ss 巫女
例によって、ネットサーフィンをして可愛いコスプレ衣装を探していると、気になる記事を見つけた。
『今の流行りは巫女さん!巫女のコスプレをすれば気になるあの人もメロメロ間違い無し!』
「なるほど、巫女さんですか・・・・・・ですが巫女の服となると一旦実家に帰らなきゃですね、ですがあの服あまり可愛くない気が・・・」
咲夜の実家は神社である。
特に大きい訳ではないが、昔からある由緒正しい神社として地域の人々に親しまれている。
咲夜は、結人に連れ出されるまで、神社の裏にある小さな家で過ごしていた。咲夜が表舞台に出る事は無かったが、一応巫女の服を着て過ごしていたのだ。
朝起きて、顔を洗い朝食を食べた後は日が暮れるまでは1人でひたすら勉強と魔法の練習。
父親は、魔法師関係の仕事があったり神社の仕事があったりで家を空ける機会が多く、魔法を教えて貰う機会は週に1回あるかないか。
母親にいたっては研究所に泊まりがけで仕事なので長い時は半年ほど帰って来ない。
朝、昼、夕はもちろん全て自分1人で作り自分と父親で食べるそんな生活を続けていた。
咲夜は4歳の時から文句1つ言わずに頑張った。唯一の楽しみは、両親に魔法の出来を褒めて貰う時のみ。
そんな生活が数年続いていた・・・・・・結人と出会うまでは。
「私はいつも結人さんに支えられてばかりですね。」
楽しい思い出の中には必ず彼がいた。
何処までも愛おしく、何処までも一緒にいたい存在。
結人と出会ってから、結人がいない時間がとても悲しく感じられた。自分の身体の一部が無くなってしまう感覚だった。
そして次の日また会える喜びを知った。
「昔の衣装はもうは着れなくなってしまっているでしょうし、新しいのを買うとしましょう!」
決断した咲夜は、早速巫女の服を買うためにインターネットを飛び回る。
できるだけ昔着ていたもの似ていて、結人が気に入ってくれそうな物を・・・
*
「ただいま〜咲夜って今回は巫女さん?」
「お帰りなさいませ、結人さん。」
「なんか久しぶりだね、その感じ。昔を思い出すよ。」
「どうですか?似合ってますか?」
咲夜は、立ち上がるとその場でくるりと回った。普通の巫女服とは違い赤いミニスカートに白い振袖を着た咲夜はとても可愛い。
彼女の白い髪に付いている赤い髪飾りがとても可愛くて似合っている。
「うん、とても可愛いよ。」
「えへへ、ありがとうございます♡では結人さん、夕御飯の用意は既に出来ております、手を洗って食卓へおこしください。」
「うん。」
咲夜は一礼すると、ダイニングの方へ戻っていった。
所作の一つ一つが丁寧で、後ろ姿もとても美しい。
結人は靴を脱ぐと洗面所で手を洗い、テーブルに座った。
「今日のご飯は、お刺身です。市場で活きのいいマグロがまるまる1匹手に入ったので、切って起きました。」
「咲夜が切ったの?!す、すごい・・・」
「はい、結人さんの妻として当然の事です。」
「そ、そうなんだ・・・」
咲夜は、家事スキルが異様に高い。僕との婚約が決まった後は勉強に割く時間を全て家事の練習に回したらしい。
だから料理もめっちゃ美味しいし、身の回りの事も何でもできる。
しかも僕が苦手なPCにも強く、よく自室でイジっている。何をしているのかを聞いたらセキュリティを強化したり世界の中の情報を集めているらしい。よくわかんないけど。
「やば、何これめっちゃ美味しい!」
「ありがとうございます、頑張ったかいがありました。」
そう笑顔で返答されると照れる。
小さい事にも気が回り、何でも用意してくれる。
ほんと、僕にはもったいない婚約者だ。
「いつもありがと、咲夜。僕は幸せだよ。」
「へ?!あ、ありがとうございます・・・・・・わ、私も幸せです。」
ちなみに咲夜は想定外の不意打ちに弱い。
「ずっと一緒にいてくれる?」
「は、はい!」
「僕と婚約してくれてありがと!」
でも、あんまりやりすぎると・・・
「・・・・・・今すぐ区役所行きましょう!結人さん!婚姻届は既に用意してあります!年齢の偽装も後でやっておきます!」
顔を真っ赤にし、慌てて立ち上がった咲夜は、亜空間から婚姻届を取り出した。とうぜん、2人の名前が書いてある。
ちなみに、僕の印も押されている。
というか僕の年齢18歳になってるし・・・
「落ち着いて、咲夜。お願いだからあと2年待って、僕はどこにも行かないからさ。」
「わ、分かりました。」
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巫女要素少ない気がするのは気のせい
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