第4話兄との会話
日曜日、10時過ぎ。
遅い朝食を摂っていると、階段をおりる足音がして、克樹が挨拶をしてきた。
「おはよう、香保。俺の分は?」
「おはよう。お兄ちゃん作れるんだから、ないよ」
「酷くない、香保。何かある、今日?」
キッチンで冷蔵庫を開いて、確認しながら聞いてきた。
「ないよ。それが?」
「DVD借りてきてくんない。それとホリミヤ買ってきてほしいんだけど」
「ええー。嫌だって、金欠だよ。私」
「そう言わずにさぁ。きっちり、渡すから」
「距離あるんだもん、あそこ。疲れるの嫌だし」
「そんなこと言うのか。香保に彼氏が出来たこと、彼女に言ってもっ──」
「お兄ちゃん、今なんてっ!もう一回っ」
「だからぁ、彼氏が出来たこぉ──」
「何で知ってんの、お兄ちゃんが?」
テーブルを叩き、勢いよく立ち上がる。
「はあぁ?聞いたし、母さんから。すぐに。そんなことはどうでもいいだろ。彼女に言っても──」
「もうっ、ほんとっ。それだけはほんとっやめて。マジでそれだけはっ、勘弁して。これ以上はっ無理だからぁっ!」
「だったら、行ってきてくれない。俺、無理だし」
「はあ。じゃあ、乗せてってよ。明日、筋肉痛になるかもしれないから」
「頼んだ意味ないじゃん、それだとぉ。わかったよ」
克樹が項垂れながらも、乗せてくれることになった。
「ありがとう。てか、伝わってないよね、彼女に?」
「伝わってないだろ、連絡来てないし」
「よかったぁ。それより、もう行かない?」
「食べ終わってないけどぉ、俺」
克樹が運転する車で、本屋に向かっていた。
「友達に広めてないよね、お兄ちゃん?」
「広めてないよ。矢内には言ったけど、それ以外は」
「広めてんじゃん、よりによって何で彼女さんなのっ。何で嘘つくの。お兄ちゃんは、何でこうもっ」
「うっかり、口を滑らして......あは、あははは。悪かったって」
「お兄ちゃんの大学に通いたかったのにぃっ。ぶち壊すなんてっぇ、ほんとっさいてっ!」
「ごめんって、テストの一週間送っていくから。ねっ許してくんないかな?」
「迎えには?」
「遅くなってもいいなら、だけど......その目やめてって、わかったから。必ず迎えにいくから、勘弁して香保ぉー」
「いっいいよ、それで許す。お兄ちゃん」
「ありがぁとー、香保」
本屋に到着し、克樹を車に残し入店した私。
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