樹&聖奈のお忍びデート
「おい!ちょっと待てって!」
「魔法師なら加速魔法でも使って追い付いてきなよ、樹。」
「ちっ、しゃ~ね~な加速魔法<
護衛任務開始から5日
結構打ち解けてきた俺たちは、近くのデパートに正体を隠したまま遊びに行くことになった。
もちろん結人達みたいにラブラブってわけじゃない、それにそんな予定などない。
昨日は仕事が終わった後、星奈の部屋で彼女の作った夕食を食べていた。その時にやった賭けポーカーを負けた、罰ゲームとして荷物持ちを任されたのだ。
こいつは何故かポーカーが強い、もしかしたらあの超人たちといい勝負かもしれない。
今日は週に一度の休みの日らしく、俺たちはお忍びで遊びに出かける事になってしまった。
彼女は、青いワンピースに白い帽子、彼女の美貌が合わさって、とてもよく似合っている。
金髪のアイドルモードでないため、恐らく周りの人間には気づかれないだろう。
俺は彼女の後を追う。
どうやら最近発売されたパイナップルジュースが飲みたかったらしく、売店に並ぶ。
俺いらねーじゃんとは言わない。
「いやー美味しい〜!!!」
「ハイハイ、良かったな。」
俺は自分が頼んだオレンジジュースを口にする。
こんな所でジュースなんて買った事は無かったが意外と美味しい。
ちなみに、結人はいちご、咲夜はぶどうが好きだ。何故かは知らんが・・・
そんな事を考えながら、ジュースを堪能していると、聖奈が物欲しそうにこちらを見つめてきた。
「なんだ?」
「ねぇ、交換しない?」
「確かにそっちのパイナップルジュースも飲んでみたいとは思うがいいのか?」
「あんたがしたいならしてあげてもいいよ。」
「あぁ、じゃあ頼む。」
「え?!!!」
この時、樹は彼女の意図に気づいていなかった。
と言うよりも、全く気にしていなかったため、聖奈だけがダメージをもろにくらう。
「おい、大丈夫か?」
「え、えぇ、大丈夫よ。じゃあその・・・交換、する?」
聖奈は上目遣いをしながら、頼むように樹を見つめる。
その瞳は樹の心をグッと掴んだ。
2人は違う意味でドキドキが止まら無かった。
「ほらよ、するならさっさとするぞ。」
「あ、うん・・・えへへ、美味しい・・・」
「こいつ!」
星奈はジュースを飲みながらチラチラと樹を見る。
永遠に飲んでいられたいいのに・・・
ふと、そんな事考えてしまう。
樹は恥ずかしそうに、違う方向を向いている。
やがて、飲み終わると樹は2人分のゴミを捨てに行った。
「全く・・・ふとした時に可愛くなるのほんと反則だろ・・・それにしてもこの忙しいのも明後日で終わりか・・・」
思わずそんな事を呟いてしまう。ゴミを捨て、待ち合わせ場所に戻ると、星奈はほっぺたを膨らませて不満そうな顔をしていた。
「お~そ~い~。」
「いやいや、そんなに時間かかっていないだろ。」
「ナンパされたらどうすんのさ~」
「お前この俺を誰だと思ってんだよ。銃とかは流石に置いてきているが、流石に不良には負けんわ。」
ちょっとでも先程の笑顔を可愛いと思った俺を恨む。
毎回思うがこいつは少し俺の事をなめすぎだと思う。
そこで置いていくことにする。
「ほら、さっさと次行くぞ。」
「ちょっと~待ってよ~」
2人は知らない、2日後、付き合うどころか一夜を共にするなど・・・
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こんな感じのショートストーリーを多数公開しています。『夕焼けの光』も読んでみて下さい!
イチャイチャ回は大切。
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