#20 古き英雄③
二度ある事は三度あるといいますからね。
(反省してます。
_________________
ぐらっと、空間が歪むのは感じた。
しかし次の瞬間、ダメージを受けていた。
もちろん敵の姿は見えていない。
キリアには何が起きたのかわかっていなかった。自分こそが世界最強と信じて疑わないキリアには自分よりも早く動く存在の可能性を考えていなかったからだ。
「何だ!」
地面に激突する直前に、地面に魔力障壁を展開していたため大ダメージこそ防いだが、完全に体勢を崩された。
結人は、容赦をしない。
気づいた時には4色4本の龍剣に囲まれている。鋭く尖った剣先はキリアを狙う。
キリアの目の前には、自分と同等かそれ以上の魔力をもつ剣が4本と自分より、遥かに多い魔力を持つ剣が1本が見える。そして確信した、この男こそが部下の報告にあった序列一位だと。
キリアは目の前に立つ男が強敵である事を認識する。
まだ逆転の目があるそう信じて疑わないキリアは、攻勢にでようと試みる。
先程までとは違いステッキを素早く振った。
「風魔法<暴風滅裂>」
風魔法における最上位級の魔法をぶっ放す。
全方位同時攻撃魔法の風圧で龍剣を押し返そうとした。
しかし、結人の加速魔法はキリアの風魔法を上回る。
スパッと空気の層を切り裂いて、キリアが常時展開している魔力障壁へと突き刺さった。
押し合いで後手をとったキリアは、『正面からの殴り合い』から『スピード勝負』へと移行する。
白いステッキを3回振り、自身に加速魔法と飛行魔法を施した。また、残りの一つは身を守るための防御魔法を選択している。
対する結人には余裕があった。
24時間365日常時展開している4重の次元バリアや圧倒的な魔力を誇る龍剣、そして嘉神エリーナの開発した魔道具の数々。
キリアの何枚も上をいっていた。
スピード勝負を選択したキリアに対して、結人は正面から迎え打つ。
「風魔法<スラット・スピア>!!!」
キリアの持つステッキの先端に竜巻を作り出して攻撃する。だが、空間魔法を操る結人に長距離戦は無意味であった。
「<絶縮>」
空間を捻じ曲げ、攻撃を逸らす。例え誘導がついていたとしても空間が捻じ曲げられていては当たるはずがない。
しかし、今度の結人の魔法をキリアは完璧に観察していた。
そして気づく。今の魔法、以前見たものよりも数段練度が上がっていたが、見覚えがあった。
「お前、藁科の人間か?!」
いつもの明るい口調が一転して、敵意剥き出しの声でそう告げる。
空間を捻じ曲げる事ができるのは重力魔法か精霊魔法そしてもう1つが空間魔法。
その内、ここまで完璧に空間を文字通り操る事ができるのは空間魔法のみ。
そして、キリアが地球にいた頃、空間魔法が使えるのはこの一族だけであった。
「藁科隆元の息子か孫だろ!」
会話などするつもりは全く無かったが、恩師の名前がでたので結人は口を開いた。
「藁科隆元の孫、藁科結人です。」
「って事はこの剣は龍剣か・・・・・・通りで硬いわけだ。だがおかしいな、あいつの話では龍剣は1人につき一本だけじゃ無かったのか?」
「・・・・・・」
おしゃべりをこれ以上続けるつもりは全く無く、結人は黙って攻撃を続ける。今までは加速魔法しか使ってこなかったが、今度はそこに空間魔法を合わせる。
無駄な攻撃はしない。最初から初見殺しの一撃を放つ。
「<絶縮><絶牢>」
黄色い半透明の球体がキリアの身体を囲う。
抜け出せなくはないが、抜け出し方を知らなければ脱出はほぼ不可能。
だが、古き英雄もまた英雄であった。
「はぁぁぁあぁぁああ!!!」
気合いだけで牢獄を打ち破った。その行動には結人も驚く。
ただ、驚いただけでは終わらない。魔力を練り集めると次の段階へと進んだ。
「第3段階<閃光>」
キリアは、風の魔法使いであるが、それと同時に雷の魔法使いでもある。
地面を強く蹴ると、雷のように加速した。大量の電気を身体に纏い、目にも止まらぬ速さで加速する。
速度だけを見れば、結人をも上回っていた。
一直線にしか進めないが、魔力障壁を使えば方向転換ができる。
直線的な攻撃を結人は一本ずつ確実に封じていった。だが、時期に追いつけなくなる事を悟ると対抗して段階を上げた。
「第3段階<龍の瞳>」
自身の魔力回路の効率と魔力量を底上げした。キリアの魔力回路の動きから近い未来を予測して攻撃を叩き込む。またしても殴り合いは結人の勝利であった。
しかしここで何故かキリアは第二段階を解いた。否、解けてしまった。
それどころか、まるで化け物を見たかのように、微かに震えている。
「おい!どうした、シルヒィード!よもやこいつの殺気に当てられたか?ならこっちを使うか。」
そう大声で怒鳴ると、再び魔力を集め始めた先程よりも膨大の。
「第4段階ー契約精霊召喚<
精霊の区分は大きく分けて4つ
普通の精霊
姿形がぼんやりと見える中位精霊
姿形がくっきりと見える上位精霊
そして声を話す方ができる大精霊
風属性の中で頂点に位置する大精霊が召喚された。圧倒的な威圧感をもった彼女は、怯えていたシルヒィードの前に出ると、その場で膝をついた。
そして、彼女はこういった。
「お久しぶりでございます、龍皇女ー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます