生田目
何も見ないし何も聞かない。話さない
悪意もなければ善意も持ち合わせない
特徴もない。特技もない
ただ自らの意思のみある
彼、または彼女、生田目は、何もかもを捨てて拾わない
能力はあるがないのと同じ
力は強いが弱い
矛盾しているようで正しい
生田目はその在り方からまず異様だった
生まれは間違いなく地球の日本だ
それだけが自分自身の誇りであるかのように、むしろそれを心の支えにしているかのように
生田目は自らを語らない
ただ語らないだけではない何かがある
なぜアウルと共にいるのか
それは彼が最初に生田目に声をかけたからだ
過去はアウルすら知らないが、アウルが言うには寂しそうだったから声をかけた
アウルは生田目の心を救ったのだ
だからこそ、それが悪辣非道だと分かっていても、生田目はアウルのために動く
出会っていたのがリディエラであったならばまた別の道も見えていただろう
あるいわ・・・
「ガラじゃないけど、やるっきゃないからやるんだ」
ふとそうつぶやき、アウルお手製の悪意のローブを翻し、目的を遂げる
誰を殺したわけでも何を壊したわけでもないが、ひっそりと、誰に気づかれることもなく達成された
「あと二つ、か」
誰も殺さないよ
アウルにそう告げると彼はただ笑い、それでいいんだ君はと言ってくれた
目深にかぶっていたフードを取ると、長い黒髪がなびく
その顔は、今のリディエラの顔に瓜二つだった
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