芽吹き18

 それは突如として目の前に飛来してきた

「え?」

 エーテはその異様さに動けず、判断が一瞬遅れてしまった

 それに掴まれるアモン

「なっ、なんだお前」

 アモンはそのまま腹部から解体され、生きたまま、まるで活け造りのように切り開かれ、地面に転がされる

 内臓などは散らばらないよう、腹膜は破かれず、なおかつちゃんと内部が見えるように解体されていた

 手足は神経などが切れないように筋肉や骨がむき出し、そして、体の皮は綺麗にはがれ、その横に置かれた

「一番興味があったんだが、何のことはない。ただの生物だ」

 その男は異様な雰囲気を纏っていた

 それはまるで、かつて自分達に世界の種を植え付けた男その者のようだ

 アモンを助けに行かねばならないと、頭では理解しているが、全員体の震えが止まらず動けない

「次はそうだな、そこの少女か? 死した魂を呼び戻せるとは少し興味がある」

 男の手がりえに伸びた

「さ、させない!」

 アーキアがりえの前に立ち、男との間に割って入る

 だが、アーキアの広げたはずの両腕ははそこにはなく、両肩から血が噴き出した

「グアアアアア!!」

 激痛

 しかしアーキアは信念で立ち、男の前をどかない

「はぁ、何の興味もわかない。解体する気も起きないなお前」

 次に両足を切り落とされた

「がっ、ぐ、させない。俺は以前、守れなかった。だから、今度こそ!」

「その体で何ができる? 芋虫のように這いつくばってるって言うのに」

 それでもアーキアは、遠のきそうな意識の中這って進んだ

 男の足に食らいつくために

「邪魔」

 男は最後に、アーキアの首を落とそうと手を伸ばす

 だがそこでアーキアに激的な変化が起きた

 手足が再生し、体が変わって行く

「俺は守る。友を、仲間を」

 立ち上がったアーキアの体は黄金に光り、目は輝く

「なんだ、その力」

「さぁね」

 男が手で手刀を作ると斬りつける

 だがその手刀が肩にあたると、逆に男の手の方が砕けた

「さぁこっから俺の本気だ!」

 男が目にも止まらないほどの速さで動き、しつこくりえを狙おうとするが、その度にアーキアが先回りしてその攻撃を防いだ

「無駄みたいだね」

「ちっ、まぁいい、今回はその悪魔の中身を見れただけでも収穫としておこう。何の面白みもなかったがな」

 そう言うと男は霞のように消えた

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