大勇者と従者3
連れていかれた部屋はメシアの自室
長い間留守にしていたにも関わらず綺麗なのは、彼女を慕う英雄や勇者たちによって常に掃除されているからだ
埃一つない部屋
「綺麗な部屋ですね」
「ええ、私を慕ってくれる子達が綺麗にしてくれているの。そんなことよりも大勇者のアイシスちゃん? あなたはその大勇者の力をまだまだ引き出しきれていませんね」
「え? でも俺は修行で力を手に入れて飛躍的に強くなりましたよ」
「ええ、ですが途中で魔力切れを起こしたりしたでしょう? あなたの潜在的に内包されている魔力なら魔力切れを起こす前に魔力が回復するはずです」
「えええ!?」
その話を聞いて驚くアイシスと、その横でうんうんとうなづいているアン
どうやら彼女にはアイシスの魔力のすごさが分かっていたようだ
「一神でもここまでの魔力は内包できません。あなた、種族は人間、ですよね? でもどう考えても人間ではありえないのです。お兄様に話を聞きましたが、お兄様でもあなたの本当の種族名は分からない始末。あなた、ご両親は?」
「俺は赤ん坊のころ精霊の森に捨てられていたそうです。精霊達が俺の親代わりですね」
「精霊が・・・。しかし精霊にしてもあり得ませんね。仮として、あなたの種族名を神人と呼称します」
「そんな恐れ多い」
「ですがあなたは今までにない種族、そして神をも超える内包魔力、これを神の人とせずしてなんとしましょう」
ニコニコとまるで楽しんでいるかのような、いや実際楽しんでいるメシア
その後は二人に今までの冒険の話を聞いて和気あいあいと彼女との交流は終わった
「またいらしてくださいね大勇者アイシス、従者アン」
「はい!」
コクコク
次の日、大勇者アイシスはつぎなるウルに占拠された世界へ向かう準備をしていた
今回はアンと二人だけの任務だ
向かうのは小さな世界で国は一つしかなく、来ているウルも数人らしい
「先遣隊の話だと幹部クラスしかいないみたい。二人なら余裕そうだね」
資料を見ながらグッドポーズをとるミシュハ
「ああ大丈夫だ。アンがいるからな。それに、俺もまだまだ強くなれるってことが分かった」
魔力を完全には解き放てていないアイシス
その力が解放されればもっと高みへ行くだろう
かつての大勇者立木桃とは比べ物にならないほどに
彼女はその糸口を掴めている
あとはいかにして引き出せるかにかかっていた
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