イーラとアインドーバ5
フレイナの姿を見てアインドーバもかなり驚いていた
彼女は髪の色以外はどこをどう見ても大勇者アイシスとそっくりだったからだ
イーラがアイシスを見てフレイナだと思わなかった理由は黄金鎧で顔が隠れていたせいもあるが、もしあの時顔を見ていればその場で動きを止めてアイシスに抱き着いていたことだろう
フレイナらしき秘検体セブンと、もう一人、秘検体フィフティーンと呼ばれた女性
フィフティーンは髪が長く、その髪がうねうねとうねっていて不気味だ
「フレイナ! 私です! 貴方に助けていただいたイーラです!」
どれだけ叫ぼうともフレイナには届いていないようで、手刀のようにして腕をこちらに向ける
「気を付けてください! 勇者フレイナの力は刀です! どんなものでも刀に変えて攻撃してきます! 全身が刃物だと思ってください!」
シャキンと音がする
刃物と刃物がこすれる金属音
「さぁ殺すのですセブン、フィフティーン」
フィフティーンが髪を操り二人を拘束する
「フレイナ! フレイナ!」
拘束されたまま叫ぶイーラ
そこにフレイナの手が迫った
「危ない!」
髪を焼き切ったアインドーバが炎で作った剣で応戦する
「イーラちゃん! 悲しいかもしれないけどこの子はあなたの知っているフレイナちゃんじゃないわ。フレイナちゃんはもう亡くなっているのでしょう?」
フレイナは間違いなくイーラの目の前で死んでいる
なにせ看取ったのはイーラなのだから
「そう、フレイナは死んだ。あなたはフレイナじゃない!」
能力も見姿もフレイナだが、その中身はまったくの別物、ただプロフェッサーの命令に従う人形でしかない
心などないのだ
「フレイナを侮辱するあなたを、私は許しません!」
「ふん、あなた程度に死体アート、私の作品の良さは分かりませんねぇ。ほらセブン、とっとと殺しなさい!」
セブンもフィフティーンも死体を異世界から集めて作り上げたプロフェッサーの人形だった
そんな人形たるフレイナの死体をプロフェッサーがセブンを思いっきり蹴り上げる
セブンは無表情に転がって再び立ち上がると腕を振り上げイーラに斬りかかってくる
「私の、大好きなフレイナを汚すなんて・・・」
イーラは激怒した
それまで彼女は感情をあまり表に出さないでいた
アインドーバというよりどころを得たことで彼女も少し変わったのだ
そんな彼女が本気を出した
普段の力とは比べ物にならないほどの力をプロフェッサーに向ける
「ククク、大幹部に上り詰めただけのことはありますね」
イーラの空白の力を軽く相殺する
「だてに研究はしていませんよ。大幹部や幹部たちの力は全て把握していますからね」
イーラの力が通用しない
当然アインドーバの力もだ
「く、一旦引くわよ!」
アインドーバはイーラを抱えると炎で煙幕のようなものを作って戦線を離脱した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます