#23 世界魔法祭
日本防衛群本部ー飛行場ー8月19日ーAM08:00
「ご覧ください!たった今、現ジルトレア最高責任者 セラン=レオルド様を乗せた新型空中戦闘艦が到着しました!軍港には、米軍が誇る米国最強の特殊艦隊、通称『ゼロ艦隊』が見えます!これより、基地中心部にある『摩天楼』に向かわれると思われます。」
テレビ中継をするリポーターが騒ぐ。
日本の『夜明けの光』そして、アメリカの『ゼロ艦隊』ともに国を代表する部隊だ。
『夜明けの光』は空中戦闘艦ツクヨミだけに対して『ゼロ艦隊』は大型航空母艦2隻、駆逐艦6隻、巡洋艦2隻、潜水艦2隻、そして空中戦闘艦2隻からなる大艦隊だ。
駆逐艦や巡洋艦が少ないのはひとえに魔法師の存在が大きい。
1人で艦隊を丸々一つ相手にできるS級魔法師の方がずっと効率が良いからだ。
また、国民の間では、『夜明けの光』と『ゼロ艦隊』のどちらが強いのかよく話題にあがる。
国民は良く知らないが、実際の所は勝負は戦う前からついているようなものだ。結果は『夜明けの光』のいや結人の圧勝。
米国一のAIによると僅か10分足らずで全ての戦艦が沈められるそうだ。
『世界魔法祭』というのはあくまで一般人目線の印象である。
本当の目的は各国首脳やジルトレア幹部などによる会談だ。
各国の情勢を共有し、対策を立てるのだ。
また、技術的な面での協力も行われる。
「あ!今、セラン=レオルド様がおいでになりました!後ろにはアメリカ所属の序列2位魔法師 ゼラスト=メネルトーレ様、そして同じくアメリカ所属の序列3位
ゼラスト=メネルトーレ
アメリカ所属の魔法師で序列は2位。黒白ー結人が破滅級を討伐するまでは序列1位の座に座っていた程の腕前で、年齢は31歳。
金髪に青い目を持つ彼は『
水の天使
同じくアメリカ所属の魔法師で序列は3位。
本名はレネ=ストライク、年齢は結人と咲夜の2歳年上の17歳。
長く伸ばした青色の髪に真っ黒の目を持つ彼女は『
また、彼女は咲夜にとって3人目の親友だ。
「今、3名は空中戦闘艦からゆっくりと階段を使って下に降りました。そして、日本防衛軍の車両に乗ります。」
2人が車両に乗り込むと、車は日本防衛軍本部の中枢基地、通称『摩天楼』に向かった。
*
その様子を私、
今日から4日間開催される 『世界魔法祭』は世界最大イベントのイベントと言っても過言ではない。
その1番の目的はこれからの人類についての会談だ。当然全世界から注目されている。
流石に全S級魔法師が集結するのは不可能であるため手の空いている魔法師のみがが、各国の首脳と集まって会談を行う。
それと同時に、東京では『世界魔法祭』が開催される。
とは言っても実際に会談が行われるのは、千葉にある日本防衛軍本部で、『世界魔法祭』はおまけのようなものだ。
会談が行われる場所は、日本の千葉、アメリカのニューオリンズとニューヨーク、ヨーロッパ連邦のパリの4都市で一年ごと順番に開催される
「おじいちゃん、おばあちゃん行ってきま~す。」
「おお、そうか、今日からか・・・楽しんで来いよ!」
「気を付けてね・・・」
「うん!」
私はおじいちゃんとおばあちゃんと3人で暮らしている。
家は特別有名というわけでわなく、のんびりと暮らしている。
今年、16歳になった私は何とか国立日本魔法師育成学校金沢校に入学した。
当初は普通の学校に通うつもりだったが、お金がかからない上に、魔法師育成学校に通う事で少しでもおじいちゃんとおばあちゃんの負担を減らせたらなと思い入学する事にした。
そして、育成学校に通うメリットはもう1つある。
魔法師は儲かるのだ。
唯一の家族だった母と兄を失い、路頭に迷っていた自分を救ってくれたおじいちゃんとおばあちゃんに少しでも楽な生活をさせてあげるために給料の良い魔法師になろうと思ったからだ。
「お待たせ、
「お〜、美月。私も今来た所だよ。」
親友の
*
「緊張してきた・・・どうしよう咲夜、これでいいかな・・・」
「1度、ゆっくりとお休みになられたらいかがですか?私のお膝はいつでも空いておりますよ。」
