#27 世界魔法祭⑤
Day3 15:00
27階にある、特別会議室に7人の人間が集まっていた。
今から行われるのは、『S級魔法師会議』。その名の通り参加が許されるのは、S級魔法師のみ、ジルトレア最高責任者であるセランですら入室は許されていない。
序列1位 日本 藁科結人
序列2位 アメリカ ゼラスト=メネルトーレ
序列3位 アメリカ レネ=ストライク
序列4位 日本 嘉神咲夜
序列5位 ヨーロッパ グレン=ロワール
序列6位 ドイツ 藁科真人
序列7位 日本
序列8位 アメリカ スカイラ=ディルロード
序列9位 ヨーロッパ ルーシア=ヴァッレ
序列10位 イギリス クリスティア=ヘリフォード
圏外 日本 嘉神エリーナ
圏外 アメリカ シェリカ=ユタ
以上12名のS級魔法師の内、開催国である日本所属の結人、咲夜、瑞葉、エリーナとゼラスト、レネ、真人が集まった。
残りのメンバーは音声のみの参加だ。
涼風 瑞葉
日本所属の序列7位のS級魔法師で、『深緑の支配者』の二つ名を持つ。
彼女の得意な魔法は、精霊魔法『風』で、風を自由自在に操る。
戦闘スタイルは他の魔法師と違って武器を持たず、純粋な魔法の力だけで戦う。
古参家の1つ涼風家の次期当主で年齢は22歳。
『夜明けの光』所属の椿 南波とは仲が良く、幼馴染らしい。
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。」
ゼラストさんが代表で挨拶をする。こういうにS級魔法師のまとめ役になってくれる。
その実力は折り紙つきだ。
「それで?ゼラストさん、今日の議題は何なんだ?」
そう、ぼやくのは序列5位 グレン=ロワール。
ヨーロッパ連邦所属のS級魔法師で、重力魔法のスペシャリスト。獲物は1本の剣で、二つ名は『
<ゼロ・ノート>状態の結人と同じ白色の髪の毛に、黒い目を持つ彼は、そのかっこよさからめっちゃモテる。
中にはガチ恋勢も多数存在し、都市をあげて彼の誕生日を祝った事があるほどだ。
「最近話題になっている、例の魔法陣事件についてです。ご存知の通り、太平洋の西側、日本列島からおよそ1500km地点に出現した巨大魔法陣より、災害級UCを含む多数のUCが出現。また、別にこの魔法陣を構築したと思われる人型のUCを確認、黒白が対処に応じるも別次元もしくは宇宙へ光速移動で脱出。また、似たような魔法陣を何度も宇宙空間にて確認済みです。」
「って事は、アレか?俺たちの真の敵はあの
「そういう事になります。」
ゼラストさんは落ち着いてグレンに答える。グランは気性が荒いが、自分より上位の魔法師に対してはちゃんと尊敬をする良い人だ。
結人とも中が良かったりする。
「それについて詳しく説明してくれませんこと?結人様」
そう言ったのは、イギリス所属の序列10位 クリスティア=ヘリフォード。金髪青眼と美しい美貌で数多くのファンがおり、『
その名の通り、血を使った魔法も得意で、実は吸血鬼なんじゃないかと噂されている。
実際のところはそんなわけあるはずもなく、血は飲もうと思えば飲めるらしいがまずいだけで、十字架やニンニクも全然怖くないらしい。
彼女も日本で言うところの古参家の当主で、彼女の祖父は『悪魔の日』以前から血を使った魔法が使えたらしい。一説によると、吸血鬼と間違えられたんじゃないか、という話もある。ちなみに、結人の大ファンである。
全員の目線が結人に集まると結人何があったのか包み隠さず答えた。
先程まで黙っていたメンバーも結人の報告を聞いて思わず唸り声をあげる。
「問題の強さですが、戦闘が得意な皆さんならおそらく勝てると思いますよ。A級魔法師でも2人居れば油断しない限りまず間違いなく討伐出来ると思います。」
その一言で、それぞれに安堵が見られる。
加えて結人は注意点を述べた。
確かにあまり強くはないが、1つ忘れてはいけない点があった。そう、体内魔力量だ。
当然、対策を考えなくてはならない。
「例の人型魔法師についてはこんな感じです。防衛の担当については、我々が西経40から西経180度、日本の『夜明けの光』が東経90度から180度、そしてヨーロッパ連邦とドイツ、イギリスが西経40度から東経90度を担当しようと思います。」
