異邦と世界の花3

 そんな中レノンナはしっかりとムを見据えている

 ムの力によってレノンナの体に急激な負荷がかかっているが、それを花に集約しているようだ

「もう少し、もう少し」

「ハハ、何がもう少しなのか知らないけど、もう立ってるのもつらいだろう」

 負荷は花に蓄積されているが、それ以上にレノンナの命を蝕んでいた

 だがレノンナは驚異的な意思の力でその痛みに耐える

 ムは両腕を広げ、さらに無の力を強化してレノンナに放出する

 ピキピキと体にひびが入り、そこから血が噴き出した

「レ、レノンナ!」

 目を開くことはできないが、エーテにはレノンナがどうなっているのか分かった

 みるみると削られていくレノンナの命の灯

「あと、ちょっと」

 苦しいのか呼吸が荒くなっている

 それでもレノンナは、目から血を流しながら耐えている

 そして体の全ての花が黒く染まり、一気に全てが地面に落ちた

「グブッ」

 大量の血を吐き出したレノンナは倒れそうになるのを振るえる足で支え、なんとか立つ

 花は地面に落ちたとたん根を張り、カッと光った

「ラスラフラグナ」

 レノンナはそう言うと地面に倒れた

「ふん、やっと死んだか?」

 他の者も殺そうとムは動こうとするが、どういうわけか体が言うことを聞かない

 体を見てみるがなにもない

 だが足に違和感があった

「なんだ、これは」

 足に何かが絡みついている

 それは植物のツルのようなものだった

「こんなもの! 最後のあがきがこれとは笑わせてくれる」

 足をあげてブチブチとそのツルを引きちぎるが、どんどんどんどん地面からツルが巻き付いてきて、その体に絡みついてくる

「こんなもので僕を拘束できると思うなよ!」

 千切り続けるが、いくら千切っても体に絡みついたツルが取れない

 それどころか体に食い込んでいき、まるで寄生虫のように体内に潜り込んでいった

「ほころびに、埋め込ませてもらったわ。体内から、あなたを、壊すために」

 ゼェゼェと息をしながらレノンナはしてやったりと笑う

「馬鹿か! この程度どうってことない。すぐ体外に排出して・・・。なんだ、これは、なんで・・・」

 ムはようやく理解した

 自分の力を逆に利用され、体内を破壊し始めていることに

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る