最終決戦4

 どんな力も無意味とばかりにリディエラは全ての力を受けて、そして体がどれだけグチャグチャになろうが再生する

 もはやリディエラと言っていいのかも分からないほど彼女は悪意に染まり切ってしまった

「皆さん、あの子はもう、皆さんの知るリディちゃんではありません・・・。あの子から元の自我の気配が、消えています。う、うう、あの子は、あの子の心は、もう」

「そ、そんなことありません! リディエラちゃんは、私達のよく知る彼女は、とっても強くて優しくて、こんなことで負けちゃうようなやわな精神はしてなかった! だから私は信じる!」

 ハクラは立ち上がった

 核がピシピシと欠けていき、パキーンと砕け散った

「うぐ」

「ハ、ハクラ! 駄目!!」

 クロハが倒れるハクラに近づくが、ハクラは消滅することなく地面に足をしっかりと付けて立った

「大丈夫だよお姉ちゃん。すごく調子がいいかも」

 核は砕け、その中からさらに輝く核が出てきていた

 それに伴いハクラの体は黄金のようにきらめく

「お姉ちゃん、見ててね。私が必ずリディエラちゃんを元に戻すから!」

 シュンと消えたかと思うと新たに攻撃態勢に入っていたリディエラを蹴り上げていた

 そしてまた消えたかと思うと、空中に浮いていたリディエラの腹部を思いっきり蹴ってまた打ち上げる

 それを繰り返し、遥か空中へと持ち上げて行った

「行きます! 白仙鬼蹴!!」

 音が後から来るほどの速さの蹴りが浮かび上がったリディエラに向かって振り下ろされる

 リディエラはとんでもない力で地面にたたきつけられた

 そこにハクラは空から急速落下して拳を叩きつけた

「グアアアアア!!!」

「効いてる!?」

「まだまだ! 皆さん、どうか私の呼びかけに、応じてください!」

 ハクラが呼びかけるのは、妖怪族、鬼仙、鬼人、さらには様々な種族、あげくは神々にまで及んだ

「百神夜行」

 リディエラはたくさんの人や神に愛されていた

 ハクラの呼びかけに、今までリディエラと知り合った多くの者が答えたのだ

 その場に召喚されていく者達

 百神夜行は力ある者ならだれでも呼び出せる力

 呼びかけることでそれに答えた者が召喚される

「姪っ子のピンチとあっちゃね」

 リディエラの叔母である妖精神

「軽くお仕置き、だね」

 サニア、ルニア姉妹を女神に導いた力の女神

「まったく、こんなことになるならもっと早くに駆け付けるべきでした」

 天の神

「こんなに、たくさんの方たちが」

「さあ皆さん! リディエラちゃんを正気に戻しますよ! 力を貸してください!」

 ハクラに力を与える召喚された者達

 袋叩きにするわけではない

 ハクラは自らで決着をつけたかった

 それに答えるように召喚された者達はハクラに自らの力を分け与えた

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