想像で創造する女神3

 この街を占拠した男は、住民が全員逃げたことを確認してから街を納めている伯爵邸に入って行った

 伯爵邸の中にいた人々全てを追い出すと男はここに居座ったらしい

 街に人が入ればこの街を吹き飛ばすと言い残して

「それで? どうして街を占拠したのですか?」

「この街はもうすぐウルの大幹部によって消される予定だったんだ。伯爵の娘を攫うためだけに・・・。そんなの理不尽だろ。だから俺は伯爵に逃げるよう言ってこの街から遠ざけたんだ。俺はウルを裏切ったことでいずれ殺される。だったら犠牲になるのは俺一人でいいだろう。伯爵の娘にはウルのジャミング装置を付けてあるから発見されないはずだ」

 驚いたことにこの男は街を救うためにウルを裏切ってまでこんなことをした

 街の人々に恨まれることも気にせず自らだけを悪者にして

「そう・・・。ならあなたを私が助ける。あなた名前は?」

「俺はカーヴェン。ウルの幹部だった男だ。しかし俺を助ける? これから来るウルの大幹部、銃撃のサナトラはお嬢ちゃんのようなか弱い子が叶うような相手じゃない。君も早く逃げるんだ」

「あら? こう見えて私女神ですよ? まぁ任せてください」

「め、がみ? 君が?」

 確かに見た目は可愛いながらもか弱いどこかの令嬢と言った出で立ちのプリシラ

 しかしながらその実力は新神の中でも頭一つとびぬけていると言っていい

 異放の力を手に入れたルニアほどではないにしろ、以前のルニアやサニアよりも強いのだ

「まあ任せてください。それと、あなたウルを抜けるなら私のお母様のいる世界に行くといいわ。あとで送ってあげる。その世界はウルと戦うためにいろんな勇者や救世主、英雄たちが集まってるからきっとあなたのことも助けてくれるはずよ」

「ほ、本当か? それはありがたい。なら俺からも情報を。銃撃のサナトラはその名前の通りどこからでも銃を出して攻撃してくる。結界などを展開しても無駄だ。その中に作り出して撃ってくるからな。だから気を付けてくれお嬢ちゃん」

「情報ありがとう。それじゃあカーヴェンさん。この街は多分戦場になります。あなたも急いで逃げてください」

「いや俺も残る。君がやられそうになったとき盾くらいにはなって見せるよ」

 カーヴェンは逃げなかった

 その意志はかなり固く、戦う気満々のようだった

「はぁ、私、あなたを守りながらは戦えませんよ?」

「ああ、俺のことは気にするな。君の力、存分に振るってくれ」

 カーヴェンと話しているとそれは現れた

 空間が裂け、そこから現れるガンマン風の女性

 その女性こそ、銃撃の二つ名を持つウルの大幹部、サナトラだった

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