開花3

 メシアの話を聞き、少し経った頃、メシアの顔が急に険しくなった

「今すぐ戦える者をここへ! 子供達や保護した非戦闘員はすぐ別世界へ逃げる準備をして!」

 すぐに部下の神々が動き、指示通りに動いた

「メシア様! 鉄の神アイトラスと綿の神ワフルカを呼びました」

「ありがとうメキラ。アイトラスは鉄壁を結界内に張って。ワフルカは全員に特性綿の防護服を」

「「はい!」」

 二人の神は防御に徹するために力を使う

 彼らの使う鉄や綿は通常のものとは全く異なり、魔力や神力を鉄や綿に流すことでとんでもない防御力を得ていた

「こっち大丈夫、ワフルカは?」

「はいぃいい、もう少しぃいいですぅうう」

 かなり弱弱しい印象のもこもことした服を着た女性

 鉄の鎧を着、顔すら見えないアイトラス

 二人の力によって万全の準備が施される

 そこにさらに英雄や救世主、ヒーローやヒロイン、様々な力ある者達による大結界術

 普通なら神々でも壊せないほどの強度を持っているはずだ

 だがそれでも

「不安が拭えません」

 結界の一つが破壊された

 メシア自信が張った強力なものだ

 それを壊されている

「何が迫ってきているのでしょう」

「メシア様! これをみて下さい!」

 メキラが持ってきたのはこの世界の技術系技能を持った者達が作り出した監視用ドローンの映像

 そこに映っているのは、赤黒い、とてつもなく嫌な気配のするものに包まれた何かが、結界を破壊している映像

 二個目の結界は既にひびが入っており、間もなく破壊されるだろう

「なんなのです、これは、これは一体ナニ!?」

 メシアが恐怖を覚えるもの

 あまりにも凶悪で、醜悪

 コレがもしこの世界に入ってしまえば、ここにいる戦える者では太刀打ちできない

「メキラ、全員に通達を。今すぐこの世界を放棄。神界へ逃げなさい」

「し、しかしメシア様は?」

「私は最後まで残ります。私がいなければあの結界は維持できませんから」

「それではメシア様、危険」

「いいのですアイトラス。私はあなた達全てを子のように思っています。子を守るのが親の務め。だから、はやく!」

 メキラはメシアの硬い決意をくみ取り、すぐに全員を一気に転移させた

 転送の女神メキラの力が最大限発揮される

「さぁ、あなたも早く」

 もし結界が壊されれば転移したばかりの者達の足取りが直ぐ掴まれてしまう

 少なくとも一時間は持ちこたえなければならない

「メシア様・・・」

「早く行きなさい!」

 メキアは涙を見せつつ転移した

「さて、私では、絶対に勝てませんね。長い長い時間過ごしましたが、しかし、ええ、あなたの母親になれてよかった。プリシラ」

 すでにこの世界から飛ばされたと思っていた

 しかし

「お母さん!」

 プリシラはそこにいた

「なぜ、あなたが」

「私が、お母さんを守る」

 プリシラの力が

 想像で創造する力が

 覚醒し始めた

 

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