#9 二つの死闘②
結人とワーム型破滅級UCとの戦闘が始まってから80分が経過した。
一進一退ならぬ、一方的な戦闘ではあったが、80分が経過した今でも戦闘が続いていた。
結人の攻撃を80分浴び続けながら今だ倒れていなかった、さすが破滅級UCといったところだろう。
ああぁぁーーぁぁああぁあーーーーあああぁ
だが、もちろん無傷というわけではない。140億ほどあった魔力は既に半分ほどしか残っておらず、既に疲弊していた。
まだ油断はできないが、結人はどんどん有利な立場へと歩みを進めていった。
「流石に疲れたな・・・・・・」
普段は疲れなどいっさい感じない結人であるが、今回はそうもいかない。
流石に、これは身体にくる。
「<火炎加速><電光加速>!」
絶え間ない攻撃を浴びせ続ける。最初のうちは攻撃をくらってもびくともしなかったが、一撃を負うごとに奇声を発し、図太い図体を揺らした。
もはや、どちらが化け物なのかわからない。
攻撃力は結人の方が上だが、体力については破滅級UCの圧勝である。結人は、この化け物の寿命があまり長くない事を悟った。
✳︎
ここで、90分毎にやってくる味方が来た。はるか彼方、上空400kmからの援軍だ。
すなわち、ツクヨミである。
「さぁ、やって参りました〜お姉ちゃんの登場だよ〜」
「おそらくですが、聞こえていないと思いますよ、紅様」
周囲の人間も、誰に言っているんだよと、心の中で突っ込む。
茜は、お気に入りの軍の帽子に手をかけながらそう宣言した。モニターには、最悪の敵と懸命に戦う弟の姿があった。
画面越しでは速すぎて見えにくいが、間違いない。
最凶最悪の破滅級UCとたった一人で渡り合えるのは人類の中では結人しかいない。
「よ~し、対破滅級UC用特殊炸裂弾『SPM2』発射よ~い!!!」
『SPM2』
ジルトレアが開発した新型の対破滅級UC用の炸裂弾である。例え茜がどれだけ加速魔法を重ねがけ下としても通常の弾丸で破滅級UCにダメージを与えることは難しい。
だが、ジルトレアが総力をあげて開発したこの弾丸ならば、少ないとは言えダメージが通る。
「発射っ!!!」
ツクヨミに搭載された2つの砲門が一斉に火を噴く。『SMP1』とは違い、『SMP2』の砲門は二つある。その分威力は落ちるが、魔法による爆発でダメージを与えることができる。ただ、コントロールが効きにくく、小さい個体のUCを狙うのは難しい。だが、このように大きな奴であれば狙う必要がないので問答無用でダメージをたたき込める。
*
攻撃を直前に察知した結人は、『SPM2』が当たらない所に逃げ、再び作業に戻った。
第一発目は命中、それも敵のど真ん中、すなわち核があるところである。
この弾丸は特殊なもので、対象の魔力の量で威力がきまる。魔力が多ければ多いほど威力が上がるのだ。
つまり一般人に打ったとしても普通の弾丸とあまりかわらないが、魔力を大量にもつUCに対しては効果抜群という事だ。
ぎゃあぁああぁぁぁぁああたきゃあぁあー
色々なところに連続して着弾する。結人ほどではないが重い攻撃が続く。
どうやら想像以上に効果があったようで、のたうち回っていた。とても苦しそうだった。
ここで、結人はブランを変える決断をする。
このまま安全に戦ってもいいが、この『SPM2』で敵UCの気を引くことができるがわかったので、もう恐るものはない。
攻撃の手を止め、上空で静止すると感覚を研ぎ澄ませる。
魔力の流れを深く感じとり、自信の純白の
龍剣へと魔力を集める。
「第二段階・・・・・・」
狙うはただ1点、頭部にある核である。
光の道筋が敵UCを捉える。万物を見通す龍眼で、標的を見つめる。
こいつも、ここに来たくて来たわけじゃないのかもしれない。
だが、これは戦争だ。
決して遊びでは無い、結人は覚悟を決める。
「
破滅級UCの頭部を白い輪っかが囲む。
魔力の集まりが止まると、敵UCの核を中心に半径2kmが白い球体に包まれた。
そして、内部の次元を崩壊させ、体積を失った物体は静かに消えた。
後に残されたのは、ただの無であった。
数秒ののち、硬直時間を終えた結人は腹部にある核を狙う。
既に再生が始まっているが、最初と比べてとても遅い。
これなら・・・・・・
「第2段階」
再び先程と同じように構えると、次なる目標に視点を揃える。
連続の行使は初めてだが、何だか今日はいける気がした。ぶっつけ本番でいく。
「次元崩壊」
再び白色の球体を作ると、最高火力の魔法を放った。
あれほどまでに強大な魔力を持っていたUCはたった1人の少年の前に倒れた。
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