#8 開戦と世界の運命

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準備をする日々は淡々と過ぎていき、ついにタイムリミットである1月20日がやってきた。

セランと朝日奈が指揮をするジルトレアは決戦に備えて、大きく分けて3つの対策を行った。


1つ目は、既に登場している通り、新たな防衛拠点の建設である。史上最強の要塞と言っても過言ではないこのジルトレア第14基地は、まさに人類の砦である。

そしてもう1つ旧フランス領ケルゲレン諸島の奪還に成功したジルトレアはそこに第15簡易基地の作成に最高した。ほぼ全方位がUC勢力圏内という数日放っておいたら陥落しそうな位置にあるが、決戦時において地球側魔法師の休憩地点として活用する予定だ。

この2つを突破されてしまえば、民間人に大きな被害が及ぶ事は間違いない。故に何としてもここを落とされないようにしなければならない。



2つ目は、軌道上からの空爆によって南極を覆っていた魔力の渦を払った。魔力を大量に消費して霧を晴らす事は不可能なので、爆風によって吹き飛ばす作業を1ヶ月ほど繰り返し、何とか地表が見える程度まで霧を晴らした。

そこから見えて来た物、それは夥しい量のUCであった。おおよそだが、旧南アメリカ大陸にいたUCの個体数よりも多い。これらのUCは殲滅する案も出されたが、旧南極大陸内に生存する4体の破滅級UCの事を危険視する声や『イセンドラス』側に奇襲される事を恐れた上層部は放置を宣言した。


3つ目は、旧オーストラリア大陸(第2区)の奪還作戦が行われた。立案から実行までがたったの2日という異例の電撃作戦、少数精鋭による速攻攻撃そして包囲撃滅によって作戦開始からわずか16時間足らずで奪還に成功した。

その間に日本のツートップである『黒白』と『紅焔』はわずか15分足らずで破滅級UC2体を討伐という人外的な成果をあげた。

異例尽くしのこの作戦は世界中に元気を産んだ。そして、『黒白』と『紅焔』の活躍は長く語り継がれていく事になる。





1月20日午後2時ごろ(ニューヨーク時間)


それは、突然の出来事だった。今まで何ともなかったジルトレアの魔力測定システムに膨大な魔力反応が検出された。

これを受けて一分以内にジルトレア司令本部はこれの監視及び撃退命令を発した。


【ジルトレア司令本部オールコントロールから各隊へ、先ほど我が軍の魔力計測システムが南極点の高度1500付近に膨大な魔力の収縮を確認。】

【その膨大な魔力量から司令本部はこれを敵軍の長距離移動魔法と推定、現時点をもって警戒レベルを最大に引き上げ、臨戦体勢を維持せよ。】


機械的で冷静な女性の突き刺さるような声の後、ジルトレア最高指導者いわば人類の代表であるセランは直接マイクに語りかけた。


【この戦争に世界の明日がかかっている、諸君らの善戦を期待する。】


その声に各地から雄叫びが上がった。地球史においては、このセランの宣言を持って戦争がスタートした。

この要請を受けたA級以上の魔法師およそ40名は南アメリカ大陸の海岸線ギリギリまで進行し望遠鏡や魔力反応を用いて周辺を観測した、徐々に増えていく魔力量はすぐに1億、2億と増えていく。

いよいよ始まったのだと、誰もが確信した。


そして、1番最初に目撃をしたのは、衛星軌道上の観測班だった。彼らはすぐに本部へと通信を入れる。


【こちら軌道上観測班、友軍の観測班が地表およそ1500に敵軍と思われる魔法陣を確認、大きさは特大級です。】


【こちら司令本部、魔法陣の種類の断定は可能か?】


【ちょっと待て・・・・・・いや、不可能だ。我が軍の魔法陣リストに掲載されていない、だがおそらく長距離移動系の魔法だと推測される。】


【了解した、観測を継続したり。】


【了解】



「おい!全員聞いたな、俺たちは俺たちの職務を真っ当するぞ!」


「「「応ッ!!!」」」


無人、有人合わせて30機ほどの偵察機が常に地球の軌道上を周回していた。

そして、敵を発見し次第即座に司令本部に通達され、それぞれの魔法師へと通達されるシステムになっている。


「頼んだぞ、上位魔法師達・・・・・・我らの明日の為に・・・・・・」



✳︎



【司令本部より特別遊撃部隊『夜明けの光』へ通達、軌道上の偵察班が長距離移動系魔法陣と思われる巨大魔法陣を確認。『黒白』様に出撃命令が出ております。】


「了解しました。」


【ご武運を・・・・・・・・・きゃー!!!黒白様と話しちゃったぁ〜!!!】


「あの・・・回線繋がったままですよ。」


【も、申し訳ございません!】


そんなハプニングを交えつつ、結人中央にある魔法操作席に座り正面を向いた。

右に咲夜、左に美月が立つ。そして後ろの艦首席には茜が座る。


「・・・・・・面白い方でしたね、結人さん。」


「ほんと、今戦争中ってわかっていなかったのかな。」


「それだけ期待されているって事だよ〜結君自覚してよね〜」


「まぁ確かに今の通信の子は面白かったね、でもおかげで緊張が薄れたんじゃないかな?」


結人の軽口に艦内で笑いが起こる。そして、結人は真剣な顔をすると宣言をした。


「じゃあ、行きますか・・・・・・」


そして、名前ばかりではあるが、このツクヨミの艦長として務めを果たす。


「魔力制御システム始動、待機モードから通常モードへ移行、核融合ニュークリアフュージョンシステム始動、魔力障壁展開、メインエンジン1番から4番回転開始。」


「メインエンジン指導了解!」

「魔力制御システム許容範囲内です!」

「魔力障壁展開確認!」

「核融合システム正常」

「全システムオールグリーン、結人様お願いします。」


「『夜明けの光』所属ー第4新型空中戦闘艦ーツクヨミ、発進!」


ただでさえ目立つ紫色の艦体に、戦場で目立つオレンジのラインが入ったことによって、さらに戦場で周囲の目を引く空中戦闘へとなった。茜が(結人と咲夜の)お金を大量に注ぎ込んで魔改造を施したツクヨミは、先程の奪還作戦の時とは比べ物にならないほど強くなっていた。

新たに搭載された核融合システム、制御が比較的簡単で莫大なエネルギーを生み出す事ができる核融合システムの初陣でもある。


「この艦は言わば人類の旗印です。絶対に生きて帰りましょう。」


「「「了解!!!」」」


旧大日本帝国軍に聞かれたら怒られそうな事を言いながら、ツクヨミはジルトレア第14基地を出撃した。

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