開花1
開花してもらうと言われたが、本人たちは何をどうすればいいのかが全く分からない
今まで芽吹いたのだって、仲間がピンチだったから、自分の命が危なかったからなどと行って理由で必死だったから
つまりどうやって芽吹いたのか理解できていないのだ
種に選ばれたことによって彼らの体は普通の人とは変わっている
それは本人たちも気づかないほどゆっくりと変わったため、すでに人の域を超えていることはメシアほどの女神でなければ気づかないほどだ
だがメシアはそのことは伏せておいた
下手に知って悩みの種となることは裂けなければならない
何せ彼らはウルの危険な者達に対抗できる力を持っている
これから来るであろうウルとの全面戦争で彼らの力だ必須となることは目に見えているのだ
それにメシアは焦っていた
アウルが解き放ったとみられる、アウルに次ぐほどの実力を持った何かが、こちらに迫って来ていたからだ
(何としても彼らには開花してもらわないと。この世界、いえ、全ての世界が・・・。私は救世の女神。世界を救うのが私の務め)
その心の変化を、娘であるプリシラは敏感に感じ取っていた
「お母さん・・・」
「大丈夫よプリシラ。彼らを開花させる方法は知っています」
種を植え付けられた者達
世界の種は世界を創り出すための重要なものだが、それが人間などの生物に植え付けられたことは未だかつてなかった
そもそも世界の種は創造主リルカが生み出すもので、どうあっても手に入るようなものではない
ならばなぜアウルがその種を持っていたのか
それは彼がリルカのクローンを創り出すのに成功したからだ
リルカクローンから種を生み出したというわけだ
「アウルが手に入れた種は世界の種と寸分たがわないほど精巧にできたものです。つまり世界の意思と繋がっているのです」
世界の意思、それはリルカの手を離れた世界がネットワークとなって創り出した人格のようなものだ
それらは世界をより良く運営するため常に試行している
そして種にもその意思は宿っていた
そう、エーテたちの中にもその意志は宿っているのである
「世界の種をあなた達は植え付けられました。それは前例のないことと言いましたが、正確には、世界の種を見に宿した者はいたのです。それは遥かな昔のこと、まだ創造主が世界を創り始めた頃まで遡ります」
メシアは目をつむると、ゆっくりと語りだした
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