「承知致しましたわ、私からは以上です。」
「僕達も賛成します。」
「俺たちもそれで問題ない。ルーシア、メモしといてくれ。それと編成も考えておいてくれ。」
「もう既にしてありますわよ、グレン」
そう答えたのはルーシア=ヴァッレ。
ヨーロッパ連邦所属のS級魔法師で、得意な魔法は振動系と精神系を組み合わせた歌による味方へのアシスト+敵への攻撃。結人は最初、歌なんかが本当にこんな魔法が攻撃手段になるのか?と疑ったが彼女の音による広範囲攻撃は非常に強力だ。
水色の髪に黄色い目を持つ彼女は、『戦場の歌姫』と呼ばれ親しまれている。
また、国民には公表していないが、グレンとルーシアは恋仲であったりする。
「あーわかった、ありがとうルーシア」
「いえ、お気になさらず・・・」
そして、魔法陣事件の話が終わると、次は本題に入る。
もちろん、例の奪還作戦についてだ。
『スカイ・バースト』と名付けられた本作戦の概要をゼラストは1つずつ丁寧に説明していく。
作戦参加者を発表し終わると真人とグレンが不満を述べた。
「ゼラストさん、俺も参加させて下さい。息子だけに任せるのは少し忍びないです・・・」
「俺も参加させて下さい!ゼラストさん!結人無しでの攻略では、もしもの時に対応できません!」
「却下します。」
ゼラストは鋭い声で即答した。その言葉は重く真人とグレンは口を黙り込む。
「私は今の戦力でも十分討伐は可能だと考えております。また、これは、決定事項です。」
さらに釘を刺す。しかし、グレンだけは諦めなかった。
「ゼラストさん、頼む。シェリカは非戦闘員だ、あいつが行くぐらいなら俺が行く!」
「グレン・・・」
ルーシアはグレンを心配して思わず呟いてしまう。
「私からもお願いしますわ、ゼラスト様。私よりもグレン様の方が断然強いですし・・・」
そう弱々しい声でお願いしたのは、シェリカ=ユタ。アメリカ所属のS級魔法師の1人で二つ名は『予言者』。
彼女の能力は特例中の特例、特別強いわけではなく、序列も千位代にいる彼女には人類でただ1人の特殊な力がある。
それは『予言』、一体どういう理論と魔法でこのようになっているのかは全てが謎に包まれているが、近い未来を正確に予測する事ができる。
ただし、この能力にはバラつきがあり、例えば何処かの誰かさんが結婚するという予言からどこどこに災害級UCが出現するという予言まで、幅がとても広い。その上、本人にはコントロールする事が出来ず、ある日突然降ってくるという。
しかし、彼女のおかけで都市が救われてたという例も多く、エリーナ同様、特例としてS級魔法師の座に着いている。
「いかが致しましょうか、結人君」
ゼラストは最終決定権をもつ結人に決を委ねる。結人は少し考えた後、彼の参加を許可した。
「いいんじゃない。まぁ待機組が大変な思いをする事になると思うけど・・・」
「あ、ありがとう、結人」
「では、最後の案件ですが、先日セラン様が提案した『魔法使用制限法』はいかが致しましょうか。」
最後の案件である、『魔法使用制限法』についての話し合いが行われた。しかしこっちは、1人の反対者も出さずに可決された。
そして結人は締めの挨拶をする。
「これにて、『S級魔法師会議』を終了します。」
結人の発言が終わると同時にその場にいた全員が上を向いた。
見つめる先は、天井ではない、もっと先。
とてつもない魔力を感じる方向。
その場にいる全員が危機を感じる程の魔力量。
直接はまだ見ていないが間違いない。
厄災の再来だ。
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お知らせです。
近況ノートにて本作の舞台となる世界地図を作りました!
めっちゃ頑張ったので見て頂けると嬉しいです。
第3章のクライマックスに近づいて来ました!
次話も予定通り明後日投稿します!
読んでいただき、ありがとうございます!
良かったら星を下さい!
樹と聖奈が喜びます!
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