神と鬼神8

 ようやく巨大オオスズメバチの群れを抜けたと思ったら、僕らの前に巨大カマキリが立ちふさがった

 もうすでに僕らをロックオンしていて、鋭い鎌をこちらに向けている

「戦います?」

「なるべく戦いたくないけど、相手が戦闘態勢だし、このまま攻撃されて怪我でもしちゃうと厄介だ。それに子供達も守らないと」

 使い物にならなくなってるクロハさんは子供達と一緒にいてもらって、僕とハクラちゃんが先頭に立った

「サニアさんは援護をお願いします!」

「ええ分かったわリディエラちゃん」

 サニアさんにクロハさんたちの周りに強固な結界を張ってもらう

 これでちょっとやそっとじゃ攻撃できないはずだ

「行くよハクラちゃん! 虫ってのは寒さに弱いんだ。ハクラちゃんの出番だからね!」

「はい!」

 彼女は氷雪系の力がめっぽう強い

 この前キレたときの寒さたるや、魂まで凍らせるほどだったよ

「鬼剣術氷雪奥義、舞雪」

 ふわっとした剣術、華麗に舞を舞うように繰り出された剣戟によってカマキリの足元が凍り付く

 それに気づいたときカマキリはすでに身動きが取れなくなっていた

「キギィイイイ!」

 うわ、あれだけ大きいと奇声が出るんだ・・・、怖・・・

 カマきりは凍った足を動かそうと暴れるけど、そんな簡単に溶ける氷じゃない

 そして暴れすぎたカマキリは足の一部を引きちぎってこちらに向かってきた

「想定内です! 鬼剣術氷雪奥義、雪白鋼牙」

 神刀散雪を二刀に変質させると、大きい方を右手で逆手に持ち、短い方を下に構える

 その二つを上下からカマキリの頭を噛み砕くように振る

 パキョンと氷が砕けるかのような音がして、カマキリの頭は粉々に砕けた

 刺し貫くと同時に凍らせる奥義らしい、なんて恐ろしい

 どさりと崩れ落ちるカマキリの胴体

 うわ、まだピクピク動いてる

「うっぷ」

 あやばい、クロハさんが吐きそ、あ、遅かった

「うるろろろろろろおろろろろ」

「お、お姉ちゃん大丈夫!?」

「うぶっ、だ、大丈夫よハクラ、でも、変な殺し方はやめて、私の身が持たないかも」

 まあ虫嫌いの人が見たらかなりショッキングな映像だからねこれ

 光でモザイクかけとこうっと


 カマキリを倒し、さらに先へ

 そんなころから何やら音楽?歌?のようなものが聞こえてきた

 楽器とかではなくあきらかに声による音

 それもかなり綺麗なメロディーだ

「知的生命体でしょうか?」

 クロハさんが聞くけど、サニアさんにもよくわからないみたいだ

「この世界にそう言った痕跡や気配はないはずなのですが、でもあの音を聞くに何らかの知的種族がいるのかもしれません」

 そう、近づくにつれて分かった

 この音、しっかりと歌なんだ

 何を言ってるのかは分からないけど、一定のリズムがある

 そしてとても心地いい

 目をつむってると寝ちゃいそうだ

 その歌の聞こえる方角目指し、足早に向かうと突然歌が途切れて悲鳴に変わった

「まずい! 襲われてるのかも! 急ごう!」

 悲鳴のする方へと僕らは一斉に走り出した

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