#14 これからの事③

「それにしても本当にそっくりだな。噂には聞いていたが、結人君を女装させたら見分けができなくなるんじゃないか?」


「いやいや、女装なんてしませんよ!まあ性別以外ほとんど一緒なのは否定しませんが・・・」


「おまけに、世界最強クラスの魔法師なんだろ?これで負けたら歴史家に責められるのは間違いなく私だな。」


序列発表会を終えた翌日、明日帰国を予定しているセランと結人は最後の打ち合わせをした。

参加メンバーは結人、美月、咲夜、セラン、朝日奈の5人。『摩天楼』でお茶をはさみながら最後の会談を行った。


【ふふふ、いいですね結人さん。今度私の服を貸してあげましょうか?】


【お断りします。】


【着たくなったらいつでも言ってくださいね。】


「日本防衛軍としては、すぐにでも実戦に参加してもらいたいところだが・・・そういうわけにはいかないか・・・」


「はい、私としてはお兄ちゃんに空間魔法を教わりたいです。攻撃系の魔法を全然知らないので・・・」


「わかった。ならばひとまず『夜明けの光』に入ってくれ。あそこなら誰も文句は言わないだろう。」


「わかりました。その話、お受けします。」


「ありがとう。」


さすがに死んでしまうような事にはならないとは思うが、今はまだ危なっかしい部分が多い。そのため、美月は今日から三ヶ月間結人による訓練を行う事になったのだ。

最初は、新たな部隊を新設して、美月にその隊のリーダーをしてもらうという話が持ち上がったが、それで機嫌を悪くして魔法師を辞めるということになったら大きな損失だ。

そこで、美月の要求が全面的に通る結果になった。


「では、僕たちは先に行きますね。」


「あぁ、また今度な、結人君。」


「はい、さようなら、セランさん、朝日奈さん・・・」


「あ、そうだ、俺の孫も東京校に通っているからよろしく頼むよ。気が向いたら魔法を教えてやってくれ。」


「はい、わかりました。失礼します・・・」


結人、咲夜、美月の三人は立ち上がると自らの部屋に帰っていった。

残ったのはいつものふたりだった・・・


「いったか・・・彼女ー藁科美月君の事を知っているか?朝日奈」


「いや、全く知らん。ただ、一つだけ知っている事ならある。そなたも言っていたが・・・彼女の力は本物だ。その実力はいずれ黒白に匹敵する。」


「あぁ、お前はそう言っていたな。これならば・・・12月の奪還作戦で彼の地まで行けるかもしれんな・・・」


「あぁ、もう一度作戦を見直そう。新しい手札美月が加わったんだ。後の歴史家に笑われないようにしなければならにな・・・」


そして、再び作戦会議が行われた。内容はほとんど変わっていない。

一つ変わったのは、新たなる切り札が加えられた事だ。

その使い方を二人は大いに悩むのであった・・・





嘉神家

ここは、咲夜が8歳になるまで住んでいたところだ。

山奥にポツンと置かれているこの家で、咲夜は幼少期を過ごしたのだ。


家の周りは結界魔法に覆われており、普通の場所よりも魔力量が濃くなっていた。これは古くから伝わる体内の魔力量をあげるための方法だ。

ちなみにその濃さは結人の『セカンドプログラム』レベルだ。つまりめっちゃ濃い。

ここは、特訓をするにはもってこいの場所だ。


「いや~ひさしぶりにここに来たな~」


「そうですね・・・まぁ私も久しぶりの実家です・・・ここで私と結人さんが出会ったんでしたよね・・・」


結人と咲夜とネレの3人はここに集まって3人でよく遊んでいた。咲夜はあまり外に出ることができないので自然とここに集まっていたのだ。

咲夜の父である、嘉神優夜に断りをいれて、結人は美月と咲夜の訓練を始めた。





序列発表会で発表された事で世間を騒がせた事が二つある。

一つ目はもちろん、新たなS級魔法師の誕生だ。


二つ目は第三次奪還作成の第一案が発表された。

なぜ全世界に向けて発表したかというと、それは例の人型UCが我々人類の言語を理解できるかどうかを確認するためだ。

知能があれば、その対策も必要になってくるだろう。

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