#13 上陸②
ついに、60万PV達成しました!
いや〜長かったです。
連載が始まって半年と少し、自分でも結構頑張ったと思います(笑)
引き続き、どうぞよろしくお願いします。
佐々木サイ
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結人が破滅級UCと戦っている頃、同時刻に降りた別働隊は、旧チリ首都サンティアゴへ向けて垂直方向へ落下していた。
メンバーは、ゼロ艦隊や夜明けの光のような先鋭部隊である。その中には、樹、空、桃の3人も含まれていた。
「案外残っているんだな、何十年も前なはずなのに原型は保っている・・・」
「人工衛星からの写真でも見たけど凄いな。」
「ほんとだね、これなら住んでいても問題無かったんじゃない?」
高層ビル群こそ無いが、昔人が住んでいたと思われる家や建造物が全てそのまま残っていた。少し緑が目立つが、上空から見てもそれはそれは美しい街であった。
当初想定していた戦闘を行う事無く、市街地全体を見渡せる岡へと降り立つ。
着いたら直ぐに拠点の設営だ。
3人は、それぞれ亜空間から仮設テントを取り出す。それほど大きくはないが、入ろうと思えば10人ぐらい入れる。
だが、テントを広げようとした桃は手を止める。そして、正面に建つ建造物を指さす。
「ねぇ、思ったんだけどさ、拠点アレにしない?」
「まじで言ってんのか?」
「うん、仮にも大統領官邸なんだから多分頑丈でしょ。」
桃が指さした先には、『モネダ宮殿』があった。
ずいぶん昔に建てられたものだが、あの中では1番頑丈と言えるだろう。それと、庭なども無駄に広いので、戦闘機や輸送機の発着も可能だと思う。足りなかったら魔法で更地にすれば良い。
「確かにそうだな、街の中心部にあるから動き安いし・・・・・・よし、あそこにしよう。全員、ついて来い!」
「「「了解!!!」」」
今回の別働隊のリーダーを務める事になった樹が声をあげる。ちなみに今は『青の悪魔』モードである。
それなりにだが怖い。
*
真昼間の誰もいない街で、1つの集団が拠点設営のために動き回る。
レーダーはもちろん、通信機器や魔力障壁などの設備を次々に配置していく。
流石はエリート集団といった所か、わずか1時間足らずで古びた宮殿は基地と呼べる場所へと変形していた。
早速、樹は本体と連絡をとる。
「こちらは夜明けの光所属、A級魔法師 青であります。サンティアゴの制圧、及び拠点の設営完了しました。」
「ご苦労であった。まず、状況報告を頼む。」
モニターの先に構えるのは、もちろんセランである。今日のセランはなんというか興奮しているようだった。
口調が変になっている。
「はっ!当初の予定と変更し、旧『モネダ宮殿』にて拠点を設営。物資の欠品は無く、予定通りC級装備の設置が完了しております。今後の方針としては、20分後の次のセクションポイントにて『ツクヨミ』より補給物資の受け取りを行います。また、2500mの滑走路の建設も完了しました。ご命令とあらば、光魔法で誘導も行えます。また、被害報告及び戦闘報告は無しです。どうやら奴らは、市街地よりも森林を好む傾向があるようです。」
「そ、そうか!やってくれたか。あいわかった。現在攻撃中の戦闘機及び爆撃機、輸送機をそちらに向かわせる。出来れば半径100kmのUCを殲滅しておいてくれ。」
「了解しました、失礼します。」
樹が敬礼をすると、向こう側から通信が切断される。くるりと振り返った樹は、全員に告げる。
「聞いていた通りだ。とりあえず、A班とB班に分けて行動することにする。A班は俺と一緒に付近のUCの殲滅だ。B班は基地及び滑走路の強化だ。恐らく500機ほど来るだろう、全員分の寝床を用意しておけ、では解散!!!」
「「「了解!!!」」」
支度を終えた樹は、作業を始める隊員達を見る。おそらくだが、全員俺より年上だ。
そんな中、もしかしたら俺、隊長の才能あるかも、っと考える樹。やがて、俺が優秀なんじゃなくてここにいる隊員達が優秀なんだなと悟る。
夜明けの光やゼロ艦隊のメンバーに選ばれるというだけで世界トップクラスの証明だ。
まさに、世界を代表する優秀さである。
あっという間に準備が終わり、隊員達は一糸乱れずに整列する。A班は樹の元に、B班は桃の元へと集まった。
そしてそれぞれは、任務を遂行した。
*
「なんだ今のは!!!」
狩りを始めようと思った直後、凄まじい魔力を感知した。災害級を覚悟したが、直後に反応が消える。
「わ、分かりません!方向は何となくわかるのですが、距離は皆目見当もつかないです!」
「自分も、距離は分かりませんでした!」
樹の後ろに続いて飛んでいた2人がそう伝える。
すると、B班の1人がこちら側に飛んできた。
「報告します、本部より入信、S級魔法師達が任務を完了したとの事です。」
「マジかよ。あいつ、やりやがった・・・・・・」
「「「うぉーーー!!!」」」
隊員達は大盛り上がりだった。樹は、背後で叫ぶ部下たちの声を聞きながら今後苦労するだろうなと、親友を憐れむのであった。
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