ナンバー22の旅2

 シシララは攫われた場所でようやく首の骨折を治して動けるようになった

 キョロキョロと辺りを見渡してみるが、何も感じない

 これは由々しき事態だった

 なにせ何も感じないなどシシララにとっては初めての出来事だったから

 普段なら他の姉妹たちと繋がっているためその気配を感じるのだが、今はそれすら全く感じない

 つまりここは完全に断絶された場所ということになる

 不安でいっぱいのシシララはその場で座り込み、泣き始めた

 守り人とはいえ彼女の精神年齢は見た目相応の少女

 今までできていたことができず、さらには自らの力を使えない

 不安はどんどん胸を押しつぶしながら広がって行った

 そこに部屋の扉が開き、フードの女性が入って来た

「フフ、目が覚めたわね守り人、異放者の娘」

「誰なのだお前、こんなところに閉じ込めてどうするつもりなのだ!」

 強がってはいるが、力の使えない自分には相手に勝てないことはよくわかっている

「まぁそう目くじら立てないでよシシララちゃーん、私はヴィータ。探究者だよ」

「探求、者?」

「そそ、シシララちゃんの体をちょっと調べてその力、もらっちゃった。有益有益、君はもう少し私の研究材料として生かしといてあげる」

「今すぐここから出すのだ! さもないと」

「さもないと? どうするの? ん?ん?」

 ヴィータは本当に楽しそうな笑顔でぐっとシシララに顔を近づける

「ひっ」

「アハハハハハハ、怖がってる怖がってる。いいよその顔、絶望の顔ってのは、本当に、甘美で、気持ちいい・・・。アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

 その笑い声に恐怖し、シシララはしゃがみ込んで震えた

「まぁ君はおとりでもある。君のことを嗅ぎつけて姉妹が来ているみたいだよ。ああ、いいねいいね、私はもっともっと研究したぁい。人が、人が苦しんで絶望に歪む顔を見たい。そのためには力が!必要なんだよ!」

 シシララの頭をガシッと掴みそのまま地面にたたきつける

「ぐっあっ」

「みじめみじめ、他の姉妹の力もうばってあげる。全部手に入れれば、私が異放の力を使えるようになる! あのアウルも目じゃないよ!」

 シシララの頭をグッと持ち上げ、皮膚が切れて出た血を舐めとる

 それに震えるシシララ

「次に来た姉妹も同じように奪うさ。そして、分からせるんだ、あいつに、私の方が優れていることを!」

 ヴィータはシシララを地面にたたきつけると、部屋から出て行った

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