芽吹き20
救世界へとやってきた一行
大勇者との連絡手段はただ彼女に念話を飛ばすだけという簡単なもので、本来なら世界の壁を越えての念話は不可能だったが、黄金の兎鎧の効果のおかげか、アイシスに念話が届くようになっている
「よし、今抱えてる問題が終わったら行くから少し待っててくれ」
アイシスはどうやら不思議な力を持った少女を保護しているらしく、すぐには来れないようだ
「まあ待つしかないねぇ」
「ここなら大丈夫でしょ」
この世界には多くの力ある者が所属している
そのためウルも手出ししにくいのだろう
今まで一度も襲われたことはなかった
襲われなかった理由は力ある者が多いだけではなく、この世界の見つけにくさにある
そもそもが許可を得た者しかこの世界に来ることはできず、また、悪意や悪心を持った者は弾かれてしまう
この世界には心清く正しい者しか入れないのだ
「ようこそおいでくださいました! 世界の種に選ばれし者たち!」
突然全てを包み込むような地母神感あふれる女性が声をかけてきた
どう見ても女神だと思った一行は慌てて姿勢を正す
「そうかしこまらないで下さいな。私はこの世界の管理者、名をメシアと申します。そしてこっちが娘の」
「プ、プリシラです。空想の女神をやっています」
「空想の女神?」
「は、はい、私が思い描いたことは実現します。想像したことが創造されるんです」
「え? それ凄くないかねぇ?」
「そんなにすごいものじゃないです。制限があるので絶対的な力ってわけじゃないんです」
彼女、プリシラは想像で創造する女神ではあるが、創造主のように世界自体を創り出すことはまだできない
今のところ機械生命体を創り出したり、アイテムを創造するのがせいぜいだ
お互いに挨拶を済ませ、エーテがこれまでのいきさつ、大勇者アイシスとのことを話すと、メシアは大歓迎で受け入れてくれた
「それで、世界の種というのは一体なんなのですか?」
普段のエーテとは違う口調だ
それだけ真面目に話を聞きたいのだろう
「世界の種とは世界を創り出すための種。古くは創造者リルカによって生み出されたものです」
全ての世界を創り出したという創造者リルカ
彼女は世界を産む種族
イレギュラーメルカ、そしてツキもその種族の一人だ
そんな彼女から生み出された世界の種には意思があり、やがて世界になる
そんなものが植え付けられたただの人間だった者達
通常なら体が原型を保つはずがなく、それは悪魔であるアモンも同じだ
世界そのものが体に入ったようなものである
「そんなものが俺たちの体に・・・」
「ですが世界の種はあなた達を選び、共に生きるという選択をしたようです。そして芽吹き、やがて花開く。あなた達は世界の希望なのですよ」
メシアにそう言われ、五人はその意味を深く噛みしめた
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