ルニアの異放2

 巨悪たるウル

 その本拠地の場所は未だ掴めない

 あのリルカでさえつかめずにいるウルの世界

 下っ端たちの転移装置を奪ってもその場で壊れてしまうためそれで転移することもできないし、場所を知っている者を捕まえて聞き出したとしても、なぜかその場所では跡形もなくなっている

 つまりこの世界は、移動しているのだ

「まあ予測はできていたことね。道理で見つからないわけだわ」

 これが分かったのはとあるウルの幹部を捕まえたときだった

 彼はウルの幹部だがウルの内部を内密に探っていたようだ

 彼の名はバーナム

 わざとウルに入り、独自の調査をしていた探偵のような男だった

「私が調べた限りではウルという組織はピラミッドのような力関係の組織体を取っている。まず君も知っているアウル。これは絶対的王のようなものだ。誰も勝てない。その横にいつも誰かいるんだが、すまない、それが誰なのかは私でもつかめなかった。そしてその下に五王と呼ばれるアウルの悪意に耐えた者達がいる。普通の人間ではありえないが、彼らは耐えた。それからアウルの右腕、いや、親友と言っていたかな。それがダーカーと呼ばれる男。あれも異次元の強さだな。ちらっと見ただけだが、アウルよりも得体が知れなかった。で、左腕のようなプロフェッサー。こいつの地位は五王の下の大幹部クラスだが、ウルの研究などを一手に引き受けている。そして大幹部。こいつらは二十人ほどいるんだが、中にはアウルに無理やり従わせられたり、改造を受けて心を悪に染められた者もいる。つまり解放すればこちらの味方になるわけだ。その下に幹部。こいつらは約百人ほどだな。そしてさらにそれぞれの下に灰色構成員、つまり次期幹部候補たちが各ろく人ずついる。まぁ幹部はどれも似たり寄ったりの力しかない。そしてその下に構成員が数億人単位でいる。もちろん人質や無理矢理従わされたり、改造された者などもここには数多くいる。助け出すには協力者が必要だろうな」

 まくし立てるように彼はぺらぺらと自分の調べたことを全て話して聞かせてくれた

 彼のクラスは幹部クラス。意外と調べるのに苦労しない位置らしい

「そう、ありがとう。色々分かったわ」

「こちらこそだよ。私の話をなかなか披露できる場所が無くてね。君のような強者に会えてよかった。私は引き続き調査を進める。また会えたら情報を渡そう」

「ええ、助かるわ。でも無理はしないでね」

「ハハ、私は探偵だ。へまはしないと約束しよう」

 ニヒルな笑顔を浮かべ、バーナムは姿を消した

 彼の力は周囲に溶け込むこと

 そこにいてもいなくてもどうでもいい存在になれる

 そして誰にも気にされない路傍の石となる

 それはなんとルニアの目をもってしても騙されるほどの能力だった

「意外と実力者って多いものなのね」

 バーナムのおかげで様々な情報を得たルニアは、一度姉や仲間たちにこの情報を教えようと考え、合流することにした

 目指すは、少し前に姉サニアが向かうと言っていた救世界だ

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