悪意を植え付けられた者達8

「キミーこっちであってる?」

「あってるっち。間違いないっちよ」

 悪意二人は世界を渡りつつリディエラを探す

 探知は苦手だが、アウルの力によってその制度は上がっているはずだ

 だが方向音痴であるため、てんで違う世界を探してしまう二人

 各世界で二人はヒト族を殺し、その解剖や拷問を楽しむ

 かなり方向は間違ってはいるが、一応少しずつは近づいていた

「ねね、この攫ったやつはどうする?」

「もちろん足からゆっくり削って行くっち。くふふ、楽しみだっち」

「うんうん、キミー分かってるぅ」

「なんなんだ! 何する気なんだよ! この! 放せ!」

 男は暴れるが、とても子供のものとは思えない力で押さえつけられる

「無駄な抵抗はやめなさいやめなさい。カカカカ! さーて削ろうやれ削ろう」

「なんでだよ! お前ら人間だろう? なんでこんなことするんだよ!」

「あ? 人間なんてどうでもいいし。ぼくちんはただ苦しむところが見れればいいんだよ」

「あちしは人間なんて全部殲滅したいって思ってるっち」

「ヒッ」

 どうあっても自分は助からない

 その絶望の表情がさらに二人を喜ばせる

「あ、悪魔」

「あらら、そりゃ悪魔に失礼だ」

「そうだっち。悪魔なんて優しいものと同じにしちゃだめだっち。本当の絶望」

「それがぼくちんたちだよ」

 楽しそうな、凶悪で、最悪で、とにかくこの世の悪を煮詰めて煮だしたような狂人の笑顔

 男はそのまま足先から削り出され、絶命するまでただただ悲鳴を上げる肉人形となった


「ああ楽しかった」

「楽しくはなかったっち。悲鳴が足りないっち」

「確かに! キミー分かってるぅ」

 死体を蹴飛ばし、二人は次の獲物を探す

 目的を見失っても自分達の楽しみを優先する

 ケラケラと笑いながら二人はさらに世界を移動し続けた

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