#3 結果と歩み③

あけましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!



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その後も、『イセンドラス』と『ネオルカ』の睨み合いは続いた。

非精霊術師最強である『ワリーシナ』を失った『イセンドラス』に『ネオルカ』を攻撃する手段は無く、『ネオルカ』にも『イセンドラス』へ軍隊を派遣する理由が無かったため、戦争は膠着した。


空白の500年が経過した。

その間に『イセンドラス』の人口は上昇率は低下したものの、4000万人を超えた。彼らは8つの州とその代表を選出し、多少のテロ行為は起きたものの一度も内乱を起こさずに過ごした。そしてついに『イセンドラス』は『ネオルカ』への移動手段を手にした。


まだどちらの文明も電気やガスを発明していない時代、侵略者である『イセンドラス』は金属に空洞を空けただけの宇宙船を作り、魔法の力で敵星へ降下しながら戦った。しかし、そんなお粗末な方法でまともに戦えるはずが無かった。

防衛に当たった『ネオルカ』の精霊使い達は、宇宙船がパラシュートのような物を展開した直後に強襲、各個撃破をくりかえした。

公転周期の影響により1年の内でも数日しか攻撃できない『イセンドラス』は大量の死者を出す結果となった。死因にはもちろん、宇宙空間での宇宙船の故障や星に帰還できなくなってしまったものもある。


10回に渡る侵略作戦は全て失敗に終わり、『イセンドラス』は一方的な戦争停止を宣言した。


『ネオルカ』という共通の敵を失った『イセンドラス』は、戦乱の時代となった。8つの州がそれぞれゲームのように争いを行い、侵略、略奪、割譲は当たり前、州民による暴動も次々と勃発した。

地球で言うところの中国のように、統一されたと思ったら分裂するという行為を繰り返した。


「そして、1000年以上続いたこの動乱の副産物として1つの大きな物が発明された。そしてその悪魔の兵器というのが・・・」


「UC・・・・・・だな。」


セランの呟きに誰もが目を丸くする。

想像を超えた、遠く離れた宇宙の彼方での過去の歴史。そして想像してしまった最悪の歴史。

誰もその信憑性を疑わなかった。相手を見ればそれが本当の事なのかどうかなどすぐにわかる。


「その通りです、セラン。ですがこの話はここで終わりではありません。本当の悲劇はここからなのです。」


最初にあった8つの州は合併と吸収、分裂を繰り返し、大きな2つの州へと発展した。初代『イセンドラス』国王の子孫を自称する2つの州のリーダーは最終決戦を行う事となった。

度重なる戦争によって疲弊しきった州民を癒すため、戦争は本当に辞めなければならなくなっていた。


当時の両国の最強部隊は、どちらも魔獣使いという部隊であった。

ジルトレア基準で言うところの上級か超級に匹敵する魔獣を率いて戦闘を行った。


そして、勝った方が『イセンドラス帝国』として建国を宣言し、本当の意味で戦争は終わった。


しかし、人が愚かであるように『イセンドラス』人も愚かであった。300年が経過した頃にはかつての平和は消え去り、すっかり戦争すべしという声が高まっていた。

だが、今度のは内乱というわけではない。新たな敵は『イセンドラス』人の夢である『ネオルカ』への攻撃である。

以前とは比べ物にならないほど技術は向上し、宇宙空間における大部隊の輸送も可能となった。


そしてついに帝国は動いた。

5000隻を超える大艦隊が『イセンドラス』を出撃し、『ネオルカ』へ襲いかかった。

一進一退の攻防の末、先に躓いたのは『イセンドラス』の方だった。


原因は未だにわかっていないが、自国に収容中であった。キング級魔獣とよばれる12体の最終兵器が暴走を始めた。

まさかこんな事になるとは思っていなかった帝国はすぐさま精霊王国と停戦を行い、キング級魔獣の討伐を目指した。

しかし、それは叶わなかった。

魔力量が豊富であった『イセンドラス』では、魔力を活動源とするキング級魔獣の魔力を直ぐに回復させてしまい討伐は出来なかった。



✳︎



帝国の上層部『イセンドラス』を見捨てて『ネオルカ』への移住を検討し始めたその時、帝国に奇跡が起きた。

考古学を専門とする学者の1人が、『イセンドラス』の英雄と謳われる非精霊術師最強の男『ワレーシナ』の基地を発見したのだ。そしてそこでとんでもない魔法を発見した。


空間物体移動システム。

つまり、転移魔法だ。

当時の科学者はすぐにこれの応用を、と考えたが、それは不可能とわかった。この魔法式は行き先を限定する事でだいぶ簡略化されたものであったからだ。

効果はただ一つ、物体を遠くのどこかへと送り出すという魔法である。

そしてその魔法を巨大な砲門にそのまま書き写すとすぐに実施試験が行われた。


魔獣の暴走によって魔獣に対する感覚がガラッと変わってしまった『イセンドラス』人は、殺処分待ちであった魔獣達に向けて先の魔法を放った。

結果は成功、魔獣達が跡形もなく消えた。


『帝国の奇跡』と名付けられたその魔法を帝国は実戦投入した。

すぐに作られた5つの『帝国の奇跡』を用いて、すぐさまキング級魔獣の討伐が行われた。


「彼らは魔獣を駆除するため魔法を連発した、魔法で転移した先に何があったかも知らずに・・・・・・」


「という事は・・・・・・」

「いや、そんなはずは・・・・・・」


人々に驚きの声が上がった。繋がってしまったからだ。だか、まだ中には信じられない人もいた、しかしキリアの次の発言で信じざるを得なかった。


「当時精霊王国の王女であった私も討伐に参加していた。解き放たれたUC達は宇宙空間でも生存可能というとんでもない性能を持っていた、だからここで仕留めきれなかったら精霊王国にも被害が及ぶと思い、私も参戦する事にした。」


戦争を繰り返す愚か者も自分の身に危険が及ぶとわかるとすぐに命を大切にする。

当然といえば当然だが、帝国上層部は臆病であった。

賠償金の支払いをする事を約束して、精霊王国に助けを求めた。精霊王国はそれに応じて2国共同作戦が展開された。


「まぁそれに私は、精霊王国の中で最強だったからな断れなかったよ。しかし、帝国の真の狙いは別にあった、帝国は私を排除するために参戦を依頼したのだ。帝国は、私に魔獣の討伐ではなく魔獣討伐の囮を依頼したかったというわけだ。『帝国の奇跡』という名の悪魔の兵器・・・・・・私はその悪魔の魔法に巻き込まれて地球へやってきた。」



_____________________


書き終わらなかった・・・・・・

ごめんなさいもう1話続きます。

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