リルカと守り人7
「これはなんだ! どういうことだ! 私は体を失って、この私自体はただの意識のコピーのはずだ。なんで私は」
彼は肉体を得た
それと同時に更なる高みへ向かい、やがて神としての精神体を得た
「これであなたは神となりました。この世界の管理、任せましたよ。まあこれだけ栄えさせているのですから心配はなさそうですが」
自分の体を見て、リルカの顔を見る
そして目を丸くしてただただ驚く男神となった男
「あなたは慈しみの神となりました」
「慈しみ? 私が? 神に?」
「ええ、ここまでの功績、それにその慈しみ、茶目っ気も少しありましたが、それを加味しても新たな神に迎え入れてもいいと思えました」
とにかく彼はただただ驚き、自分の体をずっと探るように見続けている
「決めました! 貴方の名前はカインです」
「あ、いや確かに私に名前はないが、君はいったい・・・。あなたは、なんなんですか?」
当然の疑問だった
自分の作り出した機械生命体たちをいともたやすく退け、さらには自分に体を与えて神にまで押し上げた謎の少女
その疑問にリルカはフフっと笑って口に指を一本添えた
「まぁそんなこといいじゃないですか。ともかくこれであなたはこの世界の神です。彼らと共に頑張ってくださいね。カイン」
そう言われたカインの後ろには、この世界に迷い込んでカインによって救われた異世界人たちが立っていた
「ようやくお名前を呼べるんですね! カイン様!」
彼らはカインが神になったことをとても喜んでいるようだ
全員がカインのことを慕っているようで、街をあげての祝賀会ムード
「しかし私は、君たちを元の世界に戻せないでいた役立たずだよ?」
「そんなこと、ずっと気にしてたんですか? 今ではここが俺たちの故郷。カイン様と共に盛り上げていきますよ」
「君たち・・・。そう、か。私は、彼らを愛しているんだ」
カインの目から涙が零れ落ちる
「長い長い年月、この涙もなく、感情も薄れてきていた。君たちが私を、人間たらしめていたのかもしれないな」
たった一人だったカインは彼らを救い、彼らの存在がカインを救っていた
お互いがお互いを信頼し合っている
この世界はいい世界になるだろうとリルカはうなづいた
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