#24 世界魔法祭②
摩天楼19階ー特別会議室ーPM05:00
「これより、日米対UC会議を始めます。」
ジルトレア最高責任者 セラン=レオルドの号令で会議室内の緊張が一気に高くなった。
ピリピリしている。
会議室の中にいるのは4人、序列一位 藁科結人、序列二位 ゼラスト=メネルトーレ、ジルトレア最高責任者 セラン=レオルド、そして日本防衛軍大将 朝日奈。
ちなみに咲夜とレネは現在別室で楽しくお茶会をしている。
彼女らの議題は・・・結人の事だ。
「お久しぶりですな、御二方。」
「お久しぶりです、朝日奈さん、結人君」
「お久しぶりです、セランさん、ゼラストさん。」
「久しぶりだな、セランそれにゼラスト」
4人でそれぞれで握手をする。
使っているのは全員日本語だ。
昔は公用語と言われたら英語が挙げられたが、最近では英語と日本語の両方があげられる場合が多い。
そのため各国は開催される地域に合われて、言語を使い分ける。
最初に話始めたのは結人だった。
内容はもちろん、例の事件の事だった。
UCの解明、それに大きく近付いたのは間違いない事件だった。
「確かに大きな進歩ではあるが、その魔法陣が都市の真上に出現する事だってあるんだ。我々アメリカや日本、そしてヨーロッパ連邦とかなら対処できるだろうが・・・ロシアとか中国では無理だろう。」
「それは、そうだろうな。無駄に大きな国を持つのも少し問題だな、セラン。お前んちみたいにたくさん魔法師がいる国はいいよな。」
「は、は、は、S級魔法師の量ならうちに軍杯が上がるかもしれないが、質はそちらの方が上だろう。」
基本的に結人とゼラストは発言をしない。
あくまで専門家の立ち位置だ。
「確かに対策は必要だな、毎度結人君に転移魔法を使ってもらうわけにはいかないからな。一応うちは、それぞれの都市にA級魔法師をその都市の守護者として配置しているが、災害級が出てきたら被害は免れないだろうな。」
「もう一つ伝えるべき事がある、これを見てくれ。」
取り出したのは一部の資料。
内容は・・・
「これは!!!」
これは結人にとって見覚えのあるパターンだ。
それは規模は少し違うがあの事件に使われた魔法と全く同じ魔法と全く同じものだ。
出現した場所は地球と月のちょうど真ん中あたり、ただし真空のため気圧差に耐えられず内部から崩壊していたため被害はない。
しかもそれが1回や2回ではない、ここ1ヶ月で5回もだ。
「これは大変な事になったな・・・」
「そうですね・・・」
2人は世界地図を前にうなる。
地図の下半分は真っ赤に塗られており、生き残っている国は数える程しかいない。
前線の数も多く、今でも各地では戦闘が起こっている。
民間人も合わせた毎年の死者数は少なく見積もっても毎年5万人ほど、人類にできる事はその悲劇を遠くで眺める事のみである。
だが、今回の出来事は前線という概念を覆す程の問題だ。
繰り返されたということは敵が都市を直接攻撃する手段があるということだ。
この脅威は計り知れない。
「だがしかし、当分のところは結人君とゼラストに任せるしかないな。」
「あぁ、私も同じ考えだ。だが、そちらの国に空間魔法適正が高い者はいるのか?確かゼラスト君はワープが使えないのであろう?」
「そこは大丈夫だ。流石に1人で使う事は出来ないが2人で協力すれば何とかなる。ゼラスト、説明を頼む」
セランの命令を受け、ゼラストは現状の報告を始めた。
「はい。我々『ゼロ艦隊』は以前までの太平洋防衛任務から遊撃隊に転属いたしました。普段は太平洋の防衛に務めますが、例の魔法陣が出現した場合、ワープ装置を備えた2機の空中戦闘艦で現場に向かいこれを撃破する事になりました。担当の区分ですがれ我々が西経40から西経180度、『夜明けの光』が東経90度から180度、そしてヨーロッパ連邦が西経40度から東経90度を担当しようと思います。」
