アモンの旅15

 もうすぐだ、もうすぐ仲間に会える

 そう考えるとはやる気持ちが抑えきれない

 走って走ってたどり着いた仲間たちがいると思われる部屋

 その部屋からはあの懐かしい声が聞こえて来ていた

「エーテ! りえ! レノンナ! アーキア! マリー! ライナ!」

 ついに見つけた

 その部屋にいるのはエーテとレノンナ、アーキア、そしてライナだった

「アモン、無事だったんだねぃ」

 エーテはお姉さんらしくそっとアモンを抱きしめた

「エーテ、よかった、元気そうで」

 四人とも元気で傷もない

 だが肝心な問題があった

「りえと、マリーは?」

「それがあの二人は別の世界に連れ去られたみたいなんだ。僕らはこの通り、力が全く使えないんだ・・・」

 アーキアが自らの力を出そうとするが、少し魔力を練ろうとしたところで体中に激痛が走る

「く、ぐあああ」

「アーキア!」

 どうやら呪いの首輪をつけられているようで、自分では外せないらしい

「すぐ外す」

「あ、ああ、頼む」

 アモンはアンチカーズという呪いを解く魔法を使ってその首輪を破壊

 順々に仲間たちを助け出すと施設を壊した

「ここにいた人たちは?」

「みんな助け出せたよ。ほら、あそこにいる精霊王女の協力のおかげでね」

 王女レディナは恭しくお辞儀をしてお礼を述べる

「この度はアモン様の力でわたくしたちの仲間も助け出すことができました。犠牲になっていた者も、いましたが・・・。いずれこの世界は変わることでしょう。アモン様のお仲間も見つかったようで何よりです」

「ありがとうレディナ姫、君のおかげでエーテたちを助け出せた」

 頬を赤らめながらアモンを見るレディナ

「ちょっと近づきすぎですよ?」

 その間に入って怒りをあらわにするライナ

「あら? 一界の雷の精霊如きが精霊王の血統たるわたくしに文句がおありで?」

「身分など関係ありません。好きという感情はだれにも止められませんから」

 バチバチに火花を散らす二人を見て、男たちは改めて女性は怖いと思った


「しかしなぜ子供二人は別世界に攫われたんだ?」

「分からないねぇ。あの男、ビヨンドとかいうやつは得体が知れなかった。私でも名前以外の情報が見抜けなかったんだよねぇ」

 エーテの解析をもってしてもビヨンドという男が何者なのか、それどころかどういったモノなのかも掴めていない

 ウルのリーダーであるアウルもそこが知れなかったが、ビヨンドは何もかもが異質と思える

「ともかく二人を助け出さなきゃ。アーキア、エーテ、その世界の特徴って覚えてる?」

「残念だけど、あの世界はビヨンドが作り出した世界だ。何もわからないんだ」

「え? ちょっと待って、私あそこの壁を叩いてたらなんか崩れたから一応取っておいたんだけど、これって使えない?」

 レノンナがポケットから取り出したのはその世界の壁の一部と思われる欠片

 それをアモンに渡す

「これは、確かに異様な気配があるね。ありがとうレノンナ! これならいけそうだ!」

 欠片からはビヨンドの力の一部が感じ取れる

 それを辿ればビヨンドにたどり着けそうだ

「本当にありがとうございましたアモン様、是非また来てくださいまし」

 レディナとの別れの挨拶を済ませ、グリーンハウスに戻らずアモンたちはそのまま気配を辿って転移した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る