#2 実戦に向けて②

第2章はこの特別訓練編です。


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俺が魔法を習い始めたのはまず間違いなく両親の影響だろう。


幼い頃から、あの忌々しい未確認生命体ーUCに対抗するために作られた組織『ジルトレア』で裏方として働いている両親の役に立つために魔法を一生懸命勉強した。

初代序列1位のキリア=メスタニアが「魔法師にとって一番大切なものは魔力量だ」と言えばひたすら魔力量をあげる訓練をし、現序列1位である黒白のリミットブレイカーが「魔法師にとって一番大切なものは魔力操作技術だろう。」と言えばひたすら魔力操作技術をあげる練習をしていた。


普通に学校も通っていたが、あまり行く意味が感じられずよくサボって軍の施設に行き、鍛えて貰っていた。

軍に入隊したのは11歳の誕生日の時、両親の反対を押し切って16歳になったら育成学校に入学する事を条件に特別に入隊させて貰った。


入隊から2年間後、血のにじむような努力によって、努力の結晶ともいえる固有魔法を手に入れた。その時は飛び上がて喜んだのを覚えている。そして待ちに待った初めての実戦、想像よりもずっと簡単で下級UC4体と中級UC1体を単独討伐をした。


15歳になった時、俺は第二段階解放とともにB級魔法師になった。そして翌年俺は約束通り国立日本魔法師育成学校東京校に入学した。


東京校に入学したところまではよかったのだが、周りのレベルが低すぎてまるで相手にならなかった。1人C級魔法師のやつがいたが、入学時点で相手になる人は同学年にいなかった。上級生に挑戦しようとも考えたがB級魔法師である事秘密にしなければならなかったため挑戦するタイミングがなかった。


入学から1年、空白の時が過ぎた。このまま何もせず卒業すると思っていたが、そんな俺に自分を鍛えるチャンスが生まれた。

なんでも新しく、とても面白いやつが入学したらしい。

クラスの奴らが言うには、


強くて、かっこよくて、頭がよくて、おまけに可愛い彼女もいるらしい。

その男の名前は藁科結人。


この男ならこの退屈な学校生活スクールライフを楽しくしてくれるかもしれない。







特別実戦訓練が行われる事が伝えられた次の日の午後、1年Aクラスの生徒達はいつもの実技の授業ではなく、サブ棟にある大会議室に集められた。

行ってみると大会議室には既に2年Aクラスの生徒も揃っていた。


「今日ここに集まって貰ったのは他でもない、来月に行われる実戦訓練の事だ。例年、3年生と4年生がやるこの訓練をお前たち2年生と1年生がやる事には私も驚いたが、既に決まった事だ。異論も反論も認めないし覆りもしないだろう!わかったな!」


全員が立川先生に注目する。


「では、これより班のメンバーについて発表をしよう。これも我々教師陣による独断で決めさせてもらう。変更は無しだ!いいな!」


「「「はい!」」」


この学校での、立川先生の立場は高い。恐らく、いざという事が起きたら校長よりも権力があるだろう。理由はもちろん、彼女がA級魔法師であるからだ。

昔、A級魔法師が犯罪を起こしてしまい、罪に問われた時にその罪が許されたという実話がある。無論今では平等に裁かれるが、それでもA級魔法師というのは世間一般にとって雲の上にいるような人だった。

そんな相手に生徒達は反抗などできるはずが無かった。


立川先生は1班から順番に名前が呼んだ。


【一緒の班になれるといいですね、結人さん】


【僕も一緒になりたいけどちょっと難しいんじゃない?実力が均等になるようにって先生言っていたし・・・それに、僕も咲夜もどっちかっていったから同じ前衛向きだと思われているから・・・・・・】


【大丈夫ですよ結人さん、きっと一緒の班になれますよ。】


咲夜がそう呟いた。

咲夜が言っている事は昔からだいたい当たる。なんというか怖いほど当たる。結人の父はよくギャンブルをして結人の母に怒られているのだが、1度咲夜を連れて行った事がある。その時に、ルーレットやスロットで勝ちに勝ちまくって数千万円稼いだらしい。それ以降、ギャンブルはしないと咲夜は決めたらしいが・・・・・・


「じゃあ次は第5グループ、2年Aクラス黒崎空、熊谷遥香。1年Aクラス、桜木瀬奈、藁科結人、そして嘉神咲夜!」


【やりましたね、結人さん。】


【うん、僕も嬉しいよ!ところで・・・咲夜さん、また何かやっちゃいました?】


【もしかして結人さん、買収を疑っているんですか?私がそんな事するわけがないじゃないですか。これはもちろんそう、運命ですよ運命。やはり私たちの事を神様も応援して下さっているのでしょうね。】


