リルカと守り人6

「なぜ、あなたはアウルに会って悪意を植え付けられていないのです? いえ、これだけの死体、悪意の塊のような存在なのは間違いがありませんが、あなた、心はあるのですか?」

「結論、私は生命じゃないからね。だが感情はある! 私のオリジナルがそのままこの世界の頭脳になったからね」

「オリジナル?」

「ああ、九十万と六千五百二十二日前のことだ。この世界の生命は一斉に滅んだ」

 彼は衝撃的なこの世界の結末を話して聞かせた

 当時この世界は発展しすぎた科学によって滅んだ

 地殻が崩れ、死の星となったのだ

 そこで彼含めた同胞たちが一念発起し、全ての人々の意識を機械へと移した

「だが、問題はそこからだった。私と数人だけが機械と適合でき、他は死に絶えたのだよ」

 声が、少し寂しげだった

「だからこれだけの数の人を殺したのですか?」

「殺す? ああ、研究材料のことか。冗談に決まってるだろうそんなもの。ここに来た人間はこの過酷な環境下の中すぐに死んでしまう。だから私が保護しているのだよ」

 そう言うと彼は近くにある古びたゲートを開いた

「はいってごらん」

「だましているわけでは、なさそうですね」

 リルカはその中に入って行った

 そして中を見て驚いた

「栄えている!? ここの人間達は一体・・・。全て滅んだのでは?」

「彼らはこの世界に迷い込んできた異世界人だよ。全員保護してここで暮らしてもらっている。返したいが、技術的には問題ない。しかし魔力、というものが全くないんだこの世界は。だから返せない。仕方ないからここで暮らしてもらっているのだ。一応彼らが快適な環境に整えているつもりだ。それに、これなら私も、寂しくないしな」

 彼はもう何万年も一人で生きてきた

 使役している機械に意思はなく、話しかけても返答はない

 仲間たちも全て劣化し壊れて行った

 もはや彼以外にこの世界で意志ある者はいない

 その彼ももうすぐ壊れて動かなくなるだろう

 そうなればこの世界は立ち行かなくなり、ここにいる人間達は死んでしまう

「かつてこの世界は間違えた。だからこそ私は、彼らを使って世界を運営したかったのかもしれない」

「なるほど、あなたいい人ですね」

「人じゃないけどね」

 そしてリルカは少し考えた

「やはり、あなたになってもらいましょう」

「なる? 何に?」

 リルカはその力を発揮した

 創造主たる力

 それによりこの世界は再び想像されていく

「これは! 何が起こって・・・」

 彼は驚いた

 何故なら体が、生体として機能し始め

 そして・・・

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