第二学年

「ただいま」

「おかえりなさい」

「また、痩せた?」

「んーたぶんね」

「ちゃんと食べな!」

「はいはい」

「俺の部屋、電話の後何もしてないよね?」

「もちろん。初めはふりかと思ったわよ」

「あーそうなんだ。じゃあ、ちょっと部屋に行くよ。」


うわぁ、懐かしい。本当に何も変わってない。大学に受かるために買った参考書、学校のカバン、毎朝これでもかというくらい鳴っていた目覚まし時計。今の1人暮らしで住んでいる部屋の方が広いけど、やっぱり落ち着くな。

高校3年生で時が止まってるな。俺の記憶もだいたい高3の時と変わらないだろう。ウィルスで友達はできていないから。

刺激がなく当時の高校時代のままの記憶を保っている。

まぁ高校時代は刺激がありすぎたというか、色々凄かったもんな(笑)。

そうだ、手帳はどこだ。たしかこの辺の教科書の間に挟んでいた気が..........。

あった。そうだよなここに隠したもんな。

久しぶりにこの手帳の封印を解くか(開くか)。




                 ◇





クラス替えで特進クラスにきた。

なぜなら、陰キャしかいないからだ。このカーストのないクラスは俺にとって至高のクラスだ。まさに、最高のクラス。そして俺は高2デビューをする。このクラスで頂点になるのだ。だからテンション爆上げでいくぞ。

あの1年生の時の俺とは違うんだ。よし扉を開くぞ。

「おはよう!」

「................。」

なんだこれ、まるで入学当初と変わらないというか。え、葬式?また葬式会場??

しかもなにこの抜群のメガネ率。そして、顔似てる人多すぎ。男子はやばいなほとんど。ところどころ普通以上もしくは普通な男子もいるからまぁよし。

えーと女子は..............ん??

千夏がいるじゃないか!。でも全然俺に気づいても無視しやがる。

でも女子は案外普通だな。すごい美人もいるし、これは最高だな。

それにしても、日々進化してるな千夏はカーストランクが上がっている。


あれ、もしかしてあいつは、鞍手裕太くらてゆうた。1年生の帰りがけにあって以来だな。

「よっ!裕太」

「え、宗像いるのかよ」

「いやさっきおはよう言ったやんけ。」

「あー気づいてやれなくてすまんすまんー。まぁそんなことは置いといてなんでお前こんなところにおるんや」

「え、いや勉強しようと思って....。」

「いやそれはワロター。お前たしか1年のはじめのテスト下から3番目だったよな。」

「んーそうです。」

「よぉーこれたな。どうしたんや。賄賂か(笑)。」

「違うわ(笑)。これ先生の推薦で来る人と自分で特進に行きたいって先生に言う方法があるだろ。」

「あーなるほどね。しかしよくオッケー出してもらったな。お前緊急保護者会に呼び出されて親と一緒に面談したろ。」

「まぁそんなこともあったなぁ。これには俺の血と汗がにじむような努力の結晶の賜物や。」

「賄賂(笑)。」

「先生と二人で話して『やる気あるんか』とか『ふざけるな』とか叱られて、俺の熱弁のおかげで了承を得た形だな。」

「どんな嘘ついてきたんだよ」

「まぁ、それは色々.......。」

「そっか、じゃあ1年間よろしくな」

「おう、そろそろ席に着くわ。」

彼、鞍手裕太は俺と同じ町に住んでいて実は幼稚園の頃に絡みがあり、俺はそのことを知っているのだが彼は忘れているようだ。まぁ仲良くしてるしいいんだけどね。


「おはようございます」

『おはようございます』

「ん。私がこの特進クラスを持つことになりました。春日真かすがまことです。

皆さんは先生方の推薦。または自ら進んでこの特進クラスに入った人。様々な人がいるでしょう。しかし全員が頭がいいというわけではありません。」

やめろ。裕太俺の顔を除くな、見るな。

「なので、みんなで助け合いながら勉強をしていきましょう。頭のいい人はなおさら教えてあげられるくらいの余裕を持ちましょう。いいですか。」

『はいっ』

ものすごいクラスに来てしまったな。ピンと糸が張ってるくらい緊張がすごい。

「では次回ある歓迎遠足の班でも決めましょうか。」

1年生の時も行ったなぁ。たしかあの時は遊園地だったけど今年はどこなんだろう。

「今年は門司港と下関になりました。では、班は出席番号順で5人1班にしましょう。では机をくっつけてどこに行くか決めてください。」

げっこの班のメンバーだれも知らない。

「えーと、宗像修だ。よろしく。」

『よろしく』

いや、ここは

「俺から提案があるんだが」

「どうしたん」

「こっそり,この班抜けてもバレないかな。俺別クラスの奴と行きたいんやけど。」

「あーなるほどね。オッケーいいよ。その代わり見つかるなよ」

いやフラグ立てないで。

「お、おう。ありがとう」

「じゃあ僕の名前だけでも憶えてよ。あと顔も。」

顔は.....イケメンじゃないか!。醤油顔ってやつか今どき珍しいな。眉毛がきりっとしていてきれいな二重。しかもよくよく見ると体格がいい。まさか特進クラスにこんなやつがいるとは.....。

「やっと目を見たね。君は恥ずかしがりやなのかい。僕の名前は門司龍もじりゅう。」

「門司って(笑)。今から行くとこやん」そして、発言が気取りすぎだろ。

「おいおい、人の名字を馬鹿にするのは先祖を馬鹿にしてるからね」

「すまん、すまん。」

「ちなみに誰と行くんだい。」

「えーと古賀翔太と宇美康樹うみこうき

「あー宇美君と仲いいんだ。僕は彼と同じ中学校でわりと仲いいよ最近はあってないけど。」

「へぇー宇美にこんなイケメンな友達がいるのか以外だな。」

「イケメン?もしかして僕のこと?」

「え、あ、そうだけど」

「まさか~どんな冗談だよ」

え。

「いやいや冗談じゃ」

「はいはい、じゃあとりあえずバレないでね」

「うん」

え、待てよ。もしかして自分の顔見たことないとか。

じゃなきゃあんな反応しなよな。

それとも裏では自分に惚れてて表向きあんな感じなのか。いやいやイケメンだからこそ、臭いセリフを吐けるんだ気づいてるというか、自覚あるだろ。

というか宇美に聞くか。








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