ナンバー22(リルカ)の旅7

 マシュリンはキノコ魔法をすべて解除した

 キノコに寄生された生物は全てが元に戻り、キノコだらけだったこの世界も元通りに

 キキリリはマシュリンを褒め、マシュリンは嬉しそうに目を細める

 彼女は誰からの愛も知らない

 それだけにキキリリからの愛情は効果てきめんで、彼女はキキリリを姉のように慕い始めた

 二人が仲良くなれたころ、突然の来訪者があった

「キキリリ!」

 いきなり抱き着いてくる少女

 それはキキリリにとって思いがけない訪問で、そして嬉しい誤算

「主、様? 母様!」

 主にして母であるリルカ

 クローンの体ではあるが、中身は間違いなくリルカであった

「会いたかったの! ずっと、ずっと」

 泣きながら抱き着く長女キキリリ

 一番上だからか、彼女は涙を見せることはない

 しかし今だけは、母の前で子供のように泣きじゃくっていた

 それを見たマシュリンは羨ましそうな顔をする

「ほら、こっちに来るの」

「う、うん」

 キキリリが呼ぶとマシュリンは恐々トテトテ歩いてくる

「この子は私が見つけたすごい子なの。これからいっぱい可愛がるの。力の使い方も教えるの」

「そう、あなたはマシュリンというのね?」

 いきなり名前を当てられ驚くマシュリン

 リルカはキキリリと繋がっているため、記憶を読み取ったのだ

「フフ、可愛い子ね。あなた、私の子になる?」

「え、え?」

「それはいいの! マシュリン、母様の子供になれば私と姉妹なの!」

「そんなの、いいの? 私、悪いことして来たっしゅよ?」

「でもあなたは自らを反省しました。これからやり直せばいいのです」

 マシュリンは住人や生物をキノコに変えはしたが、一人も殺してはいない

 先ほど魔法を解いたことで彼らも元に戻っている

「ほら、おいでなさいな」

 リルカはマシュリンを抱きしめた

 同じくらいの背丈であるためしっかりとは抱きしめれなかったが、それでもマシュリンはこれで愛を知った

 リルカの包み込むような母の愛

 世界の母であるリルカ

 その大きな愛に包み込まれ、マシュリンは娘になれることを喜んだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る