「あ、ありがとう・・・」
「大丈夫ですよ、結人さん。これは私にとってもご褒美ですから♡」
現在結人は世間に発表する文章や挨拶を考えていた。
『世界魔法祭』の開会式では例年、開催国の中で最も序列の高い人間が代表として一言述べる事になっている。
例に漏れず、結人も咲夜と一緒にそのための文を考えていた。
「あ〜不安だ〜」
空調の聞いた東京にある自宅の一室で、のんびりとしていた。
海に行ったり宇宙に行ったりと今年の夏は忙しかったのでこうしてのんびりするのは久しぶりだ。
「あ、そういえば聞いた?咲夜。」
「何をですか?」
「樹が昨日のライブの後、聖奈さんと付き合い始めたんだってさ。」
「私の予想通りになりましたね。」
「しかも今日、一緒に泊まったんだってさ。」
「お2人ともお熱いですね・・・ふふふ」
「だよね〜僕もびっくりしたよ。」
2人は午後から始まる開会式に向けて準備を進めた。
*
PM 01:30
開会式は『摩天楼』の1階のロビーでたくさんの報道陣の前で会見が行われた。
各国の首脳や代表はそれぞれ今回の会談で話す内容などを述べた。
今回の会談に参加するのは、開催国である日本、そしてアメリカ、カナダ、中国、ロシア、イギリス、ドイツ最後にヨーロッパ連邦の8カ国だ。
ヨーロッパ連邦というのは、イギリスとドイツ、スイスを除く旧EU所属国が地中海を守るために30年前に合併した国だ。
その戦力は強力で、合併から今日まで1度も領土を失っていない。さらに今では、3区(アフリカ大陸)の1部を奪還する程の戦力を誇っている。
このような合併の例は他にも多く存在し、インド陥落から自国に不安を抱いた小国は日本やアメリカなどの大国と合併し、その領土を守ってきた。
そのため、1時は200ヶ国近くあった国々は今ではその半数未満となっている。
また、インド陥落を受けて1番苦しい思いをしたのは、中国である。
東南アジア諸国を併合し、大量の資源と人的資源を得た中国だったが、インド陥落を受けて、新たな戦線を抱える事になった。そして、結果魔法師の人数が足りなくなり前線の大幅な後退を余儀なくされた。
他にも戦線は数多く存在し、有名な所では、世界最大の戦線である太平洋戦線やパナマ戦線などが存在する。
各国の首脳や代表の挨拶が終わり、報道陣の結人は開催国の代表として前に立った。
そして全世界が注目する中、スピーチを始める。
「人類が地球の支配者で無くなって50年、私たちは魔法の発展とともに凄まじい発展を遂げました。車や鉄道は宙を走り、都市にはビルが立ち並び、魔法もこれほどまでに発達しました。」
結人は右手を前に掲げるとパチンと指を鳴らした。
結人も夏の別荘での生活、決して遊んでいた訳ではない。
結人の隣に魔法陣が現れる。
その赤色の魔法陣の中から現れたのは黒白と並ぶ、日本の双璧。
報道陣の多くがそれに驚いた。
それは多くの魔法師の夢。
黒白が現れるまで絶対に不可能と思われていた魔法。
生物の亜空間への収納
生物を収納魔法の中に入れることは不可能とされていた。
亜空間内部の時間軸を固定し、かつ対象内部の情報を固定する必要がある。そんな事神でなければ出来ない。
しかし、結人は別の方法でそれを実現した。
自身の内部に新たな世界を創り出したのだ。
前者よりは数段簡単だが、使える人間は空間魔法適正10.0を誇る結人のみである。
「私達人類は、未だ正体すら分からない彼らに生命を脅かされております。ですが、私が必ず私たちに明日を取り戻してみせます。」
結人は最後にこう告げた。
「このどうしよもない戦いに終止符を、そして明日を。」
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タイトル回収しようと思ったのですが、少し変になり断念・・・次頑張ります。
読んでいただきありがとうございます!
良かったら星を下さい!
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