カイト

 気づいた時には世界にいた

 黄金人のリーダーとして立っていた

「あなたが導くのですカイト」

 そう言ったのはウガヤフキアエズとタマヨリヒメ

 二柱の神は人間の導き手として神武を

 そして五色の導き手としてカイトを生み出した

 五色は始祖、人間の始祖にして、知恵ある者達の礎となった存在

 それ故に彼の力は神と同等、そして神々から様々な力を与えられていたため、大神に近づいた

 そこからさらに研鑽を重ね、鬼神サクラと共に更なる力を得る

 黄金のカイト、導き手のカイト

 これまでのカイトは確かに強いが、一世界を救うので手いっぱいだった

 共に研鑽を積んだ鬼神サクラと遠く離され、力のない自分を嘆いた

「ねぇカイト、あなたは将来どうなりたいのです?」

 母であるタマヨリヒメにそう聞かれた過去を思い出すカイト

「僕は、皆を守りたい。大切な人が守れるヒトになりたい」

 タマヨリヒメはにこやかに笑う

「ええ、きっとなれますよ」


 リディエラが元居た世界

 そこの異世界に繋がる門の前でカイトはそれを見上げていた

「僕はなりたい者になれているのか・・・? 否、だよね」

 手を握りじっと見つめる

 刀を置いて力を自分の中で循環させて自分を見つめなおす

 黄金の力

 かつてウガヤフキアエズに聞いた話

 黄金は真に必要な時に目覚める

 それを思い出した時のことだ

 突然胸が苦しくなり、その場にうずくまった

「ぐ、なんだ、これ、痛い、胸が!」

 力が暴走したのかと思った

 だが段々とその力は血液のように体に循環していき、黄金の血流となって奔流していく

「もう、痛くない?」

 立ち上がると体の異変に気付いた

 力が今までの比じゃない

 そして、今まで黒かった髪の色が金色に染まっている

 顔を鏡で見てみた

 目までが金色に染まっている自分の姿が映る

「これは、まさか」

 黄金は真に必要な時に目覚める

 何かに呼応するように目覚めた黄金の力

 カイトは理解した

 今まさに、この力を必要としている、大切な仲間がいることを

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る