「それだと僕たちだけ楽すぎではありませんか?」
「はっ!そういうな結人君、ゼラストも朝日奈も私もこれに賛同している。君はまだ子供だろ?こういう時は大人に任せればいいんだ。というよりこれぐらいはこちらがしないと私の顔がたたない。」
「そうだぞ、結人君。我々『ゼロ艦隊』も望んでの事だ。ネレも賛同してくれた。それに聞いた話だと君は今学校に通っているんだろ?ならここは我々に甘えて学校生活を満喫したまえ。卒業すれば君も私と同じように自由な無くなるたろだなからな。」
ゼラストはスッキリとした顔でそう言った。
彼はとても頼りになる人物だ。
ここは素直に甘える事にする。
「分かりました。では、お言葉に甘えさせていただきます。」
2人の会話を聞き終えた朝日奈は自分にとっての本題に入った。
「さて、私が1番懸念しているのは・・・分かっているだろ?セラン」
「分かっているさ、『魔法使用制限法』の事だろ?簡単に説明するとだな・・・。今はまだ、魔法が使えない私のような旧人類が指導者となり、世界のバランスをとっているが・・・これが近い未来、魔法が使える者がトップに立ったとしたらどういう世界が予想できる、人は魔法によって差をつくり優劣をつける。そこには当然、魔法を使った犯罪も起こるだろう。強盗など簡単だ、金を奪って遠くへ転移すればいい。証拠は何処にも残らない上、行方なんて追えるわけが無い。そして私はこれがテロに繋がり、そして戦争に繋がると思う。そうなれば止められる者はいない。」
結人もその考えにはほとんど納得していた。他の3人は黙り、彼の次の言葉を待つ。
「だから、私は魔法を制限しようと思う。具体的内容はまだ決まっていないが、魔法師に免許を持たせ、免許を持っていない人間の魔法の使用を制限。まだ、ジルトレアの許可を得ていない機関の魔法の研究及び魔法具の開発の禁止だ。」
「言いたい事は分かるがな、当然反発は大きいぞ。小国や企業が今躍起になって魔法の研究に打ち込んでいるのをお前も知っているだろ?」
何故、小国や企業が魔法の開発に躍起になっているか、それはひとえにお金の問題である。
新たな魔法を開発し、それをジルトレアに売れば莫大な利益になるのだ。
当然それを目的に研究所を作ったり企業を立ち上げたりする人も多くいる。
「それは分かっている。だが、一撃で都市を滅ぼせる程の魔法が偶然見つかってしまったらどうする!たとえUCを全て討伐できたとしてもその後に待っているものは戦争だぞ!あのキリア=メスタニアがそうだったようにこれから先、魔法はどんどん発展する!核魔法がテロリストの手に渡ったらどうする!核ミサイルの方がまだ数倍マシだ!」
「分かっている。だが、どうするんだ、セラン。」
再び緊張が高まる。飛行魔法や加速魔法が制限されれば、普段それを用いて通勤や通学をしていたものから不満が出るだろう。
魔法を使った遊びなども当然出来なくなる。
昔から、厳しい法律を出す時は甘い法律とからめて出す。例えば、ビスマルクの社会保険制度と社会主義鎮圧法、加藤高明の普通選挙法と治安維持法など・・・
そのかわりとしてセランはある提案をした。
それを掲げれば誰も反対が出来なくなる禁断の手を・・・
「私はこの法律の代わりとして2年以内にパナマ戦線を前進させ、第5区を奪還する。」
________________________________
今回提案された領土奪還作戦は第3次になります。
ちなみに1回目と2回目は失敗におわってます、さてどうなるんでしょうか!
読んでいただきありがとうございます!
良かったら星を下さい!
作者が喜びます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます