#8 久しぶり①
3対3のフラッグバトルで楽しんだ後、樹、雷華、桃、大和の4人は夕食を食べる前に帰って行った。
元々、1泊2日の約束だったという事もあるが、それよりももっと大事な理由がある。
彼らに会わせられない人物が来るからだ。
それはもちろんジルトレ重要人物人物である結人の両親と咲夜の両親だ。
朝ご飯を食べ、3人で魔法の練習をして待っていた。
もちろん、結界魔法を貼っているため一目につくことはない。
また、ブリュンヒルデに引っかかることも無い。
早速、自身の始まりの魔法を展開する。
「<ゼロ・ノート>起動・・・」
「第一段階<龍召喚ー聖星龍>発動・・・」
黒い髪の毛を真っ白に染め上げる。そして背中からは天使を連想する翼を生やした。
そして5本の龍剣を手に取る。手に取るといってもそのうちの4本は宙に浮かしている状態だが・・・
向かい合うのは彼がこの世で最も愛する2人ー咲夜と茜だ。
「<ラスト・ノート>、第一段階・契約精霊召喚<炎の上位精霊・イフリート>、第二段階<
「<身体強化>、第一段階<龍召喚ー
咲夜はイフリートを召喚し、その身に宿す。そして、亜空間から己の
茜は作り出した魔法陣から己の赤い龍剣を取り出した。
2人ともとてつもない魔力だ。
「行きますよ、結人さん」
「行くよ~結君!」
「どうぞ、いつでもいいよ?」
「はい!」「うん!」
ふたりは一斉に駆け出した。
「空間魔法<絶縮>」
「<
同じく藁科の人間である茜はもちろん<絶縮>を使うことができる。結人と比べると大分未熟かつ発動までの時間が遅いが、紛れもない本物だ。
その効果である空間の圧縮によって距離を縮めると一気に間合いに踏み込む。
そして咲夜も炎によって加速すると一気に間合いに入った。
愛する人に剣を向けることになるのは少し辛い。
一応2人には保険として結人が作った魔力障壁をまとっているとはいえ相手は愛する人であると同時に最強魔法師。
一切の油断は出来ない。
「空閃流剣術・一の
「神楽流一式<火の舞>」
<無刃>
速度を尋常じゃない程高め、人間の反射神経の限界を超える事によって刃を消したようにみせる攻撃。とてつもない速度で下から上に振り上げる。
間合いが恐ろしく短くないと使えないが非常に強力なものだ。
茜には結人にはない技を持っている。それは藁科の剣術である空閃流。
結人が学んだのは藁科の魔法のみ。少しならば使えるが実践的ではない。
なぜなら剣を使うとはいえ結人には圧倒的な速度があるため剣術など必要がないからだ。
<火の舞>
神楽流の始まりの一撃。刀身を真っ赤に染め上げ、炎をまとい真一文字に切りつける。
咲夜は生まれた時からずっとあの箱庭で剣と魔法の練習に励んでいた。
完成度は代々の嘉神家の中でも突出した物になっている。
どちらもとてつもない力を持っている。人間なら間違いなく即死、A級魔法師でも防ぐのは容易ではない。
だが、相手は結人だ、この程度の攻撃が通じるわけがない。
結人の周りに浮ぶ龍剣がそれぞれ2本ずつ防御に回る。
そしてその攻撃を完全に無効化する。一応いつもは反撃しないというルールでやるが、今日は反撃する事にする。
結人が頭の中で思った通りに4色4本の龍剣は宙をまうと2人に襲いかかった。
「次はこっちから行くよ!」
「はい!」「おっけー!」
剣と剣がぶつかり合う音が周りに響く。だんだんとその速度は増していき、一歩ずつだが確実に押されていった。
結人は1歩も動いておらず、攻撃も防御も全てこの4本の剣のみ、にもかかわらずダメージは全く通っていない。
まず、この4本の剣を突破しなければどうしよもない。仮に突破出来ても4重の結界が結人の周りにあるため意味がない。
結人にダメージを与えるのはこの2人ではほぼ不可能に近い。
さらに結人の空間魔法もあるのだ。
「空間魔法<絶反>」
茜は結人の反射魔法に反応して、すぐさま刀を止めようとする。
が、間に合わずに後ろに吹き飛んだ。
幸い地面に直撃する瞬間に同じく<絶反>を使って衝撃を避けると、二枚目の<絶反>を足の裏に張り結人との距離をさらに詰める。
【この前考えていたアレをやりませんか?お姉様】
【いいねーやっちゃおう。】
「行きますよ、結人さん」
「次は何をしてくれるのかな?」
結人は油断しているわけでは無いが余裕がある。
「神楽流参式<紅葉の舞>!」
「それはもう対策済みだよ。」
「まだです!神楽流肆式<
斬撃を途中で強引に反射させて次の一限を作り出す。そしてそれを何度も何度も繰り返す。己の魔力が尽きるか止めるまで永遠に続く。
予備動作が無い分、結人の反応がどんどん遅れていく。
速く、速く、速くーー
そして超える。
とてつもない大きな音が鳴り響く。
炎を纏った剣としのぎを削るのは無敵の純白の剣。
結人の剣。
「今のはいい攻撃だよ。」
「まだです!」
咲夜の攻撃は全てフェイク、本命はもう1人。
「空閃流・六の刃<突刃> 空間魔法<絶縮>」
茜の龍剣がさらに加速する。
一点集中、防御を全て捨てた加速。そして、空間を縮め、攻撃をかいくぐる。
紅の刃は真っ直ぐ心臓へと進む。
しかしーー
「空間魔法<
<絶伸>
空間を膨張させ、2点間の距離長くする魔法。
絶縮とは真逆の魔法で、防御などで使う技だ。
これは、藁科の魔法ではなく、結人が自ら作った魔法だ。
魔法を教わった祖父 隆元の<絶縮>に対抗するために結人が0から構築したオリジナル魔法。
咲夜と戦っていた赤色と青色の龍剣を茜の方に向かわせる。動きを止めた一瞬で黄色い半透明の牢獄に閉じ込める。
「<絶牢>・・・」
「やば・・・」
動きを止めると同時に4色4本の龍剣で回避不能な攻撃をお見舞いする。
そして結人は純白の龍剣で咲夜の焔の剣を上に吹き飛ばすと、ぎゅっと彼女を抱きしめたい。
「ハァハァハァこれなら届くと思ったんだけどな~」
「ハァハァハァ、流石結人さんですね。隙が全くないです・・・」
「姉さん昔から言っているでしょ?<絶縮>には対抗魔法の<絶伸>があるから効かないって。」
「それは結君に対してだけでしょ?普通の魔法師ならこれでダメージが通るって、なんならこれで致命傷だって。」
「まぁそれもそっか・・・」
「結人さん、私は?私はどうでしたか?」
「咲夜は凄く良かったよ。魔法の組み立てから応用まで、完璧、流石咲夜だね。えらいえらい~」
ご褒美のなでなでをする。
「えへへ~///」
とても気持ちよさそうな顔をする。
これが見たくてこの訓練を実施したまである。
「なんか、私と咲夜ちゃんで扱い違くな~い?」
「き、気のせいだよ、姉さん」
「気のせいですよ、お姉様」
「怪しいな~」
「そんなことよりお姉様、お父様方がいらっしゃったみたいですよ。」
咲夜に促されて空を見上げると山の向こうに一隻の飛行機を見つける。
どうやら、騒がしい連中が来たようだ。
________________________________
読んで頂いてありがとうございます!
よかった星を下さい!
作者が喜びます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます