#28 時を司る者
40万PV達成しました!!!
ありがとうございます!!!
_______________________________
私、長島美月は友人の永絆 千恵と一緒に『世界魔法祭』の会場である、東京を訪れていた。
予想通り、東京は人でいっぱいだった。
UCの出現により、世界は大きく混乱したが、50年が経った今ではまだ陥落していない都市へ飛行機で行く事ができる。
そのため、色々な国の人々が東京に訪れていた。
おじいちゃんが言うには、昔はこんな世界が来るとは到底思えなかったらしい。
アニメや漫画のように髪の毛色が違うのが当たり前の世界となった現代では、見た目だけではどこの国の人か分からない。
別の国の言語を上手に話されたら現地の人々ですら区別できない。
髪色か茶色だったり、目の色が違ったりと、今では逆に昔のような真っ黒の髪の毛に真っ黒の目を持つ日本人の方が断然少ない。
要因としては、魔法の発達とグローバル化があげられる。
専門家によると、膨大な魔力に呼応して色が変化してしまったらしい。
もちもん、ただ単に染めているだけという人もいる。
Day1
黒白様の演説を普通のホテルで見ていた。経費削減のため、千恵と2人で同じホテルに3泊する。その後、色々なブースを周り、整理券を受け取った。有名な企業はどこも混雑を回避するためにIDを配っている。私たちは回れるだけ回り、数多くの整理券を獲得し帰宅した。
私たちのお目当てはもちろん数量限定の『魔法師グッズ』中でも人気なのは黒白様と紅焔様の2人が一緒にいる物。
毎度、暴動が起きるレベルに人気だ。
私たちは、明日、グッズを手に入れる事を夢見て眠りについた。
Day2
今年は4年前の『世界魔法祭』を考慮して売店を複数展開するらしい。
あまり混んでいない事を期待して並びに行ったのだが・・・
「凄い人ですね・・・」
「いやーミスったね〜今年は20個販売所を設けるって聞いたから大丈夫かな、って思ったけど3時間前じゃ甘かったね・・・」
現在の時刻は午前6:00、午前9:00から始まる売店に並ぶために少し早めに来たのだが、遅すぎだった。既に数万人近くの人々が並んでいる気がする。
すると、同じように出遅れたと思われるカップルが私たちの隣で足を止めた。
「あ〜あ、完全に出遅れちゃったよ。」
「悪かったって、聖奈。それに元はと言えばお前のせいだろ?昨日の夜もう少し早く寝とけば良かったじゃねーか。」
「それは!・・・し、仕方ないじゃない、昨日は気持ち良くて・・・って何言わせてんのよ!バカ!」
彼女さんと思われる茶色の美しい髪の毛を持った可愛らしい少女が彼氏と思われる男性を叩く。
「チッ!しゃーねーなー」
そういうと彼氏さんは亜空間から今私たちが買おうとしていたグッズを取り出し、彼女さんに手渡した。
まだ発売前なはずなのに持っている事に驚き、2度見してしまう。
プレゼントを受け取った彼女さんはとても幸せそうな顔をした。
「あ、ありがと、樹。」
「まぁ、まだたくさんあるし1個ぐらい気にすんな。」
何故発売前のものを持っているのか、千恵が我慢出来なくなったらしく彼らに話かけた。
「ねぇ、そこのカップルさん。それどーして持ってんの?」
「か、か、カップル?!!」
「違うんですか?」
「え、えぇそうよ。」
彼女さんの方が照れたらしく顔を赤くした。
先ほどの会話の内容から、もう長く付き合っているカップルたと思ったが、どうやら新婚夫婦らしい。
照れてしまった彼女さんに変わって彼氏さんが前にでた。
「俺たちがこのグッズを持っている事がそんなにおかしいか?」
「ははは、何言ってんの?それは今日発売の限定グッズですよね?」
「あ、そっか、うっかりしてたわ。こっちにも色々とある、聞かないでくれ。」
どうやら触れて欲しくないみたいだ。
スルーすればいのに私はつい口を挟んでしまう。
「彼女さんの声、どこかで聞いた事がある気がしませんか?・・・」
「ギグッ!き、気のせいですよ・・・」
どこか心当たりがあるのか、わかりやすく反応した。
