#9 久しぶり②

日本防衛軍ーアマテラスー司令室




「司令!ブリュンヒルデが巨大な魔力を感知!場所は・・・日本国内です!」


突然の日本国内に出現した巨大な魔力、司令室に緊張が走る。

以前起きた謎の魔法陣事件かもしれない。危機を感じた司令官はすぐさま各方面に指示を飛ばす。


「何だと?!直ぐに魔力パターンから原因を調べろ!それと、日本国内にいる全魔法師に付近の警戒に当たらせろ!最優先事項だ!」


「「「了解!」」」


司令官の指示のもと全員が一丸となって対処に当たる。


そして、気づく、これがUCではなく、

かつて日本最強の魔法師としてこの日本をUCの脅威から何度も守った英雄、紫闇の絶対者しあんのぜったいしゃの仕業であると。







さっきほどまではゴマ粒ぐらいの大きさだった飛行機から巨大な魔力が飛び出した。


黒いオーラをまとい、漆黒の剣を手に持った男がぐんぐん近ずいてきている。

所々消えているように見えるのは<絶縮>の影響であろう。

まだ50km程離れているが、この魔力パターン、間違いなく予想通りの人物だ。


やがて結人ととの距離が近くなると手に持った漆黒の剣で<絶界>を切り裂いた。同時に、魔力が弾け飛ぶ。

そして、またもや<絶縮>を使い、いっきに距離をつめると右手1本で持った漆黒の剣で太くて重い一撃を繰り出した。

まるで空間を切り裂くような一撃は結人の4色の剣によって完全に阻まれた。


結人は剣を握っていない左手を空に向けると2つの魔法をかける。

<絶界>を再び展開し、周りへの配慮をすると、保険として魔力障壁を相手の男に張った。


そして、<絶縮>で正面に潜り込むと純白の剣を振り上げる。


結人の行動に瞬時に反応した男は己の龍剣を滑らせてそれを間一髪で防ぐ。

結人の攻撃は止まらず、すぐさま自由になった4本の龍剣で追い討ちをかける。


その攻撃もギリギリでかわすと男は結人と距離をとった。


「育成学校に通いだしたと聞いたが、腕は落ちていないようだな、結人。相変わらずの化け物っぷりだ、勝てる気がしないぜ。」


そういうと、男は剣を下げた。

結人そっくりの顔立ちに黒い目、黒い髪。ドイツ帰りのはずなのに何故か和服を着ている。

手に持った漆黒の剣からは膨大な魔力が溢れ出ている。


「お久しぶりです、父さん」


久しぶりの父親の姿にとても嬉しい気持ちに包まれる。実際にこうして直接話すのは数ヶ月ぶりだ。


藁科真人わらしなまさと

かつて日本最強として名を轟かせ、災害級UCを何度も葬った事から、日本防衛軍から”紫”を与えられ、『紫闇の絶対者』と呼ばれた。

現在は序列6位で、日本防衛軍を辞め、ドイツ軍に所属している。


その理由は単純で明解、

アメリカ第一主義によるものだ。

黒白、そして紅焔という次世代の最強魔法師が登場したため、日本のS級魔法師の数がアメリカを上回ってしまった。そこで、真人は妻と共にちょうどS魔法師が1人もいないドイツに渡る事になったのだ。


「久しぶり〜パパ!」

「お久しぶりです、お義父さま」


「お〜俺の可愛い愛娘達、しばらく見ないうちにまた綺麗になったな。」


「ありがと、パパ。」

「ありがとうございます、お義父さま。結人さんと楽しく生活をさせていただいてます。」


「そ〜か、ウチの息子が苦労をかけるね〜ところで結人、学校生活はどうだ?楽しんでいるか?」


「はい、有意義な一時を過ごさせて頂いてます。」


「そ〜か、そ〜か、安心した。お前は昔から色々と規格外だから少し心配たったんだ。元気そうで何よりだよ。」


普段の真人とはかけ離れたをしていた。


どうやら本当に心配してくれていたみたいだ。

まぁ、だとしたら最初のアレは辞めて欲しい所だが・・・


すると、真人は照れ隠しのためか結人に剣を突きつけてこう言った。


「さっ、続きをやろうぜ、結人。俺の方がドイツで腕がなまっているからさ。いつもと同じルールで行こう!」


「はい!」



拳で語る、ではないが、実際に剣を交える事で色々と思いが伝わったりする。


2人は向かい合うと同時に駆け出した。

互いの剣がぶつかる度に凄まじい衝撃波が広がる。


咲夜と真人を比べると、対UC戦においては咲夜の方が強い。

しかし、対人戦となると真人の方に軍杯が上がる。藁科の魔法はもともと対人用に作られたものだからだ。



第2段階セカンド・ダークネス<演算領域拡張アリスメティック・エクステンション>、第3段階サード・ダークネス闇の羽衣ダークネス・レイメント>」


すると、真人が本気モードとなった。

魔法師にとっての奥義、固有魔法。

その第2段階と第3段階を同時に展開する。


真人から滲み出ていた漆黒のオーラが具現化し、まるで羽衣のように身を包んむ。

その姿はまさに破壊神、あふれんばかりのエネルギーの圧が結人たちを襲う。一般人ならばとっくに気絶するレベルだ。


ただの模擬戦だというのに随分と本気だ。その様子に少し呆れつつも久しぶの模擬戦を楽しみに思う自分がいた。

結人も対抗として、新たな魔法を展開する。





弐式にしき<ファルト・ルイン>」



取り出すのは黒と白の2枚の丸い盾。直径1m程の大きさだが、一枚一枚が非常に強力かつ鉄壁。

盾の前面に魔力障壁を張ることによってミサイルすら無傷で防ぐ程の硬さとなる。

これも結人のオリジナル魔法の1つ、非常に強力だ。


2人は先程よりも数倍速い攻防を繰り広げる。

真人は身にまとう闇の羽衣による鞭のような攻撃と漆黒の龍剣によるコンボ。さらにそこに空間魔法による追い打ち。

対する結人は5本の龍剣と2枚の盾を上手に使い応戦する。


<絶縮>の展開スピードは共にコンマ1秒未満、目にも止まらない速度で攻撃を繰り出す。

一瞬の内に数十回程打ち合った。


激闘の末、先に地面に足をついたのは真人だった。


「ハァハァ・・・・・・」


「タイムアップみたいです、父さん」


結人はそういうと、<絶界>を除く全ての魔法を解除した。

それに応じて真人も1つずつ解除していく。


「そのようだな、部屋に戻るか・・・


『はい、マスター・・・』



すると、真人の龍剣が光り輝き、1人の少女になった。

紫がかった長い黒い髪に黒いドレス。

角やしっぽは無いが、彼女か放つオーラは間違いなく人間のものではなかった。


彼女の放つオーラは龍のものだ。


________________________________


あとがき



剣を人にするの書きたかった!

連載を始めてから70話ちょいでやっとかけました(笑)


これからもよろしくお願いします!

良かった星下さい!

作者が嬉しい気持ちになります!



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