#7 海での特訓と乱入者②



「え?まだ3分も経っていないんだよ?それに最後の雷華ちゃんの魔法!本家より数段劣るけど間違いなく<電気拡散>だったし・・・」


「ど~よ、私の生徒たちは?」


「すごすぎだよ、茜!最初の弟君の魔法もすごかったけど、その後の雷華ちゃんの魔法凄すぎだよ!」


「いったいどういう教育してんのさ。」


「そこは秘密ってやつさ。」


姉さんはそんなに教えていないでしょ、とは言えなかった。

結人は心に留める。


結人達は対戦相手3人と握手をしたのち応援組の元へと戻る。


「いや~3人ともすごかったよ、雷華ちゃん!最後のアレ、かっこ良かった!」

「自分も観ていて鳥肌がたちました!」

「流石結人、圧勝だな。」

「お疲れ様です、結人さん、皆さん。」



結人は咲夜の隣に座り手を握る。

ここが一番落ち着くからだ。

疲れなど全くないが、とても癒される


すると、大和がある提案をする。


「茜さん、次は自分たちがやってもいいですか?」


「いい案だね!大和君それ採用!」


すると大和の提案を聞いた樹が声をあげる。


「お、まじ?俺の出番?いっちょかましてやるぜ。」


「ほどほどにね、樹」

「ほどほどにお願いします、樹さん」

「ほどほどにね~樹君」


結人はその後、全力で樹の暴走を止めようとするのだった。

その後、茜の所有するプライベートビーチにクレーターが開いたとか開かなかったとか・・・



        *



アメリカ・ニューオリンズ・ジルトレア本部




「失礼します、セラン・レオルド最高責任者」


「なんのようだ。」


目の前に一人の男が座っていた。


その男の名前はセラン・レオルド

彼は3代目のジルトレア最高責任者で作戦などの指揮をしている。

金髪の老人で年齢は60歳を超えており、

魔法を使うことができない旧人類にも関わらず今でも世界に貢献している。

結人と並ぶ世界で最も需要な人物の1人だ。


彼は間違いなく魔法は使えないはずだ、なのにとてつもない威圧感がある。


「報告します、先日の黒白の戦闘の報告書が届きました。それと気になる事が2つあります。」


「言ってみろ。」


渡された資料を受け取ると重くどっしりとした口調で応える。


「1つ目は今回黒白様が接触したUCについてですが、黒白様によると2種類の固有魔法を使用したとの事でした。このことから我が国が保有する全ての人口知能が地球と異なるの存在であると答えました。」


「我が機関の研究員たちは何と?」


「は!現段階では何とも言えませんが研究員たちの多くがその考えに納得及び同意しておりました。彼から逃げる事ができる存在などいるはずがないと口を揃えていました。」


「ははは、私もその案には激しく同意する。何度も彼と会って話をしているがいつ見ても化け物だよ。なんせ魔力を感じ取ることができないはずの私が威圧されているからね。」


ジョークではなく本気だと彼は付け足す。

全然笑えないジョークだった。

自国第一主義であるアメリカは研究を魔法の発展を口実に黒白の解析を昔から頻繫に行った。

結果はその全て規格外。全ての数値において人類最高レベルを出した。中でも、魔力操作技術、空間魔法との相性、体内の保有魔力量の項目においては人外レベルの数値をたたき出した。




「そして、問題の逃走方法ですが光速移動もしくはそれに近いものだと思われます。」


「光速移動だと?」


予想外の返答に驚く。てっきり空間転移でもされたのかと思ったが・・・


「はい、現在の我々の科学力では物体が光速で移動した場合どうなるのか観測する手段がない為、あくまで空想上での話になりますが、光速移動によって黒白様の魔力障壁を傷つける事なく突破し逃走したものだと思われます。」


「なるほど、確かにそれならば話が通るな。」


「そして、地球上の存在でないという証拠はもう一つあります。黒白様によると今回接敵したUCは保有魔力量の割には実力が伴っていないということでした。そこから推測されるにー」


「長い時間、魔力濃度の濃い所にいたといことか・・・」


「はい、その通りであります。でなければ魔力量1億というとてつもない数値はでないと思われます。」


「なるほどな・・・」


それぞれの保有魔力量は周辺の魔力濃度によって決まる。魔法をたくさん使用する事

によって、ある程度の保有魔力量が増える事もある。が、前者の方が影響が大きい。

生まれた時から高濃度の魔力にさらされていればこのような事実にも頷ける。



「そして、2つ目の話ですが、シェリカ=スウェード様が新たな予言を授かりました。内容はこの夏、様々な革新が起こるという話でした。それも。」


老人をにらみつける。すると、彼は目の前で愉快に笑った。


「ははは、隠し事はするもんじゃないね。ほらこれ、新しい提案書だ。かねてより計画していた物がやっと実現できる。これによって世界が変わるぞ、これまでよりもずっと犯罪の発生率が減るはずだ。それにUCを全て討伐し終わった後、平和に暮らせる世界を作らなきゃだからな。」


「イェス、サー」


「それにしてもか・・・彼女はいったい何をするのかの~」



       *



2049年 8月 1日


3代目ジルトレア最高責任者ーセラン・レオルドによって革新的な法律が提案された。





魔法使用制限法

一般人は公共の土地で魔法を使用してはならない。




この法律によって世界が一新した。




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