「それを言うなら俺もどっかでお前の顔を見た事がある気がするが・・・」
「気のせいだと思いますよ、私東京に知り合いなんていないですし・・・それに基本的に地元から出ていないですし・・・」
話を逸らすためか、彼氏さんが私にそんな事を言ってきた。
本当に知り合いも親戚もいないし、おそらく気のせいだろう。
「それで?彼氏さん、もしかしてまだ残っていたりします?」
大の黒白好きである千恵は何処か悪い顔をしながら彼氏さんに近づく。
「それで?どうなの?」
「ちょっ!あんた、これ以上私の樹に近づかないでくれる?」
「ごめんなさいね、彼女さん、私も手に入れるために必死なんです。」
千恵はわざと語弊が生まれる言い方をした。
すると、案の定彼女さんが食いついた。
「ちょ、ちょっと!樹は私のものよ!どこの誰かも分からない人に渡さないわ!」
「おい、騒ぐな聖奈。めっちゃ注目されてるだろ。」
「ご、ごめん・・・」
「とりあえず場所を移そう、ここじゃあ迷惑だ。」
彼氏さんに先導されて、私達は近くの公園のベンチに座った。
あんなに人がたくさんいたのに、公園の中はとても静かだつた。
周りをら見回すと公園内にいくつかのブースがあった。
企業や個人のブースは、国の許可のもと公園や道路、体育館などで開催される。
有名な企業や個人のブースは、体育館を貸し切って行われるが、あまり有名でない企業や個人のブースは、道路や公園で行われる。
ブースでは、最新の研究を発表したり発売する事はもちもんの事、高度な魔法の実演が行われたり優秀な人材を発掘したりする。
結人達はブースを持っていないが、エリーナが経営する『銀の船』のブースはとても人気が高い。
その理由は、世界最高峰の技術が使われているからだ。結人が魔法の最先端を歩いているとすれば、エリーナは魔法具の最先端を歩いている。
あの遠距離攻撃用光学兵器『MK_V2ドレータ』を結人と一緒に作ったのが彼女だ。
一方の公園内にある小さなブースはある小さな企業、観客も良くて1万人ほど小さいものだ。
スタッフさんがせっせと頑張っている横で怪しい取引が行われていた。
「それで?彼氏さん、ここに連れて来たという事は売って下さるという事ですよね。」
「まぁそのつもりだな。ジルトレアの物なら余っているな。その代わりと言っては何だが、俺たちの事は忘れて欲しい。」
この反応から見るに私たちの予想は的中したみたいだ。
「は〜あんたは本当にお人好しなんだから、まぁいいわ。私の分も残しておいてね。」
彼女さんの方は先程の誤解が解けたようで普通にしていた。だが、私達は知っている。
彼女が上機嫌なのは、誤解が解けたからではなく、彼氏さんに肩を組んで貰っているからだ。
「え?ただで貰っちゃっていいんですか?」
「あぁ、元々置く場所に困っていたものだ。いいぞ、その代わりさっきの事は徹底してくれ。」
そういうと亜空間からたくさんのグッズを取り出し、手渡した。
「分かりました、ありがとうございます。」
「あ、ありがとうございます。」
「そんじゃ俺は行くわ。また何処かでな。」
「はい、また何処かで・・・あ、最後に名前を聞いてもいいですか?」
「苗字はちょっと厳しいが、俺の名前は樹だ。そんでこっちは聖奈だ。」
「私は美月です。それでこっちのは千恵です。」
「覚えておくよ、それじゃあな。」
「さ、さようなら〜」
そう言い残し新婚夫婦さんは去っていった。
「それじゃあ、お目当てのものも手に入ったし、コンビニでご飯でも買って人気なブースでも行きますか!」
「うん、行こう、千恵。」
2人は次の目標に向かって走り出した。
_____________________________
Twitterを始めました〜
更新の情報と作品の情報以外載せる事はおそらくないと思いますが、良かったらフォローしてみてください。
@ASasterisk_
今日から第3章終了まで毎日投稿頑張ります!
もちもんストックが無くなるのはご了承下さい(笑)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます