニコッと笑顔を見せると、両手で自分の湯のみを抱えながら結人の方に身体を倒した。

結りとの温もりを感じる、咲夜にとってこの時間は最高なものだった。

しかし、邪魔が現れた。


「ちょっと、咲夜お姉ちゃん?私の分は?なんかハブられているんだけど!」


「まだ居たんですか、美月さん。」


「なんで2人分しか入れてくれなかったの!せっかくお兄ちゃんと私の誕生日なんだよ?」


「だからですよ、私は結人さんの誕生日を心の底から祝いたいのです。その為には2人きりになる必要が・・・」


「なら美月、僕のを飲みなよ。僕は後でいい。」


「えっ!それは・・・・・・」

「うん!お兄ちゃんの飲む!」


結人の発言に咲夜は思わず驚きの声をあげる。直後、正しく状況を理解した美月は即答した。


「わ、私のをあげますから、結人さんのは私にください。」


「ダメですよ、これは私がお兄ちゃんにもらったものです。いくら束縛の強い咲夜お姉ちゃんでもこれは私のだよ。」


「わ、私は別に束縛なんてしてませんよ。」


なんでかわからないが、今度は湯のみの取り合いになった。果たして僕が飲んだ湯のみにどれだけの価値があるのだろうか・・・・・・

いや、あるな。

この前姉さんがふざけて僕の愛剣である『絶夜」をオークションに出した。

しかも、『夜明けの光』というか名前で・・・

咲夜が気づき、茜を咎めた時には既に遅かった。

約3000億円という一体誰が何のために買うんだよって値段て落札された。当然、国家機密をふんだんに使った現代最強の剣を売る事が許されるはずもなく、朝日奈さんに見つかった姉さんはこっ酷く叱られ、落札しちゃった人には代わりにサイン入りのグッズや咲夜も合わせたスリーショットで埋め合わせをしてもらった。

まぁ買った人も有名な会社の社長さんで、何やってんだよって思ったけど・・・・・・


それはともかく、僕が思った以上に僕達の価値は高いらしい。



「それで?話はまとまった?」


「はい、結人さんに2人分入れてもらう事で合意しました。」


「まぁ仕方ないかな。これが譲れる最低ラインだね。」


「わかった、いいよ。」


どうやら話はまとまったらしい。


「私の時は頭撫で撫でしながら下さい。」


「いいよ。」


「じゃあお兄ちゃん、私は膝枕がいいな〜」


「まぁいいけど・・・・・・」


右手で、膝に頭を乗せる美月を撫で左手で、肩に寄りかかる咲夜を撫でながら、魔法を使って急須を浮かして先ほどの2つの湯のみに注ぐ。

本当は、両手でやらなきゃいけないらしいが、今は両手が塞がっているので勘弁してほしい。


入れ終わったタイミングで美月は起き上がり、僕が入れたお茶を堪能した。

どうやら美味しかったらしく、幸せそうな顔をした。


「結人さん、お願いがあります。」


「どうした?」


「やはりお茶には和菓子が必要だと思うんです。」


僕に撫で撫でされながら、同じく幸せそうに一口湯のみに口をつけた咲夜は、珍しくおねだりしてきた。


「いちご大福ならあるけど・・・・・・」


「いえ、私がほしいのはこっちです・・・んっ」


そう、ニヤリと笑いながら言うと、結人を押し倒し素早く唇を奪った。

いつもに増して強引で、でも優しいキス。


「我慢できななかったです・・・・・・」


「僕も・・・・・・」


息が続かなくなって一旦離したが2人とも考えている事は同じだったらしく。もう一度キスをした。そして、啄むようにキスを重ねる。気持ちが高鳴り、次のステップを踏もうとした直後、再び横槍が入った。


「あの、お兄ちゃん、お姉ちゃん、私を忘れないでよ。」


「ご、ごめん美月。」

「す、すみません美月さん。」


途端に顔が赤くなり、2人とも別々の方向を向いた。

正直気まずい。

でも大丈夫、相手は咲夜だ。僕の事を僕以上に知っている咲夜だ。だからここは、優しく・・・・・・


「続きは後でね。」


そう、耳元で囁いた。咲夜は、さらに顔を赤くしながら、うなづいた。

いつまで経っても恥ずかしさが無くなりそうになかった。



__________________________________________



どうも皆さんこんにちは、佐々木サイです!

この度、1周年突破しました!

イェーイ!パフパフ〜♪(手動)


いや〜あっという間でした。ついこないだ半年経過したばかりなのにもう1年です。

この1年間、色々な事がありましたが、楽しめたと思います!

どうぞこれからもよろしくお願いします。


裏話

予定では、1周年とともに完結の予定だったのですが、書ききれませんでした(笑)。

あと1カ月ぐらいは続きそうです。なんででしょうね(サボりすぎ)。

おかげさまで、戦闘の真っ最中にこのエピソードを挟む事になりました。

おかげで様で書けない事が多過ぎる!その後どうなったかを、わからないように、だけど少し匂わせながら書きました!



現状報告


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ありがとうございます!さらなる星をお待ちしております。

2022年-2月-2日佐々木サイ

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