そう咲夜は、完璧超人モードの声で答えたが、結人は妙な違和感を感じとっていた。ちょっとした違和感から咲夜がをした事を確信する。

だいたい予想はついているが、あくまで気が付いていないフリを続けた。ここで何か言ってしまったらまた怒られる気がしたからだ。


順調に名前が呼ばれていき、1班5人or4人で16個の班に分けられた。樹、大和、雷華、桃の4人はそれぞれ別々の班に配属された。


「それぞれ、顔合わせと役割を決めておけ、教えた通り前衛後衛遊撃の方式を採用しろ!それと海上での戦闘の訓練は明日からだ。あとは好きにしていいぞ、それぞれ自分の命を守るために必要だと思った行動をしろ!では解散!」


「「「はい!」」」


先生の合図によってそれぞれが集まった。

この学校に通ってしばらく経つが、1つ気がついた事がある。それはこの学校が自由度がすごく高い事だ。

例えば先生はA級魔法師なので、よく戦場に駆り出される。そうなるとその日は一日中自習、という事がたたあるのだ。


「君達が、同じ6班の人たち?よろしくね〜私は2年Aクラスの熊谷遥香、敬語とかめんどーだから普通にタメ口でいいよ〜。そしてこっちの怖そうなバカが黒崎空。こんな見た目だけど優しいから仲良くしてあげてね〜」


金髪の美少女がそう自己紹介をする。


「おいこら!なんだその説明の仕方は・・・チッまぁいいや、俺は黒崎空だ。俺もこいつと同じでタメ口でいい、それと1つお前らに言って置くことがある、最低限自分の命は自分で守れよ。俺は助けないからな!」


結人は黒崎空という名前を聞いたことがあった。少し口が悪く他人と群れない性格だが、実力は折り紙付き。B級のある突撃班の1人だったと記憶している。序列は2000位ぐらいで日本防衛軍の所属の魔法師だ。さっきの発言から察するにおそらく序列の事は軍に秘密にするように言われているのだろう。


「そんなに後輩君達を困らせないであげて!えっとー確かに見た目が怖いけど大丈夫だよ。実は結構優しいし・・・・・・」


「おい、俺の話はいいんだよ、さ、次はお前らの番た。」


「は、はい!私はさっ桜木瀬奈です。あまり強く無いですけどよっよろしくお願いします!」


長い茶色い髪の少女がそう、自己紹介をする。

彼女はあまり目立たない印象だか、魔力操作の腕はいい。このAクラスでも上位の腕を持っていると記憶している。


「初めまして僕は藁科結人です。得意な魔法は炎魔法と氷魔法です。よろしくお願いします。」

「同じく、嘉神咲夜です。よろしくお願いします。」


咲夜も結人に続いて自己紹介をする。


「ふん、お前が噂の男か・・・」

「空が他人を気にするなんて珍しいね。やっぱりに気なる?」

「あぁ俺はあまり噂は信じないタイプだが・・・今回のは目撃者も多いしな。」

「実際に聞いてみようよ・・・・・・」

「だな、やっぱり本人に直接確認するのが1番いいか。」


2人は声を揃えてを言った。


「2人って付き合っているの?」

「お前の実力はどれぐらいだ?」


「えーーー?何そんな事?そんな事はどうだっていいでしょ?」

「お前こそそんな事はどーだっていいだろ?」

「いやいや大事でしょ。学生と言ったら恋愛、恋愛と言ったら学生!何しに学校来てるんだよ空は!」

「そりゃあ魔法の練習に決まってんだろ?馬鹿かお前は。」


【なんか私たち蚊帳の外って感じですよね。】

【まぁでも、仲がいいんだろうねー。】

【そうみたいですね。】


あーだこーだ言っている姿を見ると仲の良さが伺える。


今思うと、僕は咲夜と言い合いになる事なんて無いな・・・

だいたい咲夜の方が折れてくれて・・・

いつも迷惑ばかりかけているし今度お礼をしなきゃだな・・・


そんな事を考えていると2人の論争に結論がついたようだった。


「よし、これで合意しよう。」

「じゃあ、女の子はこっちきてー私の部屋に案内するよ!結人君は悪いけど空について行って上げてー。」


「あの〜役割分担について・・・」


「そんな事は今はどうでもいい、早く行くぞ。」


「は、はい・・・分かりました。」


「頑張って下さいね〜結人さん。 」


「うん、後でね〜」


よく分からないうちに決まってしまう。

その後、結人は訓練所に連れていかれ、散々訓練に付き合わされるのだった。



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読んでいただいてありがとうございます!

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結人と咲夜が喜びます

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