悪意を植え付けられた者達5

 四人目、ニャムラス・ハムワン

 本名かどうか分からないが、見た目は普通の少女

 特徴と言えば目を隠す真っ黒な髪くらいだ

 同じく五王であるキンバリーナとは仲が良く、お互いをキミー、ニャムと呼び合う仲

 彼女はかつて地球で普通の女子高生としての生活を送っていたが、ただ一つ、変わった思想があった

 もし力があったなら・・・

 その思いは日増しに強くなっていった

 要は中二病をこじらせていたわけだ

 しかしそれが影響したのか、彼女は異世界へと召喚された

 その世界では勇者を召喚し、魔族と戦い虐げていたのだが、勇者は誰も彼も奴隷として扱われる

 彼女も例外なくその予定だったのだが、彼女の力は強すぎた

 彼女は魔族の側につき、人間を掃除と称して殺し始めたのだ

「ああ、これ、これよ! ぼくちんが本当にやりたかったのはこれだったのよ!」

 彼女が力をもってやりたかったこと

 自分を虐げようとする者を逆に虐げたい。泣き顔や苦しむ顔を見たい

「アハハ! アハハハハハハハハ!! こいつは皮を剥いで生かしておこうっと。そっちの子供は手足を斬ってー、それからオブジェクトー」

 これには人間を憎んでいた魔族たちも看過できなかった

 人間を助けようと彼女を止めようとしたが、そういった魔族たちは人間とともに拷問にかけて殺した

 しかも子供がいれば、それを目の前で拷問し、絶望を味合わせてからだ

「ああ、快感快感。ぼくちんに逆らうのが悪いんだよー」

 髪をかき上げて拷問する魔族と人をしっかりと見る

 とても残虐なことをしそうにないおとなしそうな垂目

 しかしその目にはしっかりとした狂気が浮かんでいる

 その目を見ただけで拷問されている人々は諦めた

 何を言おうが彼女に届くことはない

 心から人を壊すことが大好き、楽しい、そう思っているのがありありと出ている

 特にいじめられていたというわけでもない

 家庭環境も家族に愛されていた

 だが彼女は歪んでいた

 誰にも、本人ですら、ここまで壊れているとは分からなかっただろう

 逆らう魔族も、人間も、自分のやりたいように苦しめて殺し、しっかり楽しんだ後それは現れた

「とんでもない悪意だ。すごい、すごいよ君」

 その男からは圧倒的な力量差があると、まだ魔力感知もできないながらに感じたニャムラスは恐れたが、それと同時に惹かれた

 そして何を言われるでもなく、その大きな悪について行くことを決めたのだった

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