#25 部活動の決め方②

「聖なる風よ、我が願いを叶え給え風魔法<エア・ストリーム>」


「聖なる氷よ、我が願いを叶え給え氷魔法<アイス・スパイト>」




僕たちは桃の提案で”上位魔法研究会”を見に行った。上位魔法を使う際は一般的に”聖なる”をつける必要がある。結人や咲夜のように自分で魔法を作れるものはその様なことは一切必要ないが、一般的な学生のレベルでは必要となっている。

しかし、その方法を採用する人は少ない。その理由は上位魔法の上位互換であり詠唱が不要な魔術を使うのが一般的だからだ。


「あれだな結人、大和、俺は未だに理解できないぜ・・・どうして上位魔法なんてものがあるのかな、魔術にすればいいのに・・・」


「自分もそう思います。あまり大きな声では言えませんがこの方法を使うメリットは皆無だと・・・」


「僕もそう思う・・・あんまり大きな声では言えないけどね・・・別の所を見に行こうか・・・」


「そっそうだな結人、次行こうか・・・」


大和は同年代最強という二つ名があるため、激しい勧誘を受けていたが華麗にスルーしていた。

親善試合の噂は既に広まっており、色々と面倒だったが、全てを振り切り僕たちは別の部活の会場へと向かった。






         *





「来たか新入生!見てけ見てけ、いつもは一枚1000円だけど今日は特別に500円に負けてやるよ!!!」


机の上に並べられたたくさんの写真、それは全てS級魔法師のものだった。既に多くの新入生が集まっており、取引をしていた。中には一万円札を大量に使っている人もいたほどだった。

また、隣のテーブルではS級魔法師についての議論が行われている。


【あれですね結人さん、想像以上で、少し引いてしまいますね。】


【僕もそう思うよ・・・ところで咲夜、そんなに一万円札を握りしめてどこに行くの?】


【もちろん買うために決まっているじゃないですか、結人さんの写真がたったの500円で売っているんですよ?!買わない以外の選択肢があるわけがないじゃないですか・・・止めないで下さいよ、結人さん!!!】


数十枚の一万円札を握りしめて買いに行こうとする咲夜をせき止める。


【ここに本人がいるんだから、いいでしょ買わなくて・・・写真が欲しいなら後で撮ってあげるよ。】


【わかりました。写真と甘えるで手を打ちます。】


【うん、そうしよう・・・】


なんとか咲夜を説得させた結人だったが、既に別の所で被害者が出てしまっていた。このS級魔法師研究会の見学を希望した雷華は既に両手にいっぱいの写真を抱えている。とても満足そうだった。


「雷華・・・お前・・・」


咲夜以外の全員がその様子に呆れていた。そういう趣味がある事を否定はしないが、人前で写真に数万円をポンっと使うのには流石に引いてしまった。

結人は気分転換のために、お目当ての『時間魔法研究会』を訪れた。



2つある校舎の小さい方、B校舎の3階の奥に時間魔法研究会の部室があった。結人を先頭に中に入る。中に入るとそこにはとても静かな空間が広がっていた。中には誰もおらず、見渡す限り本、全て本、部室は教室の2倍ぐらいの広さがあった、全部本だが・・・。

しかしそこは、とても落ち着ける空間だった。


「本ばっかじゃん・・・俺こういう所苦手だわ・・・」


「私も・・・」


「いやいや樹、本というものは偉大ですよ。あらゆる分野の知識の宝庫と言っても過言じゃないですし。」


「そうでよ、雷華さんも本を読むことをおすすめします!」


本好き派と本嫌い派に別れる。樹の場合は本じゃなくて面倒ことが嫌いな性格だ。それが原因で魔力操作が下手くそであると言っても過言ではない。


「結人さんは本が大好きですよね、自室でいっつも本を読んでいーー」


咲夜は言いかけて途中でやめる。これ以上言うと気づかれる可能性があったからだ。しかし、もう遅い。


「あれれ?咲夜ちゃん、どうして結人君の日常を知っているのかな?」


「それは自分も気になりますね〜」


既に詰んでいる気がしなくもないが咲夜は最後の抵抗を見せる。


「簡単な話です。以前、結人さんのお部屋にお邪魔した時に本を読んでいらしたので・・・てっきり本好きなのかなと思ったのですよ」


「ふーんじゃあ今度結人君の部屋に行ってもいいかな?いいよね?別に問題ないよね?」


「そういえば自分も以前からお邪魔させていただいたことが無いのですが・・・」


普段から大の大人を相手して一切怯まずに戦っている咲夜は一切顔を赤らめることなく、立ち向かう。結人もなんとか真顔を保っていた。

しかし、いくら頑張っても状況証拠というものはひっくり返らないものだ。今まで一度も部屋を案内されたことが無く、かつ誰と同室なのかさえも教えてもらった事のない2人。

誰からみても考察の結論は決まっていた。


必死に言い訳を考えていると後ろの扉が開いた。


「嘘・・・今年は入部希望者が・・・それも6人も・・・奇跡だ・・・」


「それに君、あの同年代最強君じゃんそれに親善試合で活躍したって噂のイケメン君も・・・」


先輩たちらしき人たちが突然現れたため話は一時中断する。そして、桃と大和に小声で忠告される。


「さっきの話はお預けにしておいてあげるよ。」


「お二方、覚悟しておいて下さいね。」


どうやら一度解放させてもらえるようだ。


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申し訳ないです。ボタン押し忘れてました・・・

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