リルカと守り人5

 モニターに映るのはCGのような男の顔

「さぁそれらを捕まえなさい。よい研究材料となるでしょう」

 機械生命体と言っていいほどの機動力、そして操られているだけではない独自性

 それら一つ一つに意思があるようで、ちゃんと考えて動いていた

 さらには機械生命体たちの埋まっていた場所は廃墟だったようで、かなりの数の人骨のようなものも出てきた

「どうやらこの世界で他世界から来た人々を狩っていたようですね。ミルカ、倒しますよ」

「はい!」

 ミルカがまずは結界を展開する

 それによって機械生命体の攻撃一切通らなくなった

「なんだなんだこれは! 非常に興味深い! 今までこんなに高度な結界を張る者はいなかった! いいぞいいぞ」

 モニターの男は興奮した様子で更なる指令を出す

「最大戦力で行きなさい」

 機械生命体は集合し、まるでアメーバのようにうねうねと融合していき、一つになった

 その姿は二足歩行する竜のようだ

 そしてそれはぐっと拳を振り上げると結界にたたきつける

 バキーンという激しい音がして結界が震える

「なんと! これでも砕けないとは! もしや君たちはあの・・・。かつて文献にあった世界を創りし一族。異放の民! そうだ、それしか考えられない。私の兵器は大神ですら殺せるほどの出力があるはずだ。それで砕けないのであれば間違いない!」

「文献? 私達のことが書かれた文献などこの世にないはず・・・。一体だれが」

「興味あるかね? どうせ私達に君は倒せないのだ。すっぱり諦めたいがその体を少し調べさせてほしい」

「それはできませんね。私のクローンを再び作られては困りますから」

「ハハハ、やはりだめか。ならいい、教えよう。君らに会えてその戦闘データが少しでもとれた。数十年も誰も来ず退屈していた。そのお礼とでも思ってくれ」

 機械生命体はおとなしくなり、犬のお座りのように座って尻尾を振り始める

「いい子だD-1581。あの書籍を出してくれ」

「グルルル」

 嬉しそうな声を出すD-1581

 その胸元ががぱっと開いて一冊の本が出てきた

「これは!」

 思わずイツキが叫ぶ

「何か知っているのですかイツキ」

「あ、あいえ、なんかすごく汚れてるなぁって。あははは」

「確かにすごい汚れですね。解読が難しそうです」

 文字も薄れていて読みにくいが、紙とは違った材質で出来ている

「テラウェルト。黄金の羊から作られる羊皮紙ですね。これに書かれた文字は数万年経っても劣化しにくいのですが、ここまで劣化しているということは数億年単位で時間が経過していると見ました」

「ああ、それは私がとある世界から来た男から手に入れたものだ。アウルとかいったか。そいつも君たちと同じようにこちらの攻撃が効かなかったのだよ」

 ここにはアウルが来ていた

 それが分かっただけでも儲けもの

 そして一つの疑問が残った

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