異邦と世界の花4

 ムの体が崩壊し始める

 異放と世界の花の力が合わさり、さらにそこに無の力まで利用され、ムは自信の終わりを理解してしまった

 好き勝手に生き、生命をただの玩具としか思っていなかったムの最後は、全ての生命を生み出した者と、世界そのものの力による崩壊だった

「あああああくそ! クソクソクソクソクソ!!!! こんなところでこんなやつらに! 僕はもっともっと遊びたいんだ! もっと苦しむ顔が見たいんだ! それがこんな、クズどもに、クソガアアアアアアアアアア!!」

 怒り狂っている間もレノンナの力はムの体を侵食していき、体は崩れて行く

 再生し続けているが、それを超える速度で崩壊していくため、ムはもう無理だと分かっている

 それでもあがき続けた

 無の力をやたらめったらに撃ってくるが、その程度の攻撃なら異邦たちが難なく防いでみせた

「もうあきらめなさい。あなたは負けたの。この力は生命の力。あなたと対を成す力。あなたが虐げてきたもの全てがあなたを倒したの」

「っち、僕は無に帰るだけだ。これで死んだとは思うなよ。僕は無。ないものは消えないんだよ」

 ムはサラサラと崩れて、風に吹かれて消えてしまった

「はぁ、もうだめ、動けない」

 ムという強大な敵を見事に討ち果たしたレノンナは、全ての力を失って人間に戻っていた

 それと同時に力をレノンナに託したエーテたちも、世界の力を失い元の種族に戻る

「お疲れだよレノンナ。そしてありがとうね、姉の敵を取ってくれて」

 ヴィータはムによって狂わされたヒトの一人だった

 エーテは最後に、優しい姉に戻ったヴィータに会えたことを忘れないだろう

「ありがとうございますレノンナ。全てをあなたに背負わせてしまいました。申し訳ありません」

 深々と頭を下げるリルカ

 それと同じように異放達はレノンナに頭を下げる

「君、すごかったね。僕の後継者にならない?」

「ごめん、遠慮します」

「ツキ、あっさりふられてるじゃない」

「・・・。じゃあルニアで」

「私もパス」

「あ、そう・・・」

 この世界での危機はなくなった

 心配していた黙示録の獣もリルカにべっとりと懐き、暴れそうにはない

「さてと、問題はリディエラちゃんね。あの子大丈夫かしら」

「分かりませんが、今は送り出した鬼神たちを信じるほかありません」

 一同はリディエラが無事帰ってくることを